子どもと無料で楽しむ別所沼公園【埼玉県さいたま市南区、人気の遊び場】



地域を代表する憩いの場は、子どもにとってもまたしかり。強烈な大型遊具が一点豪華で存在するというよりも、そこそこの規模感で立ち並んで充実している様子。まさに街の中の遊び場らしいと云えます。

子どもと遊びに出かけて「ここはいいな」と思える場所をご紹介しています。さいたま市の、特に旧浦和市の中心地区で古くから存在感を示してきた別所沼。大宮台地からの湧水が、ちょうどここに溜まってできたと考えられています。

大きな別所沼と公園の緑は、周囲とは別世界。この地は人を魅惑してきました。ここは埼玉県庁も近い、今ではさいたま市の中心市街地。別所沼公園は中浦和駅からもすぐ。ここは駅前公園でもあるのです。

そんな公園の中で、子どもの遊び場は決して添え物ではありません。駅前にある都市の中で潤いの場にして、泊まれる公園、大人も愛する公園ながら、一定の面積を占める児童広場など、子どもと遊ぶうえでも忘れられない公園でもあります。

そしてこんな条件の中でも、別所沼公園は完全無料(その気になれば一切のお金を使わずに遊べる)の公園です。見逃せない別所沼公園の楽しみ方、いつものように独自に撮影した写真を満載してお届けします。

子どもが大型遊具で遊べる別所沼公園をしっかり解説!

別所沼は、沼に作られた弁天島や園内に建てられたヒヤシンスハウスなどの由来を見ても分かる通り、昔からなぜだかファンが多い景勝地になっています。

別所沼そのものは自然にできたものながら、いまそこに浮かんでいる弁天島は作られたものです。しかも作ったのは個人、弁天島別所沼弁財天別所沼に由来するなんらかの伝承などを元に、古くから祀られていたものではありません。

では、なんでそんなものを公園内に造れたのかといえば、別所沼公園はもともと個人が私財を投じて作った昭和園がもとになっています。昭和園というのですからそれも昭和になってからのことです。

別所沼や人々への愛から生まれ、育まれてきた公園、さまざまな思いが詰まった公園です。そんな中で、ひとつの間違いない事実は子どもが楽しく遊べる公園であることです。

さりげなく充実!基本に忠実にいろいろ揃った児童広場

別所沼公園児童広場の特徴となるのはひととおり遊具が揃っているということ。これみよがしな超巨大遊具はないにしろ、いろいろあるので遊ぶのに不自由がありません。

御三家遊具その1 シンプルな滑り台 ゾウさん

そんな視点で見れば意外といえば意外なのが、遊具の御三家と標準セットもしっかり揃っていること。大型遊具もあるのに、それでも標準セットも主役の内なのは珍しいパターンです。

極めてシンプルな滑り台ももうひとつ

「子どもと楽しむ公園」シリーズで標準セットというときには、滑り台、ブランコ、鉄棒の御三家遊具に砂場を加えたもののことです。

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御三家遊具その2 ブランコと その3鉄棒

こういった遊具がある、もしくは揃う公園は全国に数多あり、そこに発展形の遊具が加われば、それだけ注目度は高い公園になります。

御三家遊具と標準セットを構成する砂場

別所沼公園の不思議なところは、著しく発展形として認められるような派手な遊具はないにも関わらず、大抵は埋もれてしまいがちな御三家遊具と共存し、なんとも言えない充実感を醸し出しているところです。

砂場に関しても力が入り円形の大きなものも存在感あり

さりげないコンビネーション遊具がいくつか標準セット発展形のものとして加わりながら、適度にほど良く充実した遊具が揃って、満足感が高いという点で好感度がかなり高いのです。

別所沼公園児童広場のコンビネーション遊具としては青い旋回するチューブスライダーと、やはり樹脂製の滑走面がうねる緑色のミニスライダー、それぞれを繋ぐリングトンネルとトリッキーな梯子の上りのあるもの。

アスレチック系のクライミングウォールや渡りを組み合わせたもの。

小さいほうのコンビネーション遊具として、幼児向けと思われるふたつの滑り台の足場を、吊り橋で繋げたものが目立つ程度です。

御三家遊具からコンビネーション遊具への発展の過程として、鉄棒系の流れの途上にあるのがジャングルジム。

動物の形にみえる緑色のものもミニジャングルジムとして機能

いまどきはあまり流行らない部類の遊具、もしくはコンビネーション遊具に組込まれるだけの存在かと思いきや、別所沼公園ではカラフルに存在を主張しています。

鉄棒系の亜流といえば、鎖で吊り下げられたリングの遊具もあります。たまに見かけると注目せざるを得ない面白い趣向の遊具です。

ブランコの発展形と思しきターザンロープは別所沼公園でも健在です。

さいたま市の別所沼公園にある平均台として機能するもの

コンクリートの土台に円柱の橋を渡したものもあります。これは平均台のように機能するものでしょう。

スプリング遊具も少々、なお、他にも小さな滑り台、鉄棒、ラダー遊具など同様のものが、公園東側の県道横の児童公園にもほんの少し設置されています。

さらに言えば児童広場、児童を楽しませるだけではなかったりします。

健康歩道フィットネスコンビなどの器具は、子どもとはあまり関係ない大人のためのものです。

多目的広場は屋根付きの遊び場

別所沼公園の遊び場としての充実を物語るのは、児童広場だけではありません。公園南側中央付近には、屋根付き多目的広場があります。雨でも遊びをあきらめないという意味では、屋根付きの遊び場は優れたアイディアです。

ジョギングコースや芝生広場のある沼辺には遊具に寄らない遊びも

のびのび広場という自由広場、芝山水路遊びの森という林間などなど

公園の中は一様でなく、とても変化があります。

公園内のこうしたエリアは、それぞれが自由に遊びを発想して楽しむ場。ぜひ活用したいところです。

もっとも、この沼辺に展開する自由スペースにも、少しだけ遊具があります。

なかにはそんな遊びの指針となるようなものもあります。さいたま市のいくつかの公園でみられるのが、グリーンアドベンチャーの活動。別所沼公園でも行われています。

活動趣旨の引用

単に植物の名前を覚えてもらうだけではなく、実体験を通じて、

  1. 目で見る
  2. 聞いて調べる
  3. 嗅いで調べる
  4. 味で調べる
  5. 触れて調べる

などの五感を使って、日常生活に必要な植物を具体的に観察する

この趣旨に沿って公園内を探索できるように掲示物が掲げられて手助けとなっています。

ヘリテイジ浦和別所沼会館は泊まれる場所、BBQも堪能

別所沼公園が泊まれる公園となるのはヘリテイジ浦和別所沼公園があるためです。宿泊施設があり、研修やイベントなどでも使われます。

宿泊料金:5,047円(洋室、1室2名まで)~、5371円(和室、1室4名まで)~
小学生は2,686円、6歳未満の添い寝は1名無料
料金は食事なしの場合、朝食は880円、夕食は1,667円
お問合せ:048-861-5219

別所沼会館では宿泊時に限らず、ランチ、ディナーともガーデンレストランで食事もとれます。中でもジンギスカン庭園ビアガーデンは注目。駅近のこのスポット、大人も思う存分飲んで食べて過ごせる場所です。

ビアガーデンバーベキュープラン
営業時間:11時~21時(3月~10月のみ)
料金プラン(税別):
食べ放題、飲み放題120分 1名4,100円
(ソフトドリンクなら3,500円、子ども1,900円、幼児800円)

ジンギスカンセット、飲み放題120分 1名3,800円
(ソフトドリンクなら3,000円、子ども1,500円、幼児500円)

他単品追加メニューあり

若くして散った命の希望を継ぐヒヤシンスハウスを公開

詩人にして建築家で、若くして才能に包まれながら亡くなった立原道造は、芸術家が集まっていた別所沼周辺に、自分のための週末を過ごす家を建てようとしていました。死によって実現しなかったこのヒアシンスハウスは、2004(平成16)年に市民、企業、行政の協力の元で建てられて公開されています。

公開日:水、土、日、祝日
公開時間:10時~15時

小島長次郎と別所沼公園の物語

さて、こんな別所沼公園、当初は昭和園という名前だったことをご説明しました。私財で造られたものの、私邸の庭なのでなく別所沼を皆が楽しめるようにとの意図でした。茨城から出てきて、東京深川で立身出世を果たした小島長次郎さんがその人です。

弁天島を造って深川の洲崎神社(洲崎弁天)から勧請したのが別所沼弁財天。現在と違い洲崎神社のあった辺りは砂浜の海岸で、洲崎弁天も海に浮かぶ島であった様子を描いた浮世絵が残っています。

文字通りの洲崎だった海辺の干潟は、高潮で一体が壊滅してしまったことがあります。江戸幕府は、この災害に対処して付近を買い上げ居住を禁じたといいます。洲崎は江戸の人が潮干狩りや景色を楽しむ景勝地となっていきました。

小島長次郎さんはそんな洲崎を別所沼に再現したかったのかもしれません。洲崎神社は今も深川に実在しますが、洲崎という地名はなくなっています。洲崎には明治の頃根津の遊郭が移転して、当時の東京を代表する歓楽街が出来上がったのです。

小島長次郎さんの功績が大声で語られないのは、この辺りの事情が関係していそうです。小島長次郎さんは、いわゆる任侠の人だったという記録があります。昭和園を造った私財というのも、遊郭に関係する仕事(当時は合法)によるものと思われます。

いずれにせよ、昭和園の造園は社会への恩返しとする言葉が残っています。その後廃れた昭和園は浦和市が買い取り、別所沼公園が生まれます。浦和市が公園を持て余すようになると埼玉県が引き取り、浦和市が大宮市、与野市と合併してさいたま市が誕生した際にさいたま市に戻ってきたという経緯があります。

別所沼公園を訪れるには(アクセスについて)

住所:埼玉県さいたま市南区別所4-12-10
連絡先:048-711-2290

公式サイトからの引用

JR埼京線中浦和駅下車 徒歩5分
JR浦和駅から国際興業バス[浦11・志01]/ 別所沼公園下車 徒歩3分

【自動車を利用する場合】

駐車場:無料
利用時間:9時~19時(10月~3月は17時30分まで)

公園の前を通っている幹線道路は県道浦和・東村山線です。駐車場にはこの道路から向かいます。ただし公園前に一方通行で出てくる道に迂回しなければ、駐車場に入れません。

公園前を西に向かうと中浦和駅がすぐ、公園駐車場はそこまでいかずに、通り過ぎて最初の信号を右に回ります。生活クラブ生活協同組合本部のところです。

その後すぐにまた右折すると駐車場入口に辿り着きます。

最寄インターチェンジ:
首都高速道路浦和南(東京方面からの場合)
首都高速道路浦和北(大宮方面からの場合)

実際には大宮方面からきたならば、高速道路は使わないことが多いでしょう。東京外環自動車道利用の場合は、戸田東I.Cもしくは外環浦和I.C利用で、首都高速を使わずに済みます。距離はやや遠くなります。

【公共交通機関を利用する場合】

最寄り駅:JR中浦和駅徒歩5分
最寄バス停留所:別所沼公園(~浦和駅西口)
(浦11桜区役所行、浦11-2西浦和車庫行、志01志木駅東口行)

埼玉県庁前を経由して、JR浦和駅西口との間を結ぶバスの停留所も公園の前です。本数としては子どもと遊ぶような時間帯は、敢えて意識するまでもないだけ運行しています。

【花と緑の散歩道を利用する場合】

花と緑の散歩道の別所沼公園側終端

別所沼公園から続く緑の散歩道は約2 km。武蔵浦和駅との間を結んでいます。場合によってはこの評判の散策路を歩いて訪れるのも一興です。桜の季節、アジサイの季節が特におすすめになります。

まとめ:便利な街中の公園はさりげなく充実で好感度高し

この地を見定めた男の志から始まった別所沼公園。公衆が楽しめるようにと、個人のお金で景勝地となるように整備されました。

紆余曲折の後、いろいろな思いを抱きながら整備されてきた公園のいま、子どもの遊び場としてはさりげなく充実していることだけは間違いがない事実です。さいたま市中心市街地の公園という立地で、利便性においては極めて稀な良好な条件の公園です。

周囲だけでなく別所沼会館という施設まで揃っていて、子どもと遊ぶに加えて、泊まる、飲む、食べると楽しみが広がる公園。好感度が高いだけに、存分に活かしてみて欲しい遊び場になります。

公式サイト:さいたま公園ナビ(別所沼公園参照)