いろいろな形で娯楽を提供してきた眺めの良い丘は、無料で誰にとっても憩いを得られて、充実した時間を過ごせる場所に生まれ変わりました。
名前は歴史を反映した形でつけられています。横浜市鶴見区の鶴見花月園公園は児童遊園地、競輪場という変遷を経て、URが駅前からの一帯を開発するにあたって先行開園。
子どもと遊びに出かけて「ここはいいな」と思える場所をご紹介しています。2021年に公園として生まれ変わった場所は、もとの敷地の一部だけとはいえそれなりの規模。
開園時点で鶴見区内三番目の大きさとなるもので、特に遊具で遊べる公園として種類が豊富。「子どもと楽しむ公園」シリーズとしても注目している、発展形のものも置かれています。
面積4.5 haは都市公園法としての視点では、主な利用者は徒歩圏内で想定されていて、いわゆるかつての地区公園に該当する規模。そんな需要にも充分応えられる大原っぱや多目的広場もあります。
URの開発地域を含めれば駅前から連続した一帯でもあり、地域住民の活動に生かす目的は、鶴見区民全体のためとも意識され、本来の主旨を少し広げられるように、鶴見区役所が主体で管理しています。
そんな状況の中、さらに遊具のことだけみれば、それだけに留まるレベルにあらず! なのです。公園の性格もあって駐車場は備わっていないです。それでも駅からのアクセスは良好。
だからちょっと遠くからでも、お邪魔するだけの価値はある公園です。いつものように独自に撮影した写真を満載して、人気の遊び場へのお出かけに役立つようガイドします。
子どもが大型遊具で遊べる鶴見花月園公園をしっかり解説!
駅の方向からは一番奥になる丘の上に、遊具が立ち並ぶゾウさん広場があります。そこから大原っぱを見下ろすさらに先、丘の下のほうにも遊具広場があり、ちょっとしたものが揃います。
ゾウさん広場にはたくさんの種類の遊具が!
鶴見花月園公園で大型遊具が並ぶのがゾウさん広場。種類も豊富ないくつもの遊具の中でも目立つほうな、クネクネした樹脂製のすべり台が、高さを変えて三連並ぶものが由来のよう。
すべり台のスタートのところのパネルには、確かにゾウさんらしきものが描かれています。さしなみ、すべり台はゾウさんの長い鼻がモチーフということになりそう。
長い鼻に擬される三つを制覇することが、ともかく目的になりそうなコンビネーション遊具は、いろいろな遊具が立ち並ぶ丘の上から大原っぱのほうに向けて滑り下りることになります。
鶴見花月園公園のある丘は、大正時代に作られた花月園遊園地のあったところ。東洋一といわれたという遊園地にあったのは、本邦初となるらしい観覧車や大山すべりというロングスライダーなど。
それどころか宝塚と並び立つ少女歌劇団の劇場、ホテル、動物園やアイススケート場、丘を上るための登山電車などまであったとのこと。
かつての様子を伝える資料をみるに、どこに一体そんなものが? と驚くほどの様子がうかがえます。それもそのはず、花月園が閉園したのちには、ここは花月園競輪場となっていました。
競輪場のバンクと観客席は今の丘の上の方一帯を占めていたため、現在の園内は新たに造成されて、過去のどちらの施設の面影も残していません。公園として生まれ変わったのは一部分だけ。
花月園の夢の跡はそんな経緯ののち、むしろ眺望を取り戻して遊び場としては、相当な充実をみせています。ゾウさんの複合遊具は三つのすべり台を渡り歩く遊具でもあります。
丘の上から見て一番右側からは、少し上るとそのまますべり台に向かう通路が伸びています。同じところからの途中には左に向かう階段もあります。
実はここはちょっとトリッキー。なんのことはなさそうな感じでいて、一段下がってから階段を上るようになっています。上り切れば真ん中のすべり台です。
さらに上ると一番高い位置に到着。ここのすべり台のスタート位置には、背後からステップを三段上っても辿りつけます。
どこを使って下りたとしても、ただ斜面を使うだけでなく、飛び石遊具に挑みながら再度挑んでもいいです。
飛び石を渡り、パネルをくぐり抜けていくルート。三つのパネルを抜けるとすべり台部分と繋がっています。もちろんここを敢えて下りてみてもいいでしょう。
湾曲したスロープで一番高い部分と連絡しています。ここでアシストしてくれるのは曲がった鉄棒。ロープやグリップ、ステップじゃないのは、ちょっと変わっているといえるか。
ゾウさん広場は三連すべり台の背後というか、下りていく大原っぱと反対側に、いくつもいろいろな遊具があるのが特徴です。
すぐ後ろのところにはジャングルジム。意外に珍しい存在に感じるこの遊具もあるのは、多彩な鶴見花月園公園らしい持ち味。
同じく三連すべり台の背後で並んで、クライミングと渡りが続く遊具があります。ジャングルジムもこちらも、地面にゴムマットが敷かれてアスレチックテイストな遊具です。
縦の棒にU字に手掛かり足掛かりがあって、渡るものが三本。そこに行くのに横倒しにしたラダーを捻ったような、難しめのところを経てもいいです。
アミダのようなラダーや、自在に変形したもの、二種類の横渡りが続きます。クライミングウォールの手前にははんとう棒か、捻じれた上るほうのラダーでたどり着く台場があります。
クライミングウォールも四面もあるのです。反対側の面にスルーできる穴あきの面が二つです。直角に交わる四面を縦走のように制覇するのはかなりの難易度?
ゾウさん広場の真ん中には、芝生で覆われた築山があります。この小さな山を囲むようにまだまだ遊具があって、ちょっとした遊具三昧状態。
時計回りにみていった場合には、次に置かれているのはとてもシンプルなラダーの遊具。ぶら下がる部分もある、変形ラダーの複合雲梯ということになるのでしょうか。
三方向を行き来するこれも、意外にどこでも見つかるものではないような雲梯です。そして二段上っていく展望塔な遊具。すべり台は最初の一段目からのものしかありません。
短い螺旋の樹脂製すべり台へはよくある形の階段のほか、穴あきパネルを二つ使うやや難易度を上げた手段も!
ただただ眺望を求めて二段目のフロアにはまっすぐ進むラダーのみ。下りる時にも使うのはこれです。
ゾウさんすべり台の反対側、住宅街に隣接したところには砂場と、砂場遊びを見守れるようなベンチ。どちらも板が架けてあって日差しが少し遮られるようになっています。
両サイドには幼児向けの遊具がいろいろ。スプリング遊具が二基。こちら側の出入口のところには水道があって、水飲みと足洗いに使えます。
もう一方にはミニチュアなすべり台。真ん中で上ってどちらから下りるか選択できるタイプの、とても小さなバージョンです。それと三面連なるパネル遊具もあります。
それから、なんといってよいのかまるで分からない、大きなU字鋼をくぐり抜ける遊具。ここからジャングルジムのところまでは遊具はありません。
ゾウさん広場の遊具は、ほとんどどれもが、ちょっとしたユニークな要素を秘めているよう。感じ方によることになりそうな、ささいな話ながら注目して頂けたら楽しみがますかも。
中央の芝生の築山のところには、ソフトな小さなドームも並んでいます。これは周囲のきれいな芝生がポイント。だからこそ自由に思うままに戯れられます。
ターザンロープもゾウさん広場の遊具に含まれるのでしょう。斜面側の休憩スペースと思しき四阿の向こう側に置かれています。
スタート台は上りやすく蹴りだしの調整がしやすい形状。裏側からの階段はないので、斜面部分を上って、好きなように滑走して飛び出します。これは理想的な形です。
至ってシンプルなシングルレーンのもので、接地面は平なもの。蹴りだしでスイングを調整して思うままに利用するのも、ただ掴って押してもらってもどちらでもいいです。
遊具広場には標準的な遊具セットあり
いまのところ(UR開発地の完成前)、駅のほうからなら真っ先にたどり着くところに遊具広場があります。あるのは小さめのすべり台がメインの遊びになる複合遊具、ブランコ、鉄棒など。
コンビネーション遊具は、ステップと階段を上り、二連のストレートタイプのすべり台を使うか、さらに上を目指してもうひとつに続くもの。
ふたつの中間にははんとう棒やラダーのショートカットルートも加わるものの、基本はすべり台。幼児でも挑戦に変化をつけられ、場合によってさらにもう少し難易度も加えられます。
上り切って滑るならば、一回転する螺旋のすべり台でフィニッシュ。どちらも樹脂製です。
隣にはブランコがあります。四連一基で一度にわりあいたくさんの子どもが遊べるものです。ただし形状はすべてが、よくある普通の座板のタイプ。
もっともよくある形だからどうこういうものではないです。「子どもと楽しむ公園」シリーズでは御三家遊具に数えるブランコ。基本形といえるこれがやっぱり一番魅力的でさえあります。
昨今はリッチなインクルーシブ対応の、バケットシートみたいなブランコだって目にすることがあります。そうだとしたってずっと愛されているこの形。機能はとても優れています。
丘の下のこの遊具広場のところには、高いフェンスで囲われた多目的広場もあります。そのフェンスの手前には、これもまたカラフルでシンプルな鉄棒。
高さを少しづつ変えて三段分並んでいます。滑り台に該当するものが、複合遊具風でちょっとだけ発展形な装いとはいえ、公園遊具の御三家がセットされている遊具広場。
ゾウさん広場にあるにもかかわらず、こちらにもまた砂場が用意されています。この遊具広場の状態だけで、シリーズでは遊具の御三家と標準セットが揃っていると考えています。
場合によって砂場は、動物などの進入で衛生状態を損なわないように、囲いがあることがあります。鶴見花月園公園では、カバーをすることで対応。
いかにも近所にもありそうな遊び場な遊具広場。卒なく遊具を揃え、かつシンプルなテイストは、ここを物語る一貫した特徴といえそうです。
実は恐らくおなじようなテイストになりそうな公園が、URの開発地内に計画されて、すでに視野に入っています。大原っぱ下の出入口からすぐなので、ゆくゆくは一体で利用できそうです。
大原っぱと多目的広場は広々
本来の公園の性質からすれば、意外なほどの遊具が揃う鶴見花月園公園。もちろんそれだけではないです。自由に遊べる大原っぱはかなり広々。
ここがきれいな芝生が広がっているといえるかといえば、その点ではそうでもないです。どちらかといえば草地な雰囲気。でも、だからこそ名前通りな原っぱな感じです。
遊具広場の隣には多目的広場。この部分は管理運営委員会事務局(045-572-2144)で管理しています。優先利用枠と自由利用があり、優先利用枠は登録、予約の後の利用です。
優先利用枠
月、火、金:9時~13時30分、13時30分~18時
土、日・祝:9時~12時、12時~15時、15時~18時
自由利用
水、木:9時~18時
多目的トイレが随所に整備されて、防災公園の目的もあるとおり、備えは万全な様子。なので普段から利便性高い公園といえます。
大原っぱの周囲はぐるりと園路が巡っています。この周回路にそっては健康器具がおかれています。
こうしたものは本来子どもの遊びのために置かれているものではないため、健康遊具などと表記されるとちょっと違う感じがします。その点、鶴見花月園公園では正確な表記です。
在りし日の花月園では、お花見も楽しみだったとのこと。偲ぶようにお花見広場という一角も整備されています。
大正の頃に吉野の桜を一万本移植したと看板に記されています。吉野の桜ということは、ソメイヨシノではなかったはず。いまのお花見広場の桜は、恐らくソメイヨシノかと思います。
お花見広場から大原っぱ下の出入口までの間の健康器具には、平均台やクライミングウォールといった、子どもの遊びにも使えそうなものが混ざっています。
こうしたものなら健康遊具と名乗ってもよさそうなもの。歴史を重ねてきた花月園の丘。どこかこれからを見据えたテイストが、散りばめられているのです。
鶴見花月園公園を訪れるには(アクセスについて)
住所:横浜市鶴見区鶴見1丁目1番1
連絡先:045-510-1669(鶴見土木事務所)
横浜市サイトからの引用
交通アクセス
JR「鶴見駅」から徒歩約15分
京浜急行電鉄「花月総持寺駅」から徒歩約5分
横浜市営バス38系統、41系統「東福寺前」下車、徒歩約5分
川崎鶴見臨港バス川50系統、鶴01・02・03・04・05・06・12系統「二本木」下車、徒歩約15分
自転車の駐輪場あり
【自動車を利用する場合】
駐車場:ありません
公園の周囲は住宅街で民間駐車場はごくわずか。最寄駅より近くで確保するのはとても難しい状況です。付近には総持寺の大きな無料駐車場があるものの、総持寺に用件のある方のためのものです。
【公共交通機関を利用する場合】
最寄駅:京浜急行電鉄本線花月総持寺約400 m
京急の駅から東海道本線や横須賀線の線路を、歩道橋で渡った先から坂を上って行きます。取材時の2024(令和6)年の取材時点で、陸橋で少しショートカットして400 mほど。
なだらかに大きく展開する陸橋の歩道の背後で進んでいる、URの開発が終わる頃にはもう少し近くなりそうです。すでに斜面には大きな階段が工事中なのが確認できます。
最寄バス停:東福寺前(横浜市営バス)
陸橋を下りた辺りに鶴見駅からのバス停があります。東神奈川駅や横浜駅方面との連絡だけでなく、新横浜駅やさらに港北区方面と繋ぐ路線もあります。
この辺りではかなり幅広く横断することになる、JRの線路の分だけ公園には近いです。といっても、鉄道の利便性のほうが、ほとんどの場合上回りそうです。
花月総持寺駅は京急線の駅なため、JRを利用の場合は鶴見駅が便利です。少し距離はあっても、総持寺を拝観しながら、著名人のお墓参りなどしつつ、散策して向かうのも一興になりそうです。
まとめ:新たな歴史にふさわしい充実ぶり
変遷を重ねながらもいろいろな楽しみに溢れていたのが、この花月園の丘。最新バージョンの鶴見花月園公園は、本来の都市公園のありかたを越えた遊具の充実ぶりが注目です。
公式サイト:特にありません