里山の森の中に意欲的な遊具があります。2016(平成28)年3月にふたつの日本一をひっさげて生まれたのがあつぎこどもの森公園。106 mのロングスライダーはそのひとつで、グリッサンド滑り台の国内最高峰として誕生しています。特徴となるスムースな滑りに注目です。
子どもと遊びに出かけて「ここはいいな」と思える場所をご紹介しています。遊具での遊びという面からは、ロングスライダーに加えて見逃せないのはリスの道とムササビの道。
これだけの大規模遊具が揃うならば、大きな遊具広場がある? と想像しがち。その点ちょっと異色といえるのがあつぎこどもの森公園。もうひとつ、日本一として生まれたのも遊具ではなく森の空中回廊という設備なのです。
森の中を突き抜けるロングスライダーも、大きなアスレチック風味のネット遊具となるリスの道、ムササビの道も、自然にふれあい里山を冒険するという公園のコンセプトに忠実に作られたもの。それぞれは独立して里山に溶け込むように存在しています。
これだけの迫力ある遊具が森の中の体験のひとつに過ぎない! そんな特徴のあるあつぎこどもの森公園をお出かけのプランに役立つように詳しく見てみます。
子どもが大型遊具で遊べるあつぎこどもの森公園をしっかり解説!
神奈川県県央部の中心にある厚木市。大きな街を持つ一方で、その背景には丹沢から連なる関東山地が控えています。あつぎこどもの森公園があるのは、まさに街と自然の境界線のような場所です。
異色のコンセプトから生まれた遊具は、実際に体験できることもやはり独特。そして森の空中回廊は、森を安全に散策するという意味では、とても優れた設備になっています。
あつぎこどもの森公園に来たならば、もうひとつ立ち寄りたいスポットがあります。そこは、また違った子どもの遊び場になっています。あつぎこどもの森公園が自然エリアの最前線だとすれば、街の側の最前線として荻野運動公園が存在しています。
どちらも一気に遊ぶのもよし、違ったそれぞれの魅力をおのおの楽しむのもよし。特にあつぎこどもの森公園はさっと遊具のみ遊んでも、じっくり森で過ごすのもアリ! と思える公園です。そんな遊びのプランに役立てるように、まずはあつぎこどもの森公園の遊具や設備を解説します。
独特の滑り味が魅力!グリッサンド滑り台となる森のすべり台
日本一長いグリッサンド滑り台として誕生したロングスライダーが森のすべり台。106 mとなると神奈川県のロングスライダーでみても3位。おだわら諏訪の原公園(169 m)とこどもの国(110 m)のローラー滑り台に次ぐ規模です。
ロングスライダーのランキングをおさらい
ローラー滑り台は傾斜がゆるくても滑走できるため、いろいろな地形に合わせて設計できます。それもあって長い距離に設置しやすい種類のものです。神奈川県のローラー滑り台の長さランキングと、それが関東でどんな位置づけになるのかまとめた記事があります。
神奈川県では見られませんが、森のすべり台の何倍もの長さの滑り台は大抵ソリタイプのものです。自然落下するという意味ではまごうことなき滑り台の一種ながら、どちらかというと乗り物。そういったものは、ブレーキレバーがついているものも多いです。
快適な滑りが特徴のグリッサンド滑り台
グリッサンド滑り台と呼ばれるものは、滑走面が超高分子ポリエチレンで組まれています。摩擦が少なくスムースな滑り心地は、一気に滑り下りるのに適しています。せっかくの素材の性格を生かすためにはそういう設計がイイ! ということです。
そんな滑りをしても、静電気が起きにくく加工してあります。またユニットを組んで滑走面を作っているため、あつぎこどもの森のように体を包み込むような形状で設計できます。
安心感のある形状で安全性にも留意しながら、自由でエキサイティングな滑り台を作れるのがよいところ。それを森の中を駆け抜ける演出で実現したのがあつぎこどもの森公園の森のすべり台です。
芝生広場の展望スぺ―ス、くぬぎの丘にさらにそびえるスタート台
森のすべり台のスタートは螺旋階段を上った塔の上からです。この塔は丘を上った芝生広場のくぬぎの丘に立っています。
公園内唯一の芝生広場からは視野が開けて、景色を遠望できます。けれども塔の上のスタート台は、そこから更に高くそびえているのに視界は木々に遮られています。
この塔は高さを稼ぐためだけに存在しています。そして高く上るにも関わらず、スタート台はいまだ森の中です。
まさに森の中を駆け抜ける長大規模の森のすべり台
徹頭徹尾、森の中を駆け抜けるのが森のすべり台の特徴。100 mを超えるロングスライダーはそうそうあるものではありません。各都道府県にいくつかで、この規模の物はない県だってあるくらいです。
その中で、滑りが爽快なグリッサンド滑り台のものはまだ珍しい存在。加えての特徴は数値で表せないものながら、木々のトンネルを一気に滑る面白さで、これが相当なものです。
終点が平らに長く取ってあるのも、きっと気づくでしょう。これも滑りのよい森のすべり台の安全対策です。充分な余裕をとってあるために、横に脱出することになるでしょう。
スタートで湿地に踏み入らないよう、注意されているのはこのため。そうです! 遠慮しないで思い切って、一気に駆け下りるのが正解です。勢いがなければ、随分前で止まってしまいます。
あつぎこどもの森公園ロングスライダー滑走動画
グリッサンド滑り台の特徴について詳しい記事があります。ご参照下さい。
関連記事:子どもと無料で楽しむ蓮華寺池公園
斜面を上るムササビの道、上り切ってもまだ途中!
ムササビの道は丘の急斜面を上るネット遊具。
遊具というよりも、アスレチックに近いくらいにハードです。段々になっていて少しづつ上れるとはいえ、角度はきついです。
森のすべり台に向かうショートカットにもなっています。他に階段のルートもあることから、まったく遠慮なしの難易度です。
もっともこれだけ上り切っても、まだスタートとなる塔までの途中。階段ルートと合流して坂を上ります。森のすべり台のスタート地点の高さ、急斜面を滑走することなどが実感できます。
リスの道は一方通行、ひたすら上る吊り橋とリングトンネル
園内を結ぶ森の空中回廊の最高地点付近、ぐるりとターンする森の観察道へ地上からアプローチするのがリスの道。
最初は吊り橋を上って行きます。
リスの道は一方通行です。上るだけで下りてくるのは禁止になっています。
細長い踏板は鎖で吊り下げられています。当然とても不安定!
いま、通ったばかりの道が左右にずれているのが写っています。長い吊り足場はグラグラ。もし、他の誰かが一緒に渡っていれば、その人の分もグラグラします。
そこで大切になるのが、手すりとなるロープ。この先足場の趣向はどんどん変わっても、手すり替わりのロープを頼りにするのは同じ。
次に待っているのは、吊り下がったネットに一本橋風の足場が渡されている部分。
三つめのパートは丸い小さな足場に変化。飛び石風になっています。
吊り橋と吊りネットは3つの変化をもって終了。ここからなら階段で途中リタイヤが可能です。白い階段もまた、一方通行。下りるためだけのものです。地上からは別の階段で森の空中回廊へ向かえます。茶色のこの階段は双方向通行できます。
途中リタイヤの先は細いリングトンネルです。ここまででも、怯んでしまった子どもを助けるのは容易ではないです。この先はなおさら。対象年齢が6歳以上なのもうなずけます。
もちろん、この対象年齢6歳からというのは、それ以外絶対利用禁止ではないです。保護者の監督と責任の下で、もっと小さな子どもがチャレンジするのは構わないということです。これはどこの公園でも同じことです。
こちらも日本一で登場、森の空中回廊は全長745 m
ムササビの道の坂下と森のすべり台に向かう坂道の分岐付近から東入口まで、園内の主要な場所をぐるりと巡っているのが森の空中回廊。
園内には散策路も他にあります。森の空中回廊については、アップダウンをしながらもゆるやかな傾斜で結ばれています。そのため地上を歩くよりも楽で、森をまた違った視線から観察できます。
先に進むと森のすべり台を跨いで森の奥へ踏み入って行きます。
しばらくすると階段で森のすべり台へ向かうルートなど3つに分岐。ロングスライダーへは遠回りながら一番整備された階段で向かうルートです。
下っていくとリスの道へ
そのまままっすぐ進むと、谷を渡る橋を経てリスの道のゴール地点まで、周遊することになります。
谷を渡る橋は森の空中回廊の最高地点。回廊には随所に、観察ポイントを示した案内板が設置されています。
リスの道は一方通行ですが、ゴール横の階段を使えば下りてスタート地点に向かうのも可能。つまり再チャレンジもできるということです。
さらに進めば森のすべり台のゴール付近に戻ってきます。
森の中そのものを直に観察できる点では、とても面白い施設です。
作業小屋というかまどやいろりのあるスペース、イベントで使う冒険の森付近がもう一方の端になります。
公園東入口のすぐ近く。このゲート、取り立てて何かがある訳ではないです。人の住む地域との境界線のようなところ。
作業小屋は体験プログラムの場、トイレと自動販売機も!
森のすべり台のゴール付近には体験プログラムで使う水田があります。その辺りから見える黒い建物が東入口近くの作業小屋。
作業小屋も体験プログラムで利用されます。また、飲みものを手に入れるならここ。トイレも利用できます。
駐車場のある中央入口から坂を上ったところにある管理棟
駐車場のあるのは中央入口。すこし坂を登れば管理棟があります。森のすべり台とムササビの道は、ここから丘の切り通しを進んだ先です。
トイレと自動販売機があるのはこの管理棟と作業小屋になります。広い里山の中にある公園のどちらも端の方になります。ご注意ください。
管理棟の中には図書コーナー
休憩スペースなどもあります。
豊富な体験プログラムが用意!
- あつぎこどもの森公園で体験するプログラム
- 自然体験
- 農体験
- 冒険活動
作業小屋や管理棟、園内の田んぼや子どもの森農園、冒険の森では週末を中心にいろいろな体験プログラムが催されています。
こうした活動もあつぎこどもの森公園のメインプログラム。設立の目的に即したものです。
あつぎこどもの森公園を訪れるには(アクセスについて)
住所:神奈川県厚木市中荻野916-2(管理棟)
問合せ先:046-210-3433
開園時間:9時~17時(10月~3月は16時まで)
休園日:なし
厚木市の奥座敷のひとつ、飯山温泉も近い郊外にある公園です。自動車の利用が便利な公園です。バス便の場合、隣接する荻野運動公園を目指します。
【自動車を利用する場合】
駐車場:無料(17時に施錠)
公園入口を挟んだ両側に駐車場があります。
最寄インターチェンジ:圏央厚木(首都圏中央連絡自動車道)約6 km
入口右は荻野運動公園第2駐車場にも指定
入口左は荻野運動公園第3駐車場にも指定
あつぎこどもの森公園中央入口脇の駐車場はやや狭いため、利用できない場合は荻野運動公園第1駐車場からでもさほど距離はないです。
【公共交通機関を利用する場合】
最寄り駅:小田急小田原線本厚木駅よりバス便(約30分)
最寄バス停留所:荻野運動公園(神奈川中央交通荻野運動公園経由宮の里線)
バス料金:340円(IC運賃同額)、小学生以下170円
(料金を払った人ひとりにつき6歳未満2人まで無料、1歳未満はいずれにせよ無料)
日祝日のみ9時から17時にかけて行き帰りとも2時間に一本ほどの運行になります。
平日にバスを利用するならば公園東側を運行するルートの「稲荷木」、西側を運行するルートの「宮の里東」どちらかの停留所を目指します。
一緒に訪れると楽しい荻野運動公園も特集
森を体験する独自のコンセプトが、異色の遊びになるあつぎこどもの森公園。いつものように、大型遊具のある広場で遊びたいというならば荻野運動公園。ここは一粒で二度おいしい公園遊びのできるエリア。
公園の様子も遊びの雰囲気もかなり違ったものながら、アクセスは同じです。あつぎこどもの森公園駐車場は荻野運動公園第2、第3駐車場でもあります。ロンググリッサンド滑り台の滑り比べもできる遊びの詳細、アクセスのより詳しい方法などは関連記事をご参照ください。
関連記事:子どもと無料で楽しむ荻野運動公園
まとめ:異色の公園をより楽しむ方法あり!
道路を隔てて存在する二つの公園は、境界こそ接していないものの、確かに隣り合わせのようなもの。立派な体育館、陸上競技場、屋内、屋外のプール、テニスコートのある荻野運動公園にはまた、大型遊具を備える広場があります。
森をダイレクトに感じられる大自然派のあつぎこどもの森公園での体験、運動公園らしい利便性のある荻野運動公園も使えば一層楽しめます。
公式サイト:あつぎこどもの森公園