公園で楽しむ時に、やはり気になるのは遊具。どこにどんな遊具があるのかは、公園選びの大事な視点です。子どもと遊びに出かけて「ここはいいな」と思える場所をご紹介している「子どもと楽しむ公園」シリーズ。
各地の公園の面白さ、遊びのポイントや、出かける時に知っておいたらいいことなど、独自に撮影した写真満載でお知らせしています。たびたび触れて来たこととして、公園遊具の種類には「標準セット」と呼べるものがあること。
いまでは、それが工夫されて発展形として進化しています。そうして遊具は刺激たっぷりの楽しさを提供する形になっているのです。シリーズではそれらをふまえて、おのおのをご紹介してきています。
今回は特別編として、公園遊具の御三家、新御三家などとご案内しているそういったものを、遊具の種類ごとに整理してみました。そういった遊具がどこにどれだけ揃っているのか! おすすめ遊具が一目瞭然で分かるよう、そこに分かり易く辿り着けるよう、公園遊具の充実度をまとめてみます。
公園遊具の標準セットって?御三家の遊具に該当するのは
そもそも、公園っていつからあるの? とか日本で最初の公園は? といった話になると「子どもと楽しむ公園」シリーズでも、すでに答えとなる公園を特集しています。
水戸藩主徳川斉昭公が「衆と楽しみを同じくするの意なり」として名づけたのが、茨城県水戸市の偕楽園。梅の名所であり、日本三名園として名高い場所です。
今では、ここを本園として拡張された偕楽園公園が提供されています。その中のひとつのパートとなる千波公園は、いろいろな遊具のある少年の森や千波湖畔の遊具広場を擁する、子どもの遊び場となる場所です。
斉昭公がここを公園と呼ぶと言った訳ではないにしろ、同じ日本三名園の兼六園(石川県金沢市)、後楽園(岡山県岡山市)はあくまで大名庭園だったもの。偕楽園はこれらとは違い、当初から庶民が利用できたことからして、ここは元祖公園だといえそうです。
法的にも1873(明治6)年、太政官布告第16号で公園という制度について通達され、そこで「永ク万人偕楽ノ地トシ公園ト可被相定ニ付」として、国内の該当地を伺い出るようにとされました。
この布達による1873(明治6)年の公園指定により、偕楽園は日本で最初の公園だ! ということになります。同様に東京の5ヵ所が数ヵ月早く指定されており、4つは寺社地、残りのひとつで庶民の花見の場として開放されていた飛鳥山があり、飛鳥山を最初とする見方もあるものの、公園としての開園は後のことになります。
園とはそもそも、植物を植える地。そして欧米文化の影響もあったのか、公園という概念が生まれたことになります。そこに明確に子どもの遊び場も作ることが意識されるのは、ずっと後のことです。都市公園といわれるものが体系的に整理されたのも、1956(昭和31)年の都市公園法からのことです。
千波公園でも、場合によっては来園者がそこまでは行かない、そんな奥の方を見てみると、公園の標準セットとでも呼べる遊具の一画があります。千波公園のわんぱく広場は、ダイナミックな遊具が豊富に揃う公園で、ちょっと不思議な感じさえします。
なんだかんだといっても、ある意味公園で遊ぶと云ったら欠かせないのが、遊具の標準セット。それぞれについて整理してみたいと思います。
公園遊具の御三家と標準セット
もちろん世の中では、公園の標準セットを定めてもいなければ、遊具に御三家という定義があるのでもないです。それでも、どんな公園であっても、子どもを遊ばせる意図があるならば、おおむね一定のある遊具(御三家遊具)を揃えていることが多いです。
特に街区公園や児童遊園などで規模の小さなものは、新御三家といった、それぞれの発展形となる遊具はなく、標準セットのいずれかとなるのが通例です。では、公園遊具の御三家と標準セットとは、どんな遊具と思えばよいのでしょうか。
公園遊具の御三家とするならば、それはやはり滑り台、ブランコ、鉄棒になるでしょう。これに砂場を加えたものを、公園遊具の標準セットだと考えます。中にはどれかが欠けることもあるでしょう。
けれども規模の小さい公園で、子どもの遊び場となる公園は、標準セットの公園なことがほとんどです。そこから規模が大きく、遊び場として意欲的になるにつれて、発展形が混じって行きます。
鉄棒系はちょっと傍系の遊具がある?
滑り台やブランコは、規模が大きくなったり、数が増えたり、例えコンビネーション遊具に組込まれたとしても、あまり遊び方に変化はないでしょう。それが公園で鉄棒と呼ばれているものの場合は、事情は少し複雑に思います。
そもそも定義としての鉄棒とは、体操競技でつかわれるようなもの。公園で鉄棒を呼ばれているものは、むしろラダーの一種で、ジャングルジムに至るまで、公園でラダー遊具はいろいろな形に変化しています。シーソーだって鉄棒に取り付けられた板のよう。
組み合わされて、遊具の究極形ともいえる複合遊具になる場合含めて、掴る、ぶら下がるだけでなく、渡りの要素が入ってきたり、いろいろと変化があるように感じます。こういった鉄棒(ラダー)系の簡素なものは、割合小さな公園でもみられる、御三家遊具のひとつに見えます。
「子どもと楽しむ公園」シリーズでは、こういう遊具しかない公園は取り上げていないのが現状です。そしてご紹介している公園に、御三家遊具と砂場の標準セットがあったとしても、こんなものもある程度でしか扱っていないです。
御三家遊具、それぞれの発展形として新御三家になるのは!
公園が大規模になり、子どもの遊び場としても充実させようと意図された場合、公園遊具の標準セットは、さまざまな工夫で発展形として展開されています。
それぞれの発展形はどんな形?
- 滑り台の発展形(すごい滑り台)
- 【ロングスライダー】、ローラータイプ、グリッサンドタイプ
- 【トンネルスライダー】旋回タイプ、ロングタイプ
- 【ジャンボスライダー】ステンレス、もしくは樹脂製のロングタイプ、幅広タイプ
- ブランコの発展形
- 【ターザンロープ】
- 【ボールスウィング】
- 鉄棒系の発展形(すごいネット遊具・大きなラダー、リング)
- 【ザイルネット】ザイルクライミング、トランポリン
- 【ラダー・リングトンネル】大型ラダーやリング(網かけのあるもの含む)
- 砂場に生まれた新しい遊び
- 【ふわふわドーム】
- それぞれが組み合わされた究極形
- コンビネーション遊具
どこで遊べる?発展形のすごい滑り台が注目の公園
発展形となるすごい滑り台といえば、真っ先に思い出すのはローラー滑り台になるでしょう。傾斜がゆるやかでも大丈夫なことが特徴の構造は、長いゆったりとした滑り台を可能にしています。
対抗馬として勢力を伸ばしつつあるのが、グリッサンド滑り台。超高分子量ポリエチレンの滑走面は、利点をもたらします。この素材、テフロンに次ぐ動摩擦係数の低さを特性とします。それでスムースで爽快な滑り味になるのです。
トンネルスライダーもあれば、公園の面白さを倍増させてくれます。樹脂製のパーツを組み合わせて旋回させるものなどは、3連、4連と多重旋回するものもあります。
また、よくあるステンレス製であっても、いわゆるジャンボタイプという規格外品のものに驚かされることがあります。
その1 千葉市昭和の森と小中池公園(千葉県千葉市、大網白里市)
「子どもと楽しむ公園」シリーズでは、関東の都県別ローラー滑り台長さランキングを調査して掲載しています。その中ではどちらかといえばあまり長くない方に分類される、千葉市昭和の森のローラー滑り台。ところがおススメ度合でいえば、ここが一番かもしれません。
その2 あつぎこどもの森公園(神奈川県厚木市)
グリッサンド滑り台日本一として誕生したのはあつぎこどもの森公園の森のすべり台。さらに、ローラー滑り台からリニューアルした長めのグリッサンド滑り台が、隣接する荻野運動公園にもあります。手軽にふたつを較べられるという点でも面白い公園です。
その3 戸田川緑地(愛知県名古屋市)
ローラー滑り台もグリッサンド滑り台も、どちらも一挙に楽しみたいという希望に応える、ハイブリッド型の滑り台もあります。戸田川緑地のものは台に上ってからでも、選択を変更できる珍しいものです。
このような形でなくとも、どちらもあって選べるということならば、中京圏ではよく見かけます。首都圏で同じようにどちらも選択可能というならば、倉渕せせらぎ公園(群馬県高崎市)がその例になります。
栃木県庁の隣、宇都宮タワーが設置される、八幡山公園(栃木県宇都宮市)のアドベンチャーUでも、同様に出発地点は違うものの、同じ場所に降り立つものがあります。ここでも滑り甲斐が充分な規模で、どちらも満足感たっぷりの違った種類が並び立っています。
どこで遊べる?ブランコの発展形が注目の公園
発展形とする中では、割合にありがちなのが、ターザンロープ。一見、特徴を見出すのも難しい遊具。その中で着目点のひとつは、設置された場所の傾斜になるでしょう。
わざわざ出発台を、とてつもなく高くしている例は、なかなか見られません。ただし傾斜地に設置される例はあります。もっともターザンロープは、あまり勢いがつくと終点での衝撃が危険になるでしょう。
面白い例としては、並んで滑空できる2連タイプのものでしょうか。友達や兄弟姉妹と遊べる時には重宝しそうです。
さらに、細かくみるならば出発する台が置かれる場合(出発台がなく、自然の傾斜に任せるケースもあります)、その形状にも注目したいところです。最初のスウィングの勢いをつけるのに、影響するためです。
ロープに捕まって、押してもらうだけでも楽しさはあるターザンロープ。勢いをつけるのは年長の子どもの楽しみ方で、限定的な上級テクニック。これに影響を与える出発台の形状についてはターザンロープをより詳しく特集した関連記事をご参照ください。
また、同様の遊び方ながら、いわゆるターザンロープではなく、レールスライダーといった趣の遊具があります。とても珍しいものですから、あったとしたら相当注目の遊具です。
レールウェイ式のターザンロープは、一方通行ではなく周回式。ぐるりと1周して戻ってこれるようになっています。スタート台が両端にあって途中でひと息つける場合と、スタート台とゴールが一緒になっていて、一気の周回にトライする場合があります。
滑空できないという点では、ターザンロープとは異なる性質の遊具ながら、やはりブランコの進化形になるだろうものがボールスウィング。
この手の遊具は名称がいまだ固定されず、順番が逆にスウィングボールだったり、ロープスウィングとターザンロープ同様にぶらさがるロープのほうにより着目した命名だったり、いろいろです。
似たような遊具ながらなぜか一般的なターザンロープのほうが設置例が多いです。滑空しない分、地味なイメージなのかもしれません。ただし、遊んでみればそんな固定概念は払しょくされてしまう遊具です。
さらに、ブランコの発展形遊具としてはまた別の形もなくはないのです。それは吊り篭系の遊具。指挟みの事故以来、危険を考慮して撤去が進んでしまった絶滅危惧種の遊具です。それでもロープで渡るのではなく、レールを使ったもので今でも遊べるものはあります。
その1 都立舎人公園(東京都足立区)
夏の水遊び場、浮球の池が充実の都立舎人公園、さらに傍らのソリゲレンデが楽しい公園です。平坦なハズの足立区になぜかあるのが舎人公園の傾斜地。
それを活用しているのはソリゲレンデのみらず、傍らにひっそりとターザンロープが用意されています。ここは傾斜があって迫力があります。
その2 駅南公園(静岡県藤枝市)
街の主要駅からすぐ近くで使い易い駅南公園。目玉になるのはレールウェイタイプのターザンロープです。一方通行でなく、ぐるりと1周できるタイプ。駅南公園では両端に台場があります。交互にひと息つきながら周回できるタイプです。
このレールウェイタイプのターザンロープが、ふたつが並んだものがあるのが、八幡山公園のアドベンチャーU。すべり台の発展形が2種類、ブランコの発展形の特別な形がツインであることになります。
2基が隣り合わせに設置されているため、スタート=ゴールの台から同時に発進してみたりできます。大きなレールウェイ式ターザンロープが2基並ぶというのは、かなり珍しい例になるでしょう。
ターザンロープの発展形についてもロープウェイ式とレールウェイ式が一緒に並んでいる例もあります。あいち健康の森公園(愛知県大府市)の芝生広場では、大型のネットを使ったコンビネーション遊具の傍らで、ふたつの形式のものを選んで遊べる状態になっています。
またびわ湖こどもの国でも、ビワコオオナマズの大型コンビネーション遊具の尻尾の辺りも、冒険のフィナーレとなる位置に、どちらの形のものも並んでいます。特にびわ湖こどもの国では、掴るロープがスウィングボールの形でボールを吊り下げているという特徴も持っています。
その4 秩父ミューズパーク(埼玉県秩父市)
秩父の公営レジャー施設、秩父ミューズパークにある公園の遊び場、展望ちびっこ広場には、4つのボールが吊り下げられて、そこに腰掛けて遊ぶボールスウィングがあります。
ロープにぶら下がる点はターザンロープと共通。滑空せずその場で揺られるのは、よりブランコのイメージを残します。それぞれ設置される高さが違いロープの長さが違う点も秀逸!
その5 荻野運動公園(神奈川県厚木市)
ブランコが発展した系統ながら、絶滅危惧種となっている遊具があるのは厚木市の荻野運動公園の冒険デッキと陣屋コンビネーションに組込まれているかごわたりです。レールウェイタイプでスムースに渡れるのが生き残っている理由でしょう!
どこで遊べる?鉄棒系の発展形が注目の公園
鉄棒が組み合わさるようにジャングルジムやラダー遊具、雲梯、シーソーなどに発展したとして、それらがいくつも組み合わされて、滑り台やブランコなども取り込んだ究極形はコンビネーション遊具といえるでしょう。
注目のコンビネーション遊具については、ふたつのランキング記事をご参照頂けます。
鉄の枠組みを使って発展形を作ってきたといえる鉄棒系の遊具ながら、別の素材を使ったものに正当な後継者とでもいうべきものがあります。それはザイルを使った遊具です。
日本語でいう「縄」を表すドイツ語がSeil。この言葉が語源の日本語で、ザイルという場合には登山に関わることが多いです。いわゆる命綱などがザイルと呼ばれ、素材も編み方も特別な機能を発揮するように考えられています。同様にエマージェンシーの現場でも、ザイルと呼ぶ特別な縄が装備されています。
そんなザイルでピラミッド型のネットの山を作ったり、トンネル状にしてみたり、はたまたトランポリンのように設営したりするのがザイル遊具となります。
ザイル遊具で一番よくあるパターンはザイルクライミングになるでしょう。中央の支柱から3ヵ所以上を結んだピラミッド型のネット遊具。
上ったり、つかまって横渡りしたり、複雑な構造となる内側を伝っていったり、まさしくジャングルジムが、そのまま発展形となったような類似の遊びを提供します。
大きなものから小さなものまでいろいろあるザイルクライミング。中には大きな物が2連になっていたり、場合によっては4つや3つ集まっていたりします。
その1 大和ゆとりの森(神奈川県大和市)
ザイルの山が4つあります。おのおのは連結されて円を描いています。その内ふたつは両端の大型コンビネーション遊具とも連結され、すべて合わせたならばとてつもない大型遊具になります。
ちょっと気になるのは下の部分をネットにしないのかな? というところ。大きく設計して高さを求めるザイルクライミング、たいていは保護ネットのごとく下の部分は細かくなっています。
ザイルネットを連続させれば、遊具の高さはなくても、自然に横渡りの遊びが発想に入ってきます。そう思うと大和ゆとりの森の4連のザイルクライミングは、この観点が強く意識されているのかもしれません。けれども高さもあります。
ルールとしては幼児と大人は使用禁止。具体的には6~12歳に限るという注意書きがポストコーンに貼られています。ザイルクライミングの連なりと、高さや大きさについては、独自に考察した記事があります。
矢橋帰帆島公園(滋賀県草津市)には同じ4連のザイルクライミングがあります。大和ゆとりの森では、両端にコンビネーション遊具が接続され、矢橋帰帆島公園では、最大級と思しき、もうひとつのザイルクライミングが接続されています。だから考えようによっては、矢橋帰帆島にあるのは5連ともいえるのです。
その2 国営武蔵丘陵森林公園(埼玉県滑川町)
2連になっているザイルクライミングのうち、国営武蔵丘陵森林公園の森のアスレチックにあるものはいっそのこと、横渡りはネットも用意しよう! という発想のようです。これは遊びの自由度が広がってよいです。こうして鉄棒系遊具はすごいネット遊具に発展しています。
その3 笛吹川フルーツ公園(山梨県山梨市)
ただし、こうして見てみると、一般的な綱のネット遊具とザイル遊具。似たものどうしながら、ちょっと特性は違うと言えます。笛吹川フルーツ公園では、それぞれの持ち味を生かしたハイブリッド型の果樹渡り+リンゴのネットがあります。
ネット遊具といえば笛吹川フルーツ公園には、透明な屋根の屋内ドームに典型的なものがあります。ザイルは耐候性が高いのも特徴です。ネット遊具が屋外にある時は傷みが激しくメンテナンスが厳しそうだと思うことがほとんどです。どちらも揃うのはこの公園の満足度の高さの理由が、なんとなく分る事例です。
屋内ならばネット遊具ならではの特性が生きる、優しい感触の遊びを提供しやすいでしょう。雨でも安心の建築物に遊具があると、ザイル遊具とはちょっと違うすごいネット遊具がよくみられます。
その4 大渕公園(静岡県富士市)
さて、話をザイルを使った遊具に戻します。典型的なザイル遊具となるザイルクライミングのように高さを追求しなくとも、面白い遊具があります。しかもメーカーの既成の部材をうまく使っています。それがザイルを使って、トランポリンのように遊ぶというアイディア。あってもおかしくない、こんなアイディアを実現しているのはまだ珍しいのです。
砂場に生まれた新しい遊び、ふわふわドームが注目の公園
空気で膨らんだドームの、ふわふわなところが堪らない面白さ。砂場に現れた新機軸といえるふわふわドームは、とても楽しい遊具です。ふわふわドームというのは、ただ空気を詰め込んだバルーンや膜を張ったトランポリンのようなものとは、構造的に一線を画しています。
本物のふわふわドームならば、必ずエアーを供給、排出して調整する装置が備わっています。また空気を出入りさせて、調整する内幕の山に外膜を被せる構造になっています。外膜は屋外使用に耐える耐候性を高めた、樹脂加工されたポリエステルの天幕になります。
内幕をいくつか設けて天幕で覆うことで、いろいろなコブコブを作れるのもふわふわドームならでは。弾み方も傾斜も高さも、さまざまなものが設計できるのも特徴です。
ふわふわドームを使えば跳躍力という点で、元々人間が持っている能力を遥かに超えてしまうことになります。そこでは、スポーツレベルでのトライも可能になるのでしょう。ただし、公園に用意されて自由に使えるものは、そういった使用方法は想定していないです。
現実に事故の例もある遊具です。宙返りレベルのアクションは、禁止とされているのが通例です。過剰なアクションによる怪我も問題とはいえ、一番気をつけたいのは周囲の、しかも小さな子どもへ被害を与えることです。
それを避けるためにも、年齢別のドームに分かれていることが望ましいです。その上である程度は活発にチャレンジできなければ、面白さも半減です。広く大きなふわふわドームが理想なのは、そいういった観点からになります。
とはいえ、管理の難しさがつきまとうふわふわドーム。傾向としては年齢制限を厳しくして、小さめのものを採用する例が目立っています。
その1 国営武蔵丘陵森林公園ぽんぽこマウンテン(埼玉県滑川町)
ひと山日本最大のエアートランポリンだと、公式にアピールされているのが国営武蔵丘陵森林公園にあるぽんぽこマウンテンです。大きな円形の外膜が、いくつもの内幕を覆っています。コブの数、種類が目を見張ります。
ふわふわドームの数:特大1、小(ひとコブ)1
その2 国営昭和記念公園雲の海(東京都立川市)
ぽんぽこマウンテンに対して、エリアにあるふわふわドームの総面積で日本一なのが昭和記念公園こどもの森にある雲の海です。特に中学生が思い切り遊べる大きなものまで、独立しているのはさすがの規模です。
ふわふわドームの数:特大2、大1
(国営昭和記念公園内では、さらにわんぱくゆうぐのエリアに幼児用の小さなものがひとつあります。)
ふわふわドームそのものについては、トップメーカーである太陽工業に理想となるのはどんなものなのか、伺った特集記事があります。たとえば観音山ファミリーパーク(群馬県高崎市)のものは、理想にかなり近いといえます。
現地未取材のものながら、太陽工業に伺う限り、膜屋根も備える国営讃岐まんのう公園のものは、さらなる高みにあるふわふわドームに思います。「子どもと楽しむ公園」シリーズが四国に進出できるならば、真っ先に対象になりそうな公園と遊具。ガイドをお届けできる日が楽しみなものです。
その3 富士山樹空の森冒険の丘(静岡県御殿場市)
逆に、ふわふわドームではない大型のエアートランポリンとして珍しいのが、富士山樹空の森冒険の丘のピョンピョンランド。大型のボールで作ったボールプールのようなものに、網を被せてあります。従ってボールに埋もれて遊ぶのではなく、トランポリンのように遊ぶものです。
子どもが発展形遊具で遊べる公園はしっかり解説!
「子どもと楽しむ公園」シリーズでは、こうした発展形の遊具について特に注意を払い、特徴をしっかり解説しています。ぜひそんな視点も意識しながらご参照ください。
フィールドアスレチックにあるのは遊具?
ここまで遊具の標準セットや、その発展形とでもいえるものを見てみました。複合遊具とは鉄棒系の構造体に、あらゆるものが組込まれたものといえます。その場合によくあるケースとして、また違った要素を考えて見たくなります。それはアスレチック風のものです。
全体がアスレチックテイストで貫かれた複合遊具
遊具によくみられるアスレチック要素。考察を進める上でまず見てみたいのは、全体がアスレチックテイストで貫かれたコンビネーション遊具。複合遊具では、そんな種類も見られます。
その1 小田原こどもの森公園小田原城アドベンチャー(神奈川県小田原市)
小田原城を模した大型遊具には天守閣まで登り詰めるというミッションがあります。城下の遊びも楽しいアスレチックテイストの大型コンビネーション遊具です。
フィールドアスレチックコースそのものなのは?
そもそも公園とは、決して子どものためだけにあるものではありません。遊具があるのは公園の目的の、ある一部に過ぎません。そんな中でまた他の、重要な公園の目的として運動というテーマがあります。
テニスコートや陸上競技場(サッカーコート)、野球場など一般的なものに加えて、珍しい例としては、フィールドアスレチックコースを意図したものが、用意されている場合もあります。
その1 姫の沢公園(静岡県熱海市)
伊豆半島の付け根、出発点を十国峠のケーブルカーにすることもできるという天下の険を舞台にしたフィールドアスレチックコースのある公園です。
その2 龍ケ崎市森林公園(茨城県龍ケ崎市)
フィールドアスレチックとして充分なのかどうかは、論議がありえそう。とはいえ公園側では、はっきりとアスレチックコースだと表現しています。それがメインのアクティビティとなっています。ニュータウン開発地に残された森林をぐるりと一周巡るコース、野山ではなく森の中とはいえ、野性味はたっぷりです。
実はfield athreticという英語はなく、そのため日本語でフィールドアスレチックといった場合には、明らかに意図するものがあります。それは野山を走破するというもの。コースにいろいろな障害物が並んでいるのも、それを克服することでより体を鍛えるという目的のある運動器具の意味があります。
遊具を開発しているプロから聞いた言葉があります。それは「機能が決まっているものは道具(器具)であって、遊具は遊びのためのものなのだから、自由な発想を受け入れられるものであるべき。」というものです。
アスレチックな遊具を見た時に、コースを走破する目的が明確だったりした場合には、強くスポーツを志向しているのでしょう。コースに組み込まれておらず、自由に使うことができるようなものならば、それは遊具としての志向が強いのだと言えるでしょう。
実際には多くの場合、公園にあるアスレチックテイストのものは、遊具としての志向が強いものだと感じます。
その3 四街道総合公園トリムコース(千葉県四街道市)
かなりフィールドアスレチックに近いコースになっているのが、四街道総合公園のトリムコース。このトリムというのが英語由来の言葉だとすれば、「バランスを取る」「うまい具合に調整する」といった意味なはずです。
小さなものながら、丘陵に作られたコースです。それもあってかなり、それ風なコース。でも、設置してあるのは遊具風のテイストを強く感じます。好きにいろいろやってみて! という感じです。
その4 国営武蔵丘陵公園森のアスレチック(埼玉県滑川町)
すでに、2連ザイルネットと網目のネット遊具のハイブリッドのものが森のアスレチックにあるとご紹介しました。森のアスレチックは数も種類もユニークさも飛び抜けるアスレチックなコースです。ただし、テイストは完全に遊具より。
ロケーションも野山でも森でもなく、しっかり整備されたいかにも公園といった雰囲気です。武蔵丘陵公園では、森のアスレチック内ではないぽんぽこマウンテンも、ふわふわドームを語るならば、触れざるを得ないものです。そしてこの公園、また最後に登場するのです。
また少し脇道にそれる話ながら、公園とは子どものためだけにあるのではないという点については、都市計画が定義する公園についての話。子どものためだけにある「公園のような」遊び場は実は、よく目にするもので、その大型のバージョンさえ沢山あるのです。
そんな事情についても公園総まとめの記事が参考になるはずです。
これは遊具の新潮流?抽象的なオブジェ系遊具とは
「遊具とは自由な発想を受け入れられるもの」というアイディア。そんな考えにピッタリ当てはまるような、遊具の新潮流というべきものも見かけられます。一見、何の目的なのか分からないもの、大人の目からすればただのオブジェにすぎないもの、ただ見過ごしてしまいそうなもの。そんな中にも、子どもが注目して遊びを見つけるものがあります。
その1 観音山公園ケルナー広場(群馬県高崎市)
そんな新潮流となる抽象的なオブジェ系遊具が、集まって群がっているような公園があります。ちょっと試しに置いてみた! ような感じの場合は増えているとはいえ、ここまで徹底しているのには、注目せざるを得ません。現状でははっきりいって、レアなものでしょう。
その2 豊洲公園(東京都江東区)の半球
キッザニア東京があって、子どもの遊びでも注目のららぽーと豊洲。東京ガスの無料の展示館がすてなーになどとともに、地域の都市再開発に際してできたものです。それゆえにこれらは全部実質ほぼ一体のもの。
そのエリアで費用のかかるキッザニアに対して、無料の遊び場として注目なのは江東区立の豊洲公園です。そこにある半円級のオブジェ。子どもは飾りや眺めるものとして扱うのではなく、遊びに活用しています。
その3 東三河ふるさと公園桜の広場(愛知県豊川市)
スケールの大きな東三河公園の御油側、壮大な公園のさりげない一角の桜の広場。ここには、小さな滑り台が組みこまれた遊具など、いくつかの遊びがあります。そのなかにはいくつもの、意味があるのかないのか、ちょっと計り知れないものが並んでいます。
その4 韮崎中央公園カブトムシ
抽象的ではなくモデルはあくまでカブトムシ。でもまぎれもなくオブジェ系遊具です。見ただけでは、眺める以外の目的をはっきりと悟ることはできません。もっともここでは、写真によるインストラクション付き。もちろん、それ以外の遊び方が制限されてはいません。
抽象的なオブジェ系遊具、新潮流でもあり、自由な発想を大事にするのは、遊具の本質をつく重要な視点でしょう。そんな意味で注目できるものがあったなら、今後も更新してご紹介してゆきます。
まとめ:フルセットの公園はここ!
遊具の種類について分類しながら、それぞれおすすめできるような典型例を挙げてきました。主に大型公園を追いかける「子どもと楽しむ公園」シリーズ。中には当然すべてを兼ね備えたような公園を、ご紹介したこともありました。
そんな公園を改めてフルセットの公園としてまとめてみます。
その1 富士川クラフトパーク(山梨県身延町)
- フルセットの内容
- ローラー滑り台を含む複数の滑り台が組みこまれた複合遊具
- V字2連ターザンロープ
- ふわふわドーム 大(3コブ)×1、小×1
- 単立のザイルクライミング
- ネット遊具
- ほか複合遊具
その他の注目施設(水遊び場)
有料の遊び関連施設(キャンプ、バーベキュー場、カヌー乗り場)
フルセット備える遊具の中では、大小備えたふわふわドームと、沢山の滑り台が組みこまれたコンビネーション遊具が、やや目立ちます。とはいえ、全体的に派手に迫力でグイグイアピールしてくる公園ではないです。どれもが適度で、環境の良さも相まって感じがいいです。何しろ道の駅や本格レストランまであるのです。
その2 みかも山公園(栃木県栃木市、佐野市)
- フルセットの内容
- 単立のローラー滑り台
- ロングチューブスライダー
- ターザンロープ
- ふわふわドーム 大(コブ3)×1、小×1
- 展望台兼の大型ネットグローブ
- ほか複合遊具
有料の遊び関連施設(ロードトレイン)
みかも山公園では発展形の遊具がフルセットで揃い、とても充実しています。けれどもどれもが公園内では、主役足りえないのが恐るべきところです。何しろそれほどまでに、独自性が高い遊具が他に存在しています。みかも山公園の新御三家遊具が、どれも控え目に感じられるほど、オリジナルな遊具の迫力が圧倒的です。
その3 金山総合公園ぐんまこどもの国(群馬県太田市)
- フルセットの内容
- 群馬最大級のローラー滑り台を組み込んだ複合遊具
- ターザンロープ
- ボールスウィング
- ふわふわドーム 大(コブ2)×1
- 4連ザイルクライミング
- ほか複合遊具
- その他の注目施設
- 水遊び場
- 有料の遊び関連施設
- パノラマチェア、サマーボブスレー
- サイクル広場
- 児童館内施設
有料施設がさすがながら、無料の大型コンビネーション遊具も大迫力。組み込まれたロングスライダーは、県内ローラー滑り台の最長クラスです。ターザンロープに加えて、さらなるブランコ系の進化を思わせるボールスウィングもまたよし。
ダイナミック広場に、そんな刺激的な遊具が並んでいます。ふわふわドームについてはひとつだけです。小さめながら4連のザイルクライミングは、ここにもあります。
その4 笠間芸術の森公園あそびの杜(茨城県笠間市)
- フルセットの内容
- 単立のローラー滑り台
- ローラー滑り台を組み込んだ複合遊具
- ターザンロープ
- ふわふわドーム 大×1
2分割されたローラー滑り台、これは丘の下まで下りずに、何度も遊ぶための配慮です。逆に連続でいけば、森に突入する後半部分もまた違った趣です。複合遊具というよりも、遊具回廊とでも言いたくなるコンビネーションの天空の砦。その複雑さが注目すべきところです。ふわふわドームは小さめのものがひとつです。
その5 大和ゆとりの森(神奈川県大和市)
- フルセットの内容
- 単立のローラー滑り台×2
- ターザンロープ
- 4連ザイルクライミング連結複合遊具
- ふわふわドーム 大(コブ2)×1
- ローラー、旋回チューブなど組み込まれた複合遊具
- ほか複合遊具
有料の遊び関連施設(バーベキュー場)
すでに4連のザイルクライミングでご紹介した大和ゆとりの森。フルセットが意図されているかのような、意欲的な公園です。設備は充実していて、何ら問題はありません。あとは公園というものの哲学、子どもが自由な発想で、思う存分楽しめるための進化に期待したいです。
その6 ぼうさいの丘公園(神奈川県厚木市)
- フルセットの内容
- 単立のローラー滑り台×3
- ターザンロープ
- ふわふわドーム 大(コブ2)×1
- ネット遊具
- 複合遊具(アスレチック風)
- 幼児向け複合遊具
その他注目の施設(水遊び場、スケートボード場、小動物園)
厚木市の市街地が近い便利な立地。なおかつ神奈川県では、あまり多くない無料の駐車場もしっかり備わっています。防災に役立てるための公園とはいえ、遊びも相当な充実ぶりです。遊具の種類を見てもフルセットのぼうさいの丘公園、名前に誤魔化されてはいけません。見逃せない子どもの遊びのための公園でもあります。
その7 国営武蔵丘陵森林公園(埼玉県滑川町、熊谷市)
- フルセットの内容(大人は入園料が必要)
- 単立のローラー滑り台
- ブランコ滑車
- ターザンロープ
- ザイルクライミング
- ネット遊具
- ふわふわドーム 特大×1、小×1
- ローラー滑り台を含む複数の滑り台が組みこまれた複合遊具
- ほか複合遊具
その他注目の施設(水遊び場)
有料の遊び関連施設(レンタルサイクル、バーベキュー)
このようなフルセットの公園は、やはり珍しいものです。詳細をみるとそれぞれの遊具は、案外どれもが目を見張るようなジャンルを代表する規模ではないのも注目なところ。それぞれに売り処は違っています。
そんな中で、国営武蔵丘陵森林公園については、まさしくキングオブフルセットとでもいうべき内容。現在の子ども無料試行は、恐らく定例化するでしょう。それでも付添の大人は、格安ながら入場料が掛かります。とはいえさすがといえる内容ではあります。
森のアスレチックのコースを埋める遊具が、これまた細かい小技の利いたものです。これによりさらに、あらゆるジャンルを網羅することになります。特にブランコ系の究極の発展形にも見えるブランコ滑車などは括目です!