揃う遊具はひととおり、すべてが完全に繋がっていないとはいえ、ゆるやかに連携して、ひとまとまりの遊びの道を、作っています。滋賀県甲賀市の鹿深夢の森は、確かに周囲に森林もある環境ながら、園地はきれいな芝生が広がります。
遊具のある斜面を含めて夢の庭! とされる呼び方のほうが、体を的確に表す名はこちらと思わせる場所。公共施設が並ぶ上のほうから、すべてを見渡せる豪快な芝生の斜面は、円形の広場を取り囲むように整備されています。
子どもと遊びに出かけて「ここはいいな」と思える場所をご紹介しています。斜面上には、カフェのあるかふか生涯学習館や、甲賀子育て支援センター(甲賀創健館内)、図書情報館が並びます。それぞれ屋内スペースとして、遊んだり、学んだり、休んだりできます。
さらに背後には無料で使える駐車場があって、公園はそれですべて。園地は名前から連想しがちな、野放図な森林が保全されているというより、すべてがしっかり整備されたエリアです。
そんな鹿深夢の森のオープンスペース、夢の庭はどうやって使おうか迷ってしまいそうな広さの一画に、アスレチック風に明確に意図されたルートが連なる、遊具の遊び場が用意されています。
忍者の砦と呼ばれる遊び場は、長いローラーすべり台と、ハンモック型ネット遊具が、長く複雑な展開を見せる大型コンビネーション遊具で結ばれたもの。傍らに、ターザンロープと小さなほうのコンビネーション遊具が加わるまとまったエリアです。
とにかく広い芝生が気持ちのいい公園。確かにまさに夢のような大きな庭になっています。忍者の砦を中心に、いつものように独自に撮影した写真を満載して、人気の遊び場へのお出かけに役立つようガイドします。
子どもが大型遊具で遊べる鹿深夢の森をしっかり解説!
甲賀といえば、山を越えた三重県側の伊賀とともに、「忍者」というキーワードでなら知る人も多い地域。その上で甲賀は「こうか」と読むのが正式で、鹿深は「かふか」と読むこと。
どちらも濁音ではなく、そもそもが「こうか」は「かふか」が転じたものと考えられています。考えられているというのも、日本書紀が作られた時代でさえ、この地域に百済から渡ってきた鹿深氏が勢力を築いたと記述されるくらいに、古い時代の出来事だからです。
現在でも鹿深台という地名が残り、鹿深の道のある甲賀町は、東海道の宿場として発展した水口や、焼き物で有名で都があったこともある信楽などと合併して、甲賀市となりました。市役所は水口のほうに置かれて、鹿深夢の森とは少し離れています。
いろいろな大型遊具がまとまって置かれる忍者の砦は、そんな甲賀町のほうにある、鹿深夢の森の遊び場です。
鹿深夢の森忍者の砦の遊具一覧
- 一連の大型コンビネーション遊具を構成
- 忍者の砦本体
- 疾風ローラースライダー
- 水ぐもネット
- 独立した遊具
- 忍者の屋敷(小型コンビネーション遊具)
- 空中渡り(ターザンロープ)
忍者の砦本体はあまり高さはない大型コンビネーション遊具
夢の庭の芝生の大斜面、公共施設のあるほうからみて、右手側の傾斜がゆるやかになった辺りに、忍者の砦があります。傾斜はゆるくなってはいるものの、遊具は斜面を活用したものです。そのためもあり、遊具自体はさほど高さはありません。
斜面の一番上はローラーすべり台のスタート台であり、コンビネーション遊具の上端でもあります。
その上の一番端から遊具に乗り込むための進入路は、ロープを手掛かりに、足場の付いたスロープを上るといったもの。短いものとはいえ、難易度があるものをこなさなくてはなりません。
さらに板状のラダーを少し上れば、ローラーすべり台のスタート台。螺旋のはんとう棒が、さらに難易度の高いショートカットとして、別に設定されています。忍者の砦ではここだけが、ある程度の高さがあるところです。
ロープが手掛かりのスロープの正面は覗き窓。ローラーすべり台のスタート台でないほうには、チューブトンネルのルートがあります。こちらもすべり台を兼ねているのか? と思いきや!
チューブトンネルの内部にはステップのようなものがついています。両端から様子がうかがえるので、上っても下りても大丈夫。というか、上るほうに適した形かなと。つまり、ローラーすべり台のスタート台へ向かうのに一番簡単なのは、このルートでもあります。
そのように決めつけるものではないにせよ、ローラーすべり台のスタート台になる部分へ続いているのは、まずは最初に、またはもう一度ということ如何によらず、上りとして機能する感じではあります。
その意味ではザイルで編まれた登坂ロープが、途中からとはいえスタート地点的な雰囲気。2本のロープを伝って渡る選択肢で、ローラーすべり台に向かうのか、斜面を下るコンビネーション遊具に向かうのかが決まります。
さらにふたつの上下に渡されたロープの選択肢でなく、ザイルの登坂ルートからほぼまっすぐ続く、パネルの渡りウォールも別ルートなのです。先にあるのは、吊り足場と飛び石ルート。
2本の上下のロープルートから、コンビネーション遊具に向かって下りるほうは、鎖の橋。こちらも難しいそうではあっても、高くもないし、手すりもあります。
飛び石ルートのほうは、省略してもいい感じでやはり、コンビネーション遊具の下のほうに向かいます。
このふたつのルートが合流するまでには、滑り台の仕掛けが挟まれています。
斜面の傾斜を主に利用する、緩やかにカーブするチューブスライダーがひとつ。
スタート台には、覗き窓でも乗り出して下を見る、面白い趣向のものがくっついています。
板が連結された、やや不安定な渡り心地の橋で連絡されたところが、飛び石ルートの向かう辺り。
カラフルなキューブが不規則に並ぶ階段を使って、コンビネーション遊具に乗り込むことになります。
太鼓橋を渡ったところにも、チューブトンネルがあり、これはハンモック型ネット遊具に繋がっています。
一番上のロープの補助のあるスロープとは違い、ステップのみを使うやや難易度があがったスロープのショートカットを経て、さらに橋を渡ると、すべり台が忍者の砦の一端として繋がっています。
コンビネーション遊具全体を見下ろす位置には、日差しを遮る休憩ベンチもあります。安心してみていられる年齢の子どもならば、絶好の見守り位置です。
疾風ローラースライダーはゆったり斜面を滑るローラーすべり台
ローラーすべり台には、疾風ローラースライダーという命名があります。実際はさほど長くはなく、ゆったりとした傾斜のもの。もっともローラーすべり台とは、ゆったりのんびりでも、爽快に滑れるのがいいものです。
だから滑りながら、周りに立つ大人とコミュニケーションできるのもいいところ。そういう時には、ちょうどよい高さです。
下まで滑れば、忍者の砦本体のコンビネーション遊具に、もう一度向かうか、ターザンロープや、小さいほうのコンビネーション遊具に移動するか、選ぶことになります。
大きなハンモック型ネット遊具になる水ぐもネット
細かい編み目のネット上で遊ぼう! という趣旨になる水ぐもネットは、忍者の砦の末端に位置しています。
まさしくひと枡といった感じの中継点で、忍者の砦本体部分と連絡しています。さて、ここは一方通行なのかといえば…
明かり取りのついた、チューブトンネルの斜面上り方向は、地面が坂である以上に、さらに傾斜がついています。なにも手掛りがなければ、無理やりでなければ上るのは困難そう。
上から見れば、滑り下りて下さいと言わんばかり。手掛りになるステップなども、ここにはありません。おまけにカーブの先はブラインドです。先は短く他の子どもが来ているのかどうかは、分かりそうなものの、お互いのために下から上ろうとしないほうがよさそう。
水ぐもネット自体は、どこからどう進んでも問題なさそうではあります。ところで水ぐもというのは、どんな生き物なのでしょうか? 水ぐもネットを見る限りは、アメンボのようなものを想像してしまいそう。
ところが珍しい昆虫である水ぐもは、水中で生活する蜘蛛。すいすいと水面を渡り歩いたりしません。ハンモック型ネット遊具も、決してゴムマット遊具のようなアシストがあって、駆け抜けるようなものではないです。
斜面下方向からは、特にネット上に向かう足場なども用意されていません。かといって、よじ登ることを否定するような高さでもないです。どうやって遊ぶにせよ、ネットに少し自由を奪われて、苦労をしてくださいというのが、水ぐもネットの趣旨といえます。
小さな方のコンビネーション遊具は忍者の屋敷
忍者の屋敷と命名されるのは、独立して置かれる小さなコンビネーション遊具。
屋敷というのはどうかという規模ながら、屋根がついているところから、ふたつの種類のミニすべり台を使う趣旨。
少しだけ難しそうな雰囲気を、カラーチューブのランダムな階段が付け加えています。
潜望鏡のようなものも備わっています。この壁の向こうを覗けないくらい、小さな子どもだからこそ、面白いもの。
ならばミニミニのすべり台だって、充分楽しいはず。潜望鏡の反対側は、パネル遊具です。
独立したターザンロープが空中渡り
空中渡りは傾斜もほとんどなくなった下のほうに、それも斜面に対しては横方向に置かれたターザンロープ。レーンはひとつ、スタート台は3段。いたって穏健なものです。
屋根付きの大き目の休憩スペースの隣で、そこには自動販売機も、2機設置されています。
鹿深夢の森の公共施設にも使えるところが!
鹿深の森には、大きな建物に公共施設が入っています。建物は3つに別れると思っていいでしょう。中央にあるのが、かふか生涯学習館で、カフェのお和しすや、多目的に貸し出される部屋があります。
お和しすでは、飲み物やアイスの他、セルフでお湯がもらえるカップラーメンやうどんが格安で提供されます。公共施設らしい手軽さがうれしい、使いでのよい場所です。
ロビーもゆったり、3階には25 cmの屈折望遠鏡が置かれ、毎月第2土曜日に天体観望会が開かれます。参加費も無料です。
忍者の砦などがある芝生の斜面向かって、左側には甲賀創健館があり、甲賀子育て支援センターになっています。ここには未就学児とその保護者対象に、自由におもちゃで遊べる屋内のスペースがあります。平日のみ9時~17時の限定ながら、覚えておきたいものです。
かふか生涯学習館の、斜面向かって右にあるのは図書情報館。児童書も沢山揃える図書館で、トイレ(多目的あり)はもちろん、授乳室や談話ロビーなども利用できます。
開館時間:10時~18時
休館日:木・金、第4水曜日、12月29日から1月3日
鹿深夢の森を訪れるには(アクセスについて)
住所:滋賀県甲賀市甲賀町大久保507番地2
連絡先:0748-88-2190
甲賀市観光ガイドからの引用
新名神 甲賀土山ICから約20分
名阪 上柘植ICから約20分
JR草津線油日駅下車徒歩15分
【自動車を利用する場合】
駐車場:無料(300台)
公共施設棟が並ぶ、忍者の砦とは逆の斜面の上に、大きな駐車場があります。
最寄インターチェンジ:新名神高速道路甲賀土山
合併により滋賀県南部の大きな地域を占めることになった甲賀市は、三重県と京都府に挟まれる形になっています。滋賀県の中では、琵琶湖周辺とは違ったエリアといえます。特に新名神高速道路の開通で、中京圏からも一層訪れやすくなりました。
【公共交通機関を利用する場合】
最寄駅:JR草津線油日駅徒歩約1.4 km
最寄バス停留所:
図書情報館、甲賀壮健館(ハローバス甲賀駅北口発着大原線往復路)
くすり学習館、図書情報館、甲賀壮健館(ハローバス油日線復路甲賀駅北口行のみ)
甲賀市コミュニティバスが、鹿深夢の森のふたつの建物を経由します。ハローバス油日線の甲賀駅行きの油日駅に停車する便は、鹿深夢の森の施設には停まりません。
くすり学習館というのは、ちょうど忍者の砦のところから、道路を隔てたところにある体験展示館で、甲賀忍者の時代から伝わり、地元の産業になる薬の展示や、丸薬づくり体験ができる入場無料の施設です。一緒に利用するのもためになる施設になっています。
関連リンク:甲賀市くすり学習館
まとめ:遊具のみならず施設の充実度で満足度高い公園
きれいに整備された芝生の園地と、楽しい遊具が揃うことに加えて、充実の公共施設のある使い勝手よい公園です。また歴史ある地域の環境もよい場所。甲賀流忍術屋敷や甲賀の里忍術村は近く、また信楽は同じ市内になっています。
どこを中心にするのかはいざ知らず、観光スポットにあります。まとめて楽しむプランに、忘れずに加えることをおすすめしたい公園になります。
公式サイト:とくに参考になるものは用意されていません