これぞ遊び心と称賛したくなる面白さが、恐竜のオブジェやイメージ以上に溢れています。なにが恐竜クラスなのかといえば、そんな頭抜けた仕掛けや、貫かれる哲学のスケールに思えます。
子どもと遊びに出かけて「ここはいいな」と思える場所をご紹介しています。高くそびえ立つような、巨大なコンビネーション遊具で、あらゆる遊びが詰め込まれた感じも楽しいものです。とはいえ、平成榛原子供のもり公園恐竜の国ではその点で真逆。
ゆったりと配置されているため、余裕があるのがよいところ。それでも巡回ルートとして充実しているため、点在していて散漫な印象などは皆無。敢えて違う方向に分け入って進まなければ、遊び場のルートは、ほぼ決まります。
その通りに順番に巡る感じであれ、違った楽しみがどんどん出現する遊び場になっています。恐竜のオブジェやパーツは、そんな要素のほんの一部でしかありません。それではどんな楽しみが現れるのか。
恐竜の国の詳細を、いつものように独自に撮影した写真を満載して、人気の遊び場へのお出かけに役立つようガイドします。
子どもが大型遊具で遊べる恐竜の国をしっかり解説!
恐竜広場へは、宇陀川にかかる森の大橋を渡った公園入口、森の館3階から向かうとよいです。
まずはようこそのゲートを目指して!
森の館の3階からまずは、恐竜の森のゲートを目指すのが、ここでの定例的な遊びの作法。橋を渡って階段を上ります。すでに3階まで上ったはずなのに、まだ結構続く道。ここは頑張りどころ。この周辺にあるショートカットで抜けていっても、結局恐竜の国で遊ぶのに、苦労はさほど変わりません。
ならばすぐに訪れる楽しさを考えれば、ゲートを目指すのがおすすめです。後から滑るローラー滑り台のことを考えなくても、とりあえずこちらからアプローチしたほうがよさそうなのは、ここから丘を下りながら遊ぶのがいいのか、上りながら遊ぶのがいいのかに着目した結果です。
恐竜の形らしきミニコンビネーション
という訳で目指すルートで到着するのは、特に命名されていない非公式なものながら、エントランス広場的な場所。そにには小さな複合遊具。
よくみれば意匠は恐竜! らしきものです。リアリティを追求したものではないとはいえ、コンビネーション遊具用のパーツを、ふんだんに使って表現されています。パネル遊具も沢山。
恐竜という生き物が存在した時代を思えば、仮にリアリティといっても、何が? というのは難しい問題。
遊具としては極めて幼児向けながら、首として採用したのは相当湾曲するミニチューブトンネル。お蔭でよくあるものより、刺激的になっています。
傍らにはトイレと屋根付きの休憩所。木立がたくさんあるため、日よけになる場所は沢山ある園内で、こうした構造物は多くないです。あとはここから続く恐竜の国が終わり、キャンプエリアまでいかなければ、類似のものもありません。
恐竜のオブジェというよりあらゆる遊具が連続!
エントランス広場的なところを抜けると、いよいよ恐竜の国の遊具の道が現れます。チューブの道の途中には出入り口。ちなみに展望場となる花見台は、この辺りから分岐した先。
何も知らずに訪れたとしても、恐竜のミニコンビネーションの先のほうで、黄色いチューブが円を描いていることには気づくでしょう。のっけから大きな仕掛けが迎えてくれるのが恐竜の国。
大きいだけではなく、なかなか凝った作りです。途中に出入り口がありますが、まずは順路(非公式)となる木の廊下から進むのが、あくまでおススメです。
歩を進めるまでもなく、前方の通路が2段構えになっているのは確認できます。傾斜地を抜けるためのロジックなのだということも、すぐに理解できるでしょう。
こういった周遊性が、恐竜の国の遊具の最大の特徴です。ここは恐竜のオブジェで満たされた場所ではないです。満ちているのはゆとりと遊び心。
ゆるやかな階段を少し上るといよいよ、巨大なチューブトンネルに進入します。
ぐるりと周回しながら内部には、いくつかの障害物が仕掛けられています。途中には先に見た、別の園路との連絡口も開いています。
抜けた先は上に見えていた空中の橋脚路。斜面に掛けられた意図は、連絡橋としてよりもやはり「遊び」です。
橋の途中にはドキドキものの仕掛けもあって、高さが生きています。
途中で下を眺めると、ターザンロープも確認! 公園の遊具の主役となるひとつは、ここにもあります。次の目的! と見定めたくなる気持ちは分かります。ただし、急がなくて大丈夫。後回しで構いません。
というか順路的は、最後のほうに回した方がよさそうです。だいいち、ターザンロープに急ぎたいのであれば、恐竜型の小型コンビネーション遊具の後ろの辺りから、ショートカットルートがあります。
さて、遊び場に溢れる楽しさの中では、むしろ数少ない要素になる、恐竜の国という名前にふさわしいものに到着です。最大の迫力なのはこれでしょう! ふたつの首が飾られた橋を渡ります。
通路としては連続しているとはいえ、遊具の塊としては次の部分となる巨大なL字を描く複合遊具に差し掛かります。
メインのルートはやはり長い斜面となるネットの吊り橋?
恐竜テイストが主眼ならば、足跡を模したのであろう足場の太鼓橋ルート?
いずれにせよ、L字の角は塔になっていて向かう先はここ。どちらのルートからでも下の台場に行けます。
リング梯子で上るちょっとした展望スペース。確かに恐竜の国で、一番高い場所になります。
結局、最初にどちらを選んでもいいのだと云えるのは、もう片方も試してみようと戻るとして、その途中に当たる場所にも、見逃せない遊具があるため。ステゴサウルス風の形態であることは感じられる、この遊具。
遊びの種類からの分類のほうは、簡単ではないユニークな遊具。ネットの斜面と、トランポリンと、やや非現実な突起による登坂部分と、よくみればさらに下の部分はチューブトンネルをふたつ使って、通り抜けられるようになっています。
それから実は中心部分はラダーです。内部と外部の連絡はそこからも可能です。鬼ごっこでもするならば絶好の障害物。
ネットから離れれば、外からは絶対にタッチできないです。片方から追いかけようとすれば、もう片方のチューブやラダーを使って逃げられてしまうでしょう。
ちなみにターザンロープのほうに向かう道もまた、このステゴサウルス風のところから通じています。ただし、敢えて向かう必要はありません。順路的にはまだ後回しで大丈夫。もちろん向かってはいけない! ということではないです。
さて、このL字の巨大遊具、序盤部分を堪能したらもう一辺に向かいましょう。ゆったりと進む通路に、遊びが仕掛けられているのは同じ。ただ、またまた違った楽しさが組み込まれています。
台場の上からは、ソフトな突起を足場に坂を下りて行きます。
または、地面レベルの別ルートもあります。もしくは、ステゴサウルスのところから、滑り台セクションに直接向かってもよいです。
その前に着目しておきたいのは、チューブトンネルルート。内部には手掛かり足掛かりがあります。
ちょうどエントランス広場的な場所にある、ミニコンビネーションで恐竜の首だったところの大型版です。合わせるようにして、隣の脇道の障害物も複雑化しています。
辿り着く先で滑り台セクションといっているのは、やや独立したような形で、小塔が目印になるふたつの滑り台があるところ。ひとつは意外に珍しい形の樹脂製のもの。こういう末広がりな形はあまり見ません。
通路の反対側には、そのものは至って普通な、ちょっとだけカーブしたシングルレーンの樹脂製のもの。それが恐竜の国らしい装飾が施されています。大人の心でみればただの無駄。でも子どもの心で見れば、恐竜の国の貴重なレア要素です。
滑り台セクションを過ぎれば、巨大L字遊具もいよいよ終盤。ラストのパートへ向かいます。手すりのようなものがついた部分は、ちょっとフレキシブルなドッキリ部分。
最後まで「遊び」に手抜きなく、道は大トリを迎えるのです。
大型L字遊具の最後を飾るのは、ザイルクライミング。ザイルネットの吊り橋でも連絡されています。ザイルクライミングとしては、巨大でもなくかといって小さい部類でもありません。
このザイルクライミングも細かくみると仕掛けがあって、注目すべきは設置面近くに、マットの足場が仕込んであること。このため、ここに立って飛び跳ねてみたりできます。
この位置のマット、この構造が意味することは、全体を意図的に強く揺らせることです。だからこそ、このサイズにしてあるとも云えます。こういう絶妙な遊び心が特徴といえる恐竜の国。
そんな哲学を一番象徴している場所が、ここではないかと感じます。ザイルやネットを使った遊具について考察した記事があります。時間ある折にでも、ぜひそちらもご参照ください。
関連記事:公園選びの参考書!公園遊具の種類を徹底考察【ザイルとネット遊具】
恐竜に飲み込まれた先に待つのは!
さて、遊具としての連続は一端途切れるものの、遊びはまだ続きます。ザイルクライミングの傍らにある、いかにも恐竜の国らしいものとしては、最後のオブジェに飲み込まれるように先に進みます。
階段を下りた先に見えるのはチューブと、さらに向う側に伸びる釣り橋。
実は階段の先にはザイルネットの登坂路。なんてことはないものの、ここはショートカットなし。どこまでも遊び心に容赦はありません。もちろん、戻って違う園路で進むことは可能。むしろ下のチューブこそ、横から簡単に迂回できます。
この先には、ふたつの選択肢。ひとつはすでに見えている吊り橋。
もうひとつがいよいよ、恐竜の国の東側の一端となるローラー滑り台、しかも実は3基。ひとつはまっすぐ短めに、草斜面と呼ばれる芝生の大斜面の上の方に向かうもの。
残りのふたつは、双子的に草斜面を駆け下りる、長めのツインスライダーのどちらかを選択するルート。このツインスライダーはそれぞれちょっとだけ異なるテイストです。
どちらも滑るならば、ゆるい傾斜の草斜面を戻ることになります。いずれにせよゆるやかな傾斜でもなめらかな、ローラー滑り台の機能的な特徴を生かした、のんびりムードのものになります。
草斜面を下れば先は宇陀川の河川敷、その辺りから見える蛇行部分の下流は、いよいよ室生ダムの作る室生湖の雰囲気を漂わせる流れになります。
さて、帰路につくならば遊具の道をさかのぼる必要はなく、河川敷そのものや、河川敷に沿って森の館に向かう道があります。アップダウンが一番少ない道です。
印象的な恐竜のオブジェに飲み込まれた先、チューブの手前からローラー滑り台を選択するのは、どちらかといえば帰り道。もっと遊具で遊ぶならば吊り橋のほうに向かうことになります。
さてその吊り橋。大抵の吊り橋は不安定なところも面白さのひとつ。その点では極めつけに遊具的だ! といえる特徴を持っています。
素材からしてグワングワンと、大袈裟なくらいに揺れる橋です。側面のネットはまさに大いに揺らせてみてください! と云わんばかりの安全対策。
さて、吊り橋を渡った先はどうなるのかといえば、一言でいえば帰り道ではないです。ここで主に示されるのはふたつの選択肢。ただしいずれの選択をしてもやることは、もう一度恐竜の国を遊び直すことです。
まっすぐ進むのは「ようこそ」のゲートのあった、恐竜型の小型コンビネーション遊具のある、エントランス広場的な場所へ向かう階段。リングトンネルの遊具などもある急坂です。
渡って右に向かえば、ターザンロープを経て、ステゴサウルスのところに辿り着きます。このようなルートを辿りたくない場合だけ、先にターザンロープを使っておいた方がよいというロケーションな訳です。
また吊り橋の先を左に曲がれば、河川敷沿いや斜面を森の館へ向かう道です。斜面のルートは、河川敷を通らないショートカット。もっとも起伏の少ない川側のルートは、川が直角に曲がっている部分に沿うため距離は長くなります。
平成榛原子供のもり公園を訪れるには(アクセスについて)
住所:奈良県宇陀市榛原桧牧2107番地4
連絡先:0745-82-7411(公園管理事務所)
休園日:4月1日~10月31日は無休
(以外の期間は火曜定休、祝日の場合は翌日、12月28日~1月4日も休み)
駐車場:有料(普通車1回500円)
利用時間:8時30分~17時(公園開園は9時から)
公式サイトからの引用
近鉄榛原駅より奈良交通バス「桧牧バス停」下車徒歩10分程度
この場所にして駐車場は有料です。恐竜の国を訪れる際に、もっとも残念な点はここでしょう。榛原駅から最寄バス停まで約2 km、森の大橋の袂まで2.6 kmほどです。バス便は開園時間中3本のみ。事実上行く便、帰る便1本づつです。
アクセスの詳細など、平成榛原子供のもり公園の概略は関連記事をご参照頂けます。
まとめ:いたずらに規模を追わないスケール感が好感度の素
恐竜の国を表現するならば、遊び心の哲学が深い場所といってみたらどうでしょうか。ここは立地そのものが大きなスケールです。
そのスケールをしっかり堪能するためには、遊具のほうをいたずらに高く積み重ねたり、大袈裟に斜面に括り付けて見たりする必要はなかったといえます。
それはここで遊んでみると得られる、ほっこりとした満足感がしっかり物語っている! といえそうです。
公式サイト:宇陀市 平成榛原子供のもり公園