これは最大級! と認定してもよさそうな遊具があります。何が? と問われれば、高さも、連なりによる規模も! と答えることになります。4つが連なっているとなると、かなり特別なものになるのがザイルクライミング。
子どもと遊びに出かけて「ここはいいな」と思える場所をご紹介しています。そんな中で中央が大きなザイルの円になり、そこに4連に繋がったものならば、例を挙げられます。けれども、これまでの知見ではそこまで。
簡単にいってしまえば、滋賀県草津市の矢橋帰帆島公園子供の広場にあるピラミッド型ネット遊具は、5連のザイルクライミング。少しだけ正確にいうならば4連+1のものになります。
この巨大遊具の周りに回廊デッキが巡り、他にも大型遊具が目白押しなのが子供の広場。琵琶湖に浮かぶ公園島で、子どもが思う存分楽しめる、遊具の数も規模も、ユニークさでも、目を見張るものがある遊び場。
回廊デッキの密な連絡のせいか、コンパクトにまとまっている印象です。それは1982(昭和53)年に完成した人工島に、計画的に作られた場所だからこそ。たくさんの遊具を手間なく回れる、遊び易さもいいところです。
完全無料(その気になれば一切のお金を使わずに遊べる)となっている子供の広場をいつものように独自に撮影した写真を満載して、人気の遊び場へのお出かけに役立つようガイドします。
子どもが大型遊具で遊べる矢橋帰帆島公園子供の広場をしっかり解説!
矢橋(やばせ)帰帆島(きはんとう)は、下水関連の公共施設を取り囲むように、他はすべて公園となっている島。レジャープールやスポーツ施設の他、憩いの緑地も配置される中、島中央部やや南側に、遊具が置かれた子供の広場(公式サイトの表記は、子どもの広場)があります。
最大級ザイルクライミングはなんと5連のもの
琵琶湖国定公園にも含まれる矢橋帰帆島。日本初の国定公園としての指定に先んじて、県と観光協会では、琵琶湖八景を定めました。その当時は存在しなかった島ができた場所は、遡って江戸時代からの近江八景、矢橋帰帆の地です。
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(自然公園の国定公園の中に、営造物公園の矢橋帰帆島公園? の訳が分かります。)
矢橋帰帆の景色は、公園島とともになくなってしまいました。あたかもその代わりとでもいうのか、子供の広場には琵琶湖八景がモチーフの、景色や遊具が配置されています。この遊び場を一言でいうならば、琵琶湖八景のオブジェをデッキで巡る場所になります。
そこに置かれた大型遊具は個性派揃い。ただ鉄柱からザイルを張られただけの構造でしかないピラミッド型ネット遊具は、中心に置かれているにも関わらず、ちょっとみただけではあまり存在を主張しません。子供の広場は遊具の種類も豊富で、コンパクトに配置されています。
関連記事:公園遊具の種類を徹底考察【ザイルとネット遊具】
(ザイルというものや、ザイルを使った遊具、ネット遊具についてが分かります。)
ただしよく見れば、本来他に簡単に目を奪われておしまい! になるようなレベルのものではないことに気づきます。そもそも構造が高さ10 mある大きなほうと、4連になっている少し低いほう、それがザイルの橋で繋がっているという刮目すべきものです。
どちらかが単独であったとしても、それぞれが高さ、連結された規模という点で最大級だ! といえます。基本のザイルクライミングは、建てられた鉄柱からのザイルを4点(小さいものなら3点)で地上に固定して、さらに全体を編み込んでいます。
ザイルの強度とテンションで、安定して自立しているといえ、バランスの問題があって作る時には、比較的大きさは自由ながら、形状はいくつかのパターンに収束しているのが現状でしょう。
高さに関しては、自然公園と営造物公園について、先にリンクを示した公園総まとめの関連記事を読み進めると、別に考察があります。つがの里ファミリーパーク(栃木県栃木市)の高さ11 mのものを例に、これで最大級になるはずということが書いてあります。
矢橋帰帆島公園の10 mのものも、まったく同じことが言えていて、これ以上大きくなると子どもでは上り難くなる問題があります。地面に固定するところのザイルの間隔が大きくなり過ぎるのです。
実際大きいと感じるザイルクライミングでも10 m前後ということが多いです。連なっているほうも4連というのは確認できる限り最大級の規模です。4連のものの特徴は、真ん中に大きな円形の穴ができること。本来地上に固定するうちの1点は、それぞれここに繋がります。
連なっている場合は、遊び方も高さに挑むよりも、横渡りがテーマ。どちらもあるということは、子どもの年齢層に幅広く対応する面でもいいことです。おまけに矢橋帰帆島公園のザイルクライミングは、フルオプションな状態です。
ザイルクライミングにはオプションパーツがあり、採用されないことが多いものの、あると楽しさは膨らみます。高さのあるほうには、黒い籠? のようなものがはめ込まれています。これは定価で1個60万ちょっとするものです。
4連のほうには低い位置にマットのようなパーツが組まれています。高さを抑えてあるこちらは、横渡りを主眼とするとして、この部分で飛び跳ねてくれると、全体が揺れて少しスリリング。こんなオプションパーツの使い方も見事!
ふたつの形状が組み合わされている利点が、生きているといえます。こちらも定価でいえば、1個小さめのもので30万ほど、大きいものはやはり50万オーバーのものです。さすが宝くじの資金も、投下されているだけのことはあります。
最大級のものがふたつのパターン揃い、橋でつながっているため、5連のザイルクライミングといって差し支えないでしょう。さらにフルオプション装備なのですから、特別なザイルクライミングここにあり! です。
ふたつのローラーすべり台はどちらも組み合わせの妙あり!
駐車場のほうから、寄り道をせずに遊具のほうに歩み寄れば、案内図によると伊吹山をイメージすると思われる、築山があります。ローラーすべり台とともに、目立つのは登坂遊具。
3種類の傾斜があるもので、最も急なところにはロープとホールドが、少しだけ緩やかになったところにはロープだけ、一番緩やかな坂はそのまま上れという感じの、ただの坂道です。
上った先は築山の地面ではなく、短いながらネットスロープと囲い付きのラダー。ここだけでもたっぷり遊んでくださいといわんばかりに、念入りの仕様です。
いちおう飛び板? という感じの道とデッキが続いていて、ローラーすべり台に向かいます。
スタート台に上るまでもなく気づくのが、このローラーすべり台は途中で分岐していることです。
ローラーすべり台を分岐させるのは技術的に難しいです。一旦、ローラーで滑るのは終わりで、ステンレス部分で分岐、またそれぞれにローラーが組まれています。傾斜からするとステンレス部分はスムースに滑降はできません。ちょっと残念なところです。
片方は彦根城がモチーフ(琵琶湖八景:月明 彦根の古城)の、櫓のところに下ります。櫓は園内のデッキの回廊を跨いでいます。
遊具としては、垂れ下がったネットを使うのが難しいほうのトライ。街の滑り台についているような階段状の梯子で上ったところとは連絡しています。どちらを使っても大丈夫。
もう片方は、ひょうたん型の砂場に下ります。傍らの看板には竹生島(琵琶湖八景:深緑 竹生島の沈影)がひょうたん型なこと、ここが幼児向けの一画なことが書かれています。ふたつの行き先からすべり台の分岐は、北国街道との分岐が着想か! と分かります。
大きな石が並んでいるところの空中回廊は、彦根の櫓風遊具からデッキを通って旋回して上った先です。旋回する坂道は、賤ケ岳(琵琶湖八景:新雪 賤ケ岳の大観)のイメージ。囲まれた樹脂チューブの遊具に、どのような思いが込められているのか、解説はありません。
関係があるのか、ただ置かれているのかも分かりません。ほかの場所をみるとストーリーはあるので、山の中の洞窟なのか、険しい道なのか、雪渓? なのか、子どもはただ面白そう! と思うだけかもしれないです。
子供の広場を巡るガイドになる回廊デッキは、例えば彦根の櫓のところを、どちらに向かっても問題ないです。違いは先にどこに着くかだけ。そして結局ぐるりと回って繋がっています。園内を見渡す空中回廊という意味では、確かに賤ケ岳など琵琶湖北岸の眺めに思いを馳せるもの。
チューブ遊具側のほうは、螺旋を描く回廊デッキ。もう一方は、ゆるやかなカーブで地上に戻ります。眼下に並べられた岩は、海津大崎(琵琶湖八景:暁霧 海津大崎の岩礁)を表します。琵琶湖北岸に突き出る山塊を抜けて、平地にでる高島市マキノ海津にある景観です。
そこは分岐したローラーすべり台のひとつの着地点、動物柄のキューブを揃えるパネル遊具のある竹生島の砂場から、さらに並ぶパネル遊具を、いくつもくぐり抜けた先になっています。
回廊デッキは一旦、ピラミッド型ネット遊具に向かって途切れています。
この大型ザイルクライミングの先にも、回廊デッキが向かってきています。その意味ではピラミッド型ネット遊具は、回廊デッキの代わり。そしてルートの一部といえます。
途切れた回廊デッキが再び始まるところにあるのは、雄松崎(琵琶湖八景:涼風 雄松崎の白汀)のイメージ。雄松崎というのは琵琶湖随一のリゾート、近江舞子の白砂青松の砂洲のことです。
また、ピラミッド型ネット遊具の対面には、彦根の櫓のところからの回廊デッキが通っていて、安土八幡(琵琶湖八景:春色 安土八幡の水郷)として芝生のエリアと、続いて飛び石で休憩所となる四阿を結ぶ広場に臨んでいます。
ならば、矢橋帰帆島公園子供の広場を象徴するピラミッド型ネット遊具とは、琵琶湖そのものといえ、なるほど2つのパートを繋ぐ壮大なものを企図したのは、そんなアイディアからなのか! と思い至ります。
もっとも、琵琶湖なのはピラミッド型ネット遊具だけではないのかも! 隣接する場所にあるザイルネットのトランポリン風の遊具は、位置からしてもしかして沖島? と思えるものです。そうするともうひとつのローラーすべり台にも、秘められた意味があるのではと思えてくるのです。
もうひとつのローラーすべり台に至る前に、これは琵琶湖西岸の比良山地がモチーフかと思える展望台があります。展望台を上った方角は、リアルな琵琶湖南湖部分の対岸ながら、そこまで見渡せる高さではないです。
ただし壮大な光景は広がっていて、メガソーラーの発電設備が一帯を占めています。矢橋帰帆島は太陽光発電所でもあるのです。
展望台を横目に見ながら、沖島のようにも思えるトランポリン風遊具やスプリング遊具の間を抜けると、もうひとつのローラーすべり台があるところ。
途切れた回廊デッキに戻るとまずあるのが、雄松崎を表し、我は湖(うみ)の子~♪ で知られる琵琶湖周航の歌を鳴らしてみる趣向のある、砂洲と思しき広がりのあるデッキ。
そこに並ぶのは比叡山(琵琶湖八景:煙雨 比叡の樹林)へのルート。そこにいくまでにも遊具の道があります。比叡山の案内看板の下には、先にあるローラーすべり台は湖西ルートだとするものが並んでいます。
この分岐する方と違う、もうひとつのローラー滑り台、雄松崎側と安土八幡側、琵琶湖両岸を跨いでいる格好です。つまり同じく案内看板に記されている通り、琵琶湖を北湖と南湖に分ける地点、琵琶湖大橋を表すことになります。
琵琶湖大橋が架けられたところから南側、南湖の部分は東西の幅が北湖よりもかなり狭くなっています。南北の距離もごく短いため当然、面積もかなり小さくなっていて、その辺りも再現されています。子供の広場で琵琶湖全体の輪郭を表しているのは、実は回廊デッキになる訳です。
そんな訳で回廊デッキは合流して、周回できるようになっており、さらには琵琶湖から唯一流出する河川、瀬田川のイメージも作られています。
回廊デッキは瀬田・石山(琵琶湖八景:夕陽 瀬田石山の清流)の日本3名橋とされる唐橋を表す、すべり台遊具になる橋に跨がれて、一端を終えることになります。
今だ有料道路のままの琵琶湖大橋を渡る気分で、回廊デッキを跨ぐローラーすべり台を楽しむためには、アスレチック風の遊具をいくつか経て行けるようになっています。丘をそのまま上っても構わないのも、組み合わせの妙を楽しみながらでもいいのも、矢橋帰帆島公園のローラーすべり台ふたつに共通する点です。
下から順にローラーすべり台を目指すならば、まずはロープを補助にしながら乗り越える丸太のスロープ。
次にネットトンネルをクリアしていくことになります。ネットトンネルを進めば垂直な部分を挟んで、丘を上る結果になります。
さらにレールスライダーで滑空。長い柄に、持ち手がふたつのちょっと変わったタイプ。ふたり乗りということではなく、レール位置がやや高いのです。
そうして、ローラーすべり台のスタート台となっている搭への階段に向かいます。
この搭からの発進となることで、スタート位置はかなり高くなります。なだらかにカーブはするものの直線的に近い形で、森の中から飛び出していく感じになっています。
ちなみに塔の内部には、ラダーが組み込まれています。
ただし、蓋がされているため、上りルートとしては使えません。
子供の広場で目玉となる遊具は、ピラミッド型ネット遊具とふたつの個性的なローラーすべり台になるでしょう。それが回廊デッキで繋がっていて、琵琶湖のイメージで、大きなひとつの世界観を作ってもいます。
近江富士を再現する塚のところにも小さな複合遊具
琵琶湖大橋をイメージしたローラーすべり台を下りて右手、瀬田の唐橋イメージのすべり台遊具の近くにも、小さな複合遊具があります。
隣にある塚は、三上山ということになっています。三上山は近江富士といわれる432 mの山です。野洲市の平坦地に取り残されたようにある丘陵部で美しい頂きを抱き、古くから歌に詠まれた山。
近くに置かれた小さなものは、特に琵琶湖の風景とは関連してはいない遊具。子供の広場のみならず、大きなスペースのある矢橋帰帆島公園。もしかしたら、まだまだ拡張がある? と思わせる、ちょっと新しげなものです。
おもしろ自転車はいちおう別枠?
子供の広場の北側、いちおうエリア内のようにも見えるところに、アスファルト塗装の楕円のコースがあります。おもしろ自転車の乗り場で、有料でもあり別枠扱い。格安ではあるので、子供の広場での遊びの一環と捉えてもいい感じです。
おもしろ自転車利用料金:(30分入替制)大人290円、小中学生以下190円
(3歳未満は無料、就学前の子どもの利用は成人の保護者の付添が必要)
チケットの仕組みが独特です。指定時間帯の入場料の形となり、30分は遊び放題、先着順で好きな自転車を選んで乗れます。券売機は芝生の広場管理棟にあります。
チケットそのものも、先着順に販売してしまいます。そのため早くに、売り切れることもあり得ます。また営業時間が、季節・曜日などで違います。火曜日はお休みのことも多いので、いずれにせよ公式サイトで事前確認したほうがよさそうです。
通常営業時間:9時~17時
(土日祝以外は大抵11時30分から、終了時間は短縮、延長あり)
矢橋帰帆島公園、子供の広場以外の概要は!
- 無料で利用
- 大はらっぱ広場(草地の大広場、一輪車練習場、100 m走トラックなど)
- 有料で利用
- 矢橋帰帆島公園プール(7月~9月上旬)
- 運動施設(テニスコート・多目的グランド・ゲートボール場・グラウンドゴルフ)
- キャンプ場・バーベキュー場(3月中旬~11月中旬)
人工島を作った、そもそもの目的となっている湖南中部浄化センター(下水道施設)と淡海環境プラザ(下水処理研究施設)以外は、公園施設です。遊び場以外の施設に加えて、琵琶湖岸にも駐車場のある園地があったり、まさしく公園島とでも呼べる場所になっています。
矢橋帰帆島公園子供の広場を訪れるには(アクセスについて)
住所:滋賀県草津市矢橋町2108
連絡先:077‐567‐1969
公園立ち入り可能時間:6時~21時30分
公式サイトからの引用
【 バス 】
JR草津駅西口より近江バス
浜大津、石山駅、瀬田駅行き「矢橋」下車、徒歩約10分
JR南草津駅より近江バス
イオンモール線(草津総合病院経由)「矢橋」下車、徒歩約10分
【 車 】
名神高速道路 瀬田西IC または 草津田上IC から約15分
【自動車を利用する場合】
駐車場:無料(約500台)
一番便利な子供の広場に隣接する駐車場の他、公園プールの前、建物屋上のテニスコートの横には屋上駐車場があります。
島には南北から琵琶湖湖岸の、さざなみ街道(県道559号)でも渡ってこれます。湖岸に停めて景色を眺める無料駐車場はあるものの、子供の広場のほうには入れません。あくまで、東側からになる矢橋大橋が入口なのに注意です。
最寄インターチェンジ:名神高速道路瀬田西、新名神高速道路大津連絡路草津田上
新名神の草津田上ICは、名神と大津連絡道(現状での新名神開通区間)との草津JCTを使って、どちらからでも利用できます。瀬田西ICとどちらがいいのかは、微妙な問題です。とりあえず、来た方向から近い方を利用するのがよいでしょう。
【公共交通機関を利用する場合】
最寄駅:JR琵琶湖線南草津駅約3.4 km
最寄バス停留所:矢橋(近江鉄道・故国バスイオンモール南草津線)
南草津駅からイオンモールまでのバスを利用できます。毎時1本ほどで、土日は少し増便しています。矢橋帰帆島のバス停留所は、公園を利用するのに便利な時間には運行していません。やはり自動車で行くのが便利です。
まとめ:琵琶湖に浮かぶ公園島のど真ん中は別世界
唯一の橋はどこか武骨なもの。さざなみ街道側も琵琶湖の眺めはいざ知らず、遊び場があるはずの方向に見えるとしても、メガソーラーや下水施設。一見そんな場所? と思ってしまってもおかしくないです。けれども、子供の広場までくれば、もう別世界。一味どころでない、違いを感じる遊具が待ち受けています。
公式サイト:矢橋帰帆島公園
矢橋帰帆島公園すごいすべり台紹介動画