子どもと楽しむ大泉緑地冒険ランド徹底解説編【大阪府堺市、人気の遊び場】



遊具広場の中心にそびえる、砦のようなところからは、大きな滑り台が2つ。それもまるっきり特徴が違いながらも、どちらも他でめったに見かけることがないような、迫力のあるものです。

子どもと遊びに出かけて「ここはいいな」と思える場所をご紹介しています。大阪府堺市の大泉緑地の遊び場、冒険ランドの面白さはそれに留まりません。城塞のような滑り台付きの砦の隣には、これまた大きな木製の遊具が並んでいます。

長い2層の回廊のようになった、木製遊具の道筋にはいろいろな冒険が組みこまれています。モチーフとしては、西洋の城塞と日本の城壁が、対比されているようにも思えます。元々森林は、大泉緑地の根本的なコンセプト。

冒険ランド内、比較すると小さなほうのコンビネーション遊具と、異形な屋根の休憩スペース含めて、木々に囲まれているのが砦のそびえるスペース。さらに加えて隣り合わせで、広い砂場と大きなほうのコンビネーション遊具のある平坦な広場が、草地のフリースペースと一緒に拡がっています。

幼児向けのスプリング遊具や、躯体が人形になっているブランコなどを合わせて、大泉緑地の東側ほぼ中央付近に位置する冒険ランドは、共にかつては中村地区児童遊戯場の敷地だったサイクルどろんこ広場と合わせて、公園の中で最も刺激度が高い遊び場といえます。

堺市の市街地だけに、駐車場こそ有料ながら遊びそのものに関してはすべて無料。子どもがたっぷり遊んで、満足できる遊具と施設が揃っています。そんな冒険ランドを、いつものように独自に撮影した写真を満載して、お出かけの役に立つようご紹介してみます。

子どもが大型遊具で遊べる冒険ランドをしっかり解説!

都市の中の森林をコンセプトに、1968(昭和43)年から基本構想が練られた大泉緑地。この用地は、そもそも防災のみならず、戦災にも備えなければならなかった時代に、空地を確保しようという意図から始まっています。

そんな危機が具体的に差し迫った1941(昭和16)年、改めて東京と大阪では防空緑地が指定されます。そんな歴史的経緯で確保されたエリアは、大阪では大泉緑地が、服部緑地鶴見緑地九宝寺緑地とともに、四大緑地となって残っています。

敗戦を迎え、のちに公園として整備が進む中、広大な大泉緑地では3つの児童遊戯場が整備されてきました。その結果どれもが注目すべき遊び場として、3つのランドに発展しています。

どれもが抜群に楽しいものです。そしてそれぞれに個性的。だからこそ「子どもと楽しむ公園」シリーズでは、すべてを丁寧に余すことなくご紹介したいと思います。まずは、刺激的とまでいって差し支えない遊具も抱える、冒険ランドを詳しくみてゆきます。

大泉緑地にさらにふたつある遊び場は、関連記事でご参照頂けます。

関連記事:子どもと楽しむ大泉緑地わんぱくランド徹底解説編

関連記事:子どもと楽しむ大泉緑地海遊ランド徹底解説編

共通するのは急傾斜の迫力、違った種類の長い滑り台がふたつ

大きさから云って、やはり際立ってしまうのがふたつのロングスライダー。特に長さだけでなく、広さも相当なほうは、冒険ランドを訪れれば否が応でも目に入ってきます。

あまりのスケールに、もはや滑り台という言葉で括っていいのか、判断しかねるくらいです。傾斜は急ではありますが、冷静に横から観察すれば、騒ぎ立てるほどの物ではないことも分かります。

ただし、こういったものの常で上から見るとまさに落下! といってもよさそうな感覚を覚えます。幅広さと角度だけでなく、長さもある本当に大きな滑り台です。実際のところ、子どもが滑っている様子の迫力は、圧巻のものがあります。

もうひとつは素材も形も、ごく一般的な滑り台そのものながら、ひたすら長く傾斜も急です。ただ、躯体そのものは一般的な様式ながら、さすがに上のほうについては、カバーがつけられて保護されています。

動画で見てみると、あっという間に滑り終わります。

細長い滑り台の出発点は幅広の滑り台を見下ろす位置

ところがこれでも、幅広のジャンボ滑り台よりもさらに高い位置から、もっと長い距離を滑っているのです。

幅広のジャンボ滑り台もさることながら、ロングスライダーもまた滑っている様子に目を見張ります。一気に下りていく子供の滑降スピードは爽快そのものです。まったく大泉緑地のふたつのものはどちらも、滑るという概念に別のページを付け加えたくなる衝撃度です。

滑り台は城塞のように、幾重かの壁に囲まれた敷地にあります。石垣で作られた、土台の上にある砦が出発地点。

大きな砦をぐるりと周回しながら登ってゆくのが、ステンレスの長いロングスライダーのほう。

幅広いワイドなコンクリート製のほうは、実は周囲を回りながら上る砦と一体なのでなく、隣接してそびえ立つ壁のようになっています。

壁のような部分は、両サイドから螺旋階段で上っていけるようになっています。

この結果、最上部での待機の様子も違っています。片や物見の砦風に、展望台のような機能あり。滑り台は急行の帰り道のようでもあります。

いっぽう壁の上については、まるっきりスタート台の雰囲気です。ここに来たならば、もう滑る以外に、何の目的もあり得ないかのようです。さりげなく柵が、ゲートのような機能を果たしています。

滑空の途中で、ボディコントロールなど不可能な傾斜と滑りです。ふざけるのは厳禁なレベルとはいえ、注意を払ったうえで思い切って遊んで欲しい楽しさもまた、飛び抜けたものです。

大型木製遊具も何気に発展形という歴史あり

滑り台の砦から東側を見下ろすと、隣接した場所に木製の2層の回廊のようなものが続いています。

大泉緑地は1968(昭和43)年になって本格的に緑化する方針のもと、公募された作品から構想を練り上げて、整備されてきた公園です。

大型木製遊具の一端、ネットや階段で上る上層とそのまますすむ下層

今に続く形での整備は1972(昭和47)年に敷地の一部、30 haほど(今のわんぱくランド周辺)が開園したのが始まり。この大型木製遊具のある場所は、国連が1985(昭和60)年を国際青少年年として指定したことに連動して、ウッドビィレッジが作られたのが前身です。

もう一端はチューブスライダー、こちら側では下層階は消滅

国際年とは、国連総会で決められる、世界が共通して取組む毎年のテーマ活動のこと。1985年は青少年・森林だったことで作られたのは、木製の木の小屋が立ち並ぶ場所。国際交流イベントなどが行われました。

そこから大幅にリニューアルされた今は、いろいろな遊びが並ぶ遊具回廊になっています。一端は2層で、ほとんど上下がいろいろな仕組みで連絡して続き、もう一端は1層となり、直角に曲がった吊り橋の先で、チューブスライダーで終わります。

チューブスライダー側の終端脇など、随所にアスレチック色が強いです。

けれども、中間部分は複雑ではあれど、遊具らしい要素もたくさん加わっています。

全体的には迷路的でもあり、かくれんぼにもおにごっこにも最適そう!

難易度も多彩、比較的上層部を走破するほうが低年齢向けでしょう。階下のほうが時には体力を要します。

だからといって、上層部の走破が単純なだけではないです。

ただ、難易度は低めで走破はし易いというだけ。ドキドキ要素はちゃんと入っています。

ふたつのコンビネーション遊具もあり

さらに大きめ、小さめふたつの、いまどきのコンビネーション遊具も置かれています。大きなほうは、原っぱになっている側の、土の露出部に置かれています。

さすがに大きなほうは、やや冒険度が高い仕掛けがある遊具です。

雲梯の変形版のような、ダイナミックな部分が組込まれています。もっともこの手のものは、手が届いてぶら下がっていられなければ、試されもしないでしょう。

低年齢層を拒否した遊具でもなければ、低年齢層の冒険を排除した遊具でもありません。

よく見ると、2列の遊具が橋で結ばれたような構造なのが分かります。ところで写真に何度か管理員の姿が写りこんでいる通り、点検作業と訪問が重なりました。

ちょうど居合わせたのは偶然とはいえ、丁寧な仕事は印象的でした。大阪府公園協会の「遊具事故ゼロ計画」の一環のようで、思い切った遊具がある大泉公園、こんな遊び場が維持されている背景は、とてもしっかりしたものだといえそうです。

参考サイト:遊具事故0 遊具で遊ぼう

小さな方のコンビネーション遊具は、大きな滑り台の隣。大型木製遊具とは反対側になります。

幼児用のスプリング遊具も並んでいて、小さめだけにもちろん、より小さな子どもを意識しているのは間違いないです。

それでもラダーでない雲梯、短めのネット渡りなどは過渡期の冒険を忘れていない証といえます。U字が縦にならぶと、ラダー渡りとはグリップの方向が違ってきます。ちょっと力の入り方が変わってくるのです。

小さめのコンビネーション遊具の近くには、ブランコもあります。冒険ランドではブランコは、この人の形をしたものがデフォルトです。

大きな砂場もふたつ

幅広の大きな滑り台の足元は、大きな砂場になっています。冒険ランドには、さらにもうひとつ大きな砂場があります。

そこには、小さな滑り台も設置されています。両端が滑り台になっています。奇しくも素材は、幅広のジャンボ滑り台と同じ。側面のデコボコがデザインなのか機能なのかも気になります。

進入は中央から階段を使い、左右どちらかに殻を抜けて滑ります。どうやら形はカタツムリ! カタツムリの意図は森や自然と結びつくのでしょう。滑り台が特徴の冒険ランドの中でも、さりげなく面白い存在です。

幼児のために、ジャンボ滑り台の代償としてのミニチュア版なのか、本格的な砂場に現れた必然なのか。大きな砂場全域が囲われていること、水道があることを考えると砂場遊びはこちらが適しているといえます。そして、こんな砂場は案外レアものです。

大泉緑地を訪れるには(アクセスについて)

住所:大阪府堺市北区金岡町128
連絡先:072-259-0316(管理事務所)

大泉緑地の詳しいアクセスや概略などは関連記事をご参照ください。

関連記事:子どもと無料で楽しむ公園 大泉緑地

駐車場:有料(420円~1030円、24時間まで)

冒険ランドに一番近い駐車場は、第3駐車場になります。大阪中央環状線大泉緑地交差点から府道31号線堺羽曳野線に入った少し先に入口があります。野球場や球技広場の脇を北に抜けたところが冒険ランド。近くにはGood BBQ大泉緑地があります。

最寄り駅:地下鉄御堂筋線新金岡駅徒歩

新金岡駅からの場合、わんぱくランドに寄ったなら大芝生広場を抜けるのも手

徒歩で向かって、15分程度で公園入口です。冒険ランドまでは、園内を歩いて同じくらいの距離です。園内周回路に忠実に移動するなら、大泉池南端の中央休憩所経由が分かり易いとはいえ、他にショートカットルートもあります。

まとめ:まさしくな冒険とさりげない冒険が一緒に存在

サイクルどろんこ広場として、1981(昭和56)年に開場した隣接するBMXのコースまで含めればなおのこと、乳幼児からずっと長い間冒険ランドで過ごす子どもがいるでしょう。遊具広場だけだとしても、迫力、複雑さからの遊びの奥行の深さを考えると、卒業までが長い遊び場といえそうです。

そして、大泉緑地の歴史を考えれば冒険ランドなどの元遊戯場は、比較的新しい時代からの進化の結果です。いろいろな趣旨の遊具には大小さまざまなものを合わせて11本の滑り台があります。

周囲に店はあるものの広い大泉緑地、冒険ランドにはアイスを含め自動販売機3台

掲載した写真の中に、まさしく冒険そのもので目立つもの、さりげないもの含めてすべてが確認できます。迫力のみならず息長く付き合いが続く公園としても要注目です。

公式サイト:大阪府公園協会 大泉緑地