豪快な旋回をみせるスパイラルフォレストの登場で、千葉県松戸市の21世紀の森と広場は、遊具のある公園としても大きな存在感を示すことになりました。
その声望は下総の地域一帯に及ぶといっていいでしょう。子どもと遊びに出かけて「ここはいいな」と思える場所をご紹介しています。
今の昭和の日、つまり昭和の時代には天皇誕生日(さらに以前は天長節)だった4月29日が、かつてのみどりの日(現在のみどりの日は5月4日)だった1993(平成5)年。
作られた理念を意識してのことか、当時のみどりの日に開園した21世紀の森と広場は、地域の特徴となる谷津の風景を、残して生かしたいという願いを形にしています。
ここが松戸市の公園であることを考えれば、ことさらに公園の規模は破格なもの。しかもスポーツ施設は、1 km程離れた松戸運動公園の野球場と陸上競技場もあってか、特に作られていません。
千駄堀池の北側の谷津の部分になる自然生態園は、立ち入りがされないようになっている状況が物語るように、自然公園として残そうという考えもあったといいます。
実際には都市公園として整備された園内では、谷津田を広く快適な芝生広場に変えたり、人工の千駄堀池のほとりには、パークセンターやカフェテラスの入る立派な建物も並んでいます。
松戸市文化会館である森のホール21や松戸市博物館も設置されて、保全目的以外にも、触れ合える形の自然環境が、文化的な雰囲気を漂わせつつ、高い意気込みで提供されています。
遊具のあるあそびのすみかについても、湧水からの流れもある、きれいに芝生が敷かれた広大な光と風の広場の一角です。なにかを示唆する想像力豊かな造形が見つかる遊び場です。
ぐるっと大きく旋回する様子は、どこにでもはないものといえる、スパイラルフォレストというすごいすべり台と、そこへの上りルートになる冒険トレイルが加わわることで、遊び場はさらに深化したことになります。
遊具の魅力がぐっと増した21世紀の森と広場を、それだけでない色々を含め、いつものように独自に撮影した写真を満載して、人気の遊び場へのお出かけに役立つようガイドします。
子どもが大型遊具で遊べる21世紀の森と広場をしっかり解説!
東京ドーム11個分あるという、広い21世紀の森と広場で遊具を使えるのは、あそびのすみかと呼ばれる辺りです。パークセンターから見渡す正面、そこからは公園を跨ぐ橋の向こう側になる、芝生がきれいな光と風の広場の一角です。
大迫力の滑走が楽しいスパイラルフォレスト
2022(令和4)年にあそびのすみかに加わった、大斜面を利用した3つの遊具。中心になるのはスパイラルフォレストで、冒険トレイルと縄文トンネルを率いている状況。
大旋回しながら斜面を駆け降りるローラーすべり台が、スパイラルフォレストで全長は50 mとのこと。千葉県最長は千葉市昭和の森の109 mのもの。
そして実は隣り合わせで、事実上一体になっている小中池公園にも、90 mのものがあります。この県内最大級のものには及ばず半分程度の距離といっても、がっかりするには及びません。
ローラーすべり台が50 mの長さであれば、充分な長さがあります。もし、そうは言われても・・・ と思われるのであれば、長さは、ひとつの要素でしかないことをお伝えしたいです。
ローラーすべり台の面白さは、形状によって違う味わいがあるものです。なのでどちらかがより! という好みは生じても、それぞれに特有の魅力があります。
特に両極端ともいえる特徴を備えつつも、すぐ近くで並んでいる県内最大級の二つと比べると、スパイラルフォレストはいろいろな意味で、いい塩梅なところがあります。
ローラーすべり台はそもそもが、さほど勾配がなくとも滑走できるのが特徴です。長い距離をゆったりと滑る遊覧型にも作れます。どちらかといえばですが、千葉市昭和の森のものはこのタイプ。
というのも、ローラーすべり台を本当に遊覧型にして遠くまで運ばれる形にすると、もう一度と思って戻ることがとても大変になります。なにしろ基本的にはその場合、上り坂になります。
ローラーすべり台が旋回をしていると、その意味ではスタート地点から余り離れない特徴も併せ持つことになります。小中池公園のものについては、特別な技術で旋回というよりも転回している感じの設計。
21世紀の森と広場では、この中間の形といっていいのが実際のところ。そして冒険トレイルが生きるのは、こうした特徴のスパイラルフォレストとの組み合わせであることが大きいのです。
ネットの登坂遊具である冒険トレイルを使うことで、滑降の楽しみに別の面白さが加わります。
上りルートに詰められた挑戦は、急斜面を行ったり来たりするモチベーションを掘り起こしてくれることになるでしょう。
迫力たっぷりのスパイラルフォレストは、旋回する滑りも魅力ながら揃って設置された冒険トレイルとの組み合わせのためにも、この程度の長さに収まっている面もあるといえそう。
もちろん階段もしっかり整備されてその場合は、縄文トンネルを潜って滑りに向かうのも加わるバリエーションになります。斜面を下りた先にあるあそびのすみかの遊具に通じるところがある木組みのゲート。
縄文トンネルの変形具合は、時の流れを表現したものだとのこと。どこか抽象的な雰囲気も纏う、もともとあった遊具と一緒で、文化的な雰囲気も漂わせるイメージ豊かな遊具です。
もともとのあそびのすみかなコンセプトで統一感ある遊具
縄文トンネルを抜けた先、スパイラルフォレストに向かうデッキから見渡せるのが、あそびのすみかに前からあった遊具。もう一度か先に進むか悩ましくなるかも。
それでもあわてることはないです。21世紀の森と広場で遊具は、あそびのすみかに集中しています。新旧の間を行き交うのに苦労はしません。その点、思うがままなのです。
もし公園にただ砂場がある場合、厳密には(国土交通省の定義では)、遊具というには微妙です。遊具は一部が地面に固定されているものと決められているからです。
それがジオマウンテンのようにオブジェのように模られていて、砂を入れる容器として機能していたり、化石の埋め込まれた様子が仕掛けられていたりすると、紛れもなく砂場である遊具。
自然の風や水の力で必ず変化していく大自然をイメージして、自由に遊ぶという機能の他に、願いや意味が込めれているのが、あそびのすみかの特徴です。
傍らには特にある! と言及されていない築山もあってあそびのすみかを眺めて、個々に込められた意味を感じてみるのは大人の楽しみか? ただの見守りでないのは一興です。
昆虫のスミカもどこかユニーク。コンクリートの造形物は、遊びの機能がいろいろ。一言でいえば冒険山。狙いはアリ塚や洞窟住宅だといいます。
具体的な部分でいえば、すべり台とごく低いもののクライミングウォール、抜け穴がそこかしこに開いて、昆虫のスミカにも砂場がくっついています。
縄文サークルと呼ぶのはネットの上りと吊り橋を組み合わせた、いわゆる複合遊具です。上りの部分は明確に竪穴式住居をイメージさせるもの。
ただ、縄文サークルはこれに留まらず、円を描けるように配置された、他の二つの円錐状のオブジェとの組み合わせのことです。円錐のひとつはすべり台、上りは階段かウォール。
もうひとつは円錐を模る柱のみ。座るのによさそうなオブジェと一緒に存在します。こちらは、さしたる機能はなくオブジェそのもの。戯れる物体があるのも、ある意味お約束です。
縄文式住居の竪穴式のものは、園内にある松戸市博物館の中を抜けたところになる縄文の森に復元したものがあって、住居内も見学できます。
古くから人が利用してきた谷津を象徴して、長い歴史を物語ってくれるオブジェは、21世紀の森と広場のテーマとして存在しています。
アウトドアセンターのバーベキュー場は有料施設
縄文トンネルの入口から坂を下りると、公園を跨ぐ橋を潜って千駄堀池のほうに向かいます。そうでなく、東のほうに進むと道端からは覗ける、アウトドアセンターの施設にたどり着きます。
バーベキューやキャンプのためにある木もれ陽の森の周囲をぐるりと回ると、アウトドアセンターの建物があります。公園北口がここにあり、その外が北駐車場です。
食材の販売、用具のレンタル等にも対応しています。利用に際し管理費がひとり300円、炉を使うと1,000円(屋根なしは600円)、燃料関係が持ち込み禁止なので購入するしかありません。
少しお金を使うことになる施設も充実している21世紀の森と広場。アウトドアセンターも主要なもののひとつといえます。利用は完全予約制なのでご注意ください。
残された自然は保護と観察の仕掛けを両立
池畔にパークセンターも建てられた千駄堀池の北側、いきものたちの谷津付近は、立ち入りが制限されて保護される自然生態園。西口から進むことのできる一番奥には自然観察舎があります。
自然観察舎の野鳥観察室には、望遠鏡が多数備わっていて自由に利用できます。湿地帯の様子を伺う以外にも、自然生態園の観察では野鳥もみどころ。
野鳥観察ガイドブックや掲示物を参考に挑んでみるのも、ここならではの体験と言えます。自然観察舎では鳥だけでなく、昆虫など生き物の標本も多数展示されています。
西口入ってすぐのところにある、千駄堀池に建つ水上の四阿の対岸の辺りは野草園。自然生態園と続いて、丘、草原、湿地、水辺と残された環境に立ち入れるエリア。
望遠鏡での観察でなく、足を踏み入れるならば野草園の部分ということで、ランニングも遠慮して欲しいとのこと。できるだけ手つかずの自然を観察する目的の場所です。
2階建てのパークセンターは休憩場所として利用できるほか、松戸のみどり情報として資料を集めてあって、手に取って閲覧できる資料館にもなっています。
授乳など赤ちゃんを面倒見るためのブースがあるのもパークセンター内です。
パークセンターの建物の隣にはカフェテラス棟があります。カフェテラスプレリュードで食事もできるほか、売店にもなっています。
またカフェテラスの入口の裏側には、自動販売機が置いてあります。
パークセンターのサンルームから見渡せる南側は、みどりの里として田園風景が意図されて、もっとも南側のつどいの広場まで、農村の雰囲気が続きます。
パークセンター付近は花壇になっていて、季節の花が咲き乱れています。この花園もあまたあるみどころのひとつ。
みどりの里を進んでいくと、里の茶屋は目立つ建物。一服するのにちょうどいい、まさしく茶屋となる飲食店です。園内の施設は充実しているのです。
蕎麦、うどんのほか、カレーやハンバーグ、缶ビールやレモンサワーなどアルコールを含めた、お茶、コーヒー、ジュースなどを提供しています。
さらに進んでいきつくつどいの広場は、これもまた広大な芝生の広場です。もっとも奥に伝統の上総掘りによる森の井戸21があります。つどいの広場は、園外と連絡はないです。
みどりの里やつどいの広場の背景になる山が親緑の丘。既存の森をそのまま残した生命の森になっていて、散策路が設けられています。森を抜けて博物館のほうにショートカットできます。
21世紀の森と広場を訪れるには(アクセスについて)
住所:千葉県松戸市千駄堀269番地
連絡先:047-345-8900
公式サイトからの引用
電車
新京成電鉄…八柱駅下車
JR武蔵野線…新八柱駅下車
徒歩15分(さくら通り→さくら橋アンダー)新京成バス
八柱駅南口より
小金原団地循環または新松戸駅行き、森のホール21公園中央口 下車
※開園時間を中心に10分から20分ごとにバスが運行しています。
馬橋駅入口より
常盤平駅北口行き、東 下車(西口)
または八原台 下車(北口)
新松戸駅より
八柱駅行き、八原台 下車(北口)
または森のホール21公園中央口 下車
新京成バスホームページ駐車場
駐車場満車時は、周辺道路混雑緩和のため、駐車場前での順番待ちをお断りする場合がございます。
東駐車場 (323台)
北駐車場(168台)
西駐車場(225台)
南駐車場(131台)※土曜・日曜・祝日のみ利用可
※普通自動車であっても、車長5.5m以上、車幅1.9m以上の車両は東駐車場以外はご利用いただけません
料金(西駐車場以外)
普通:1日500円
大型:1日2,000円(東駐車場のみ、予約制)
料金(西駐車場)
※西駐車場のみ時間制料金です。
1時間まで 100円
1時間を超え2時間まで 200円
2時間を超え3時間まで 300円
3時間を超えるもの 500円
※西駐車場内に身障者専用駐車スペースが完成しました。あわせて西口前に横断歩道も設置されましたので、ご利用下さい。
【自動車を利用する場合】
最寄インターチェンジ:東京外環自動車道松戸約8 km
三郷南ICとそれほど距離は変わらない、松戸ICのほうが川も渡らず、国道6号線を通ることもないルートを取れます。遊び場に近いのは北駐車場(アウトドアセンター裏)です。
東京外環を北からきた場合、(先に下りてしまって)三郷南ICを利用するほうが距離は短いです。ただ選択に当たっては、どちらかといえば渋滞しがちなルートになるため、交通状況を見極めるしかないです。
東駐車場は森のホール21の裏手、新京成の線路際です。西駐車場は千駄堀池のところをでる西口の目の前。遊び場には少しより距離があるものの、メインの駐車場はどちらかです。
土日祝日の臨時駐車場、南駐車場はあそびのすみかまでは一番距離があり、明らかに遠く感じるでしょう。みどりの里をのんびり抜けるつもりで、利用することになります。
【公共交通機関を利用する場合】
最寄駅:新京成線常盤平約950 m
あそびのすみか付近に直接向かう道があって、常盤平のほうが八柱(もしくはJR武蔵野線新八柱)よりも近いです。
どちらにせよ分かりにくい道ではあります。事前のチェックか、ナビの助けが必要です。
最寄バス停留所:森のホール21公園中央口(新京成バス八柱駅南口から)
森のホール21も松戸市博物館も立派な公共施設です。バスで目指す先もこうした公共施設で大丈夫です。中央口から坂を下りると、あそびのすみかのところです。
まとめ:ずっと残したい価値にさらに加わった意義
付近ではともに際立って目立つオープンスペースになる八柱霊園は、都民のための東京都の施設。開設された昭和初期には、こうしたスペースが確保できる環境だったことになりなります。
平成に開園した21世紀の森と広場のほうは、様変わりする地域のもともとの姿を残そうと意図されたもの。その価値はそのまま、目を見張るような遊具の登場で、新たな意義が加わっています。
公式サイト:21世紀の森と広場