大人の心にも響く隠れ家というキーワード。例えば知る人ぞ知る「隠れ家」なお店、連れて行ってもらえるならば、それは心踊る体験に!
秘密基地に見立てた場所でかくれんぼをしたり、刺激的な環境で遊具やゲームに頼らなくてもワクワクする時間になるとしたら、そんなことが原体験になるのかもしれません。子どもと遊びに出かけて「ここはいいな」と思える場所をご紹介しています。
埼玉県飯能市にあるトーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園は、とてもファンタジーなスポット。子どものための公園なのに、ここには体を使って遊ぶいわゆる遊具は用意されません。ならば遊具のない公園では何をするの? とふと疑問に思いかねないところ。
それが無理もないことに思えるのは、あくまで大人目線でのこと。実際には想像力を刺激するきっかけさえあれば、子どもは何でも遊びにしてしまえます。そんな子どもに備わった天然の力、目覚めさせる環境こそ、ズバリ! あけぼの子どもの森公園の狙いでしょう。
実際問題、遊具抜きでも子どもがしっかり楽しめる趣向というのは、なかなか体験できないレアなもの。得難い体験が、話題を呼んでいるスポットです。かといって、そんな理屈は通らないと思われるのであれば、あけぼの子どもの森公園へ向かった時には、実は遊具でも遊べます。
遊具はないといいながら、遊具でも遊べる? それがどうしてなのか含めて、いつものように独自に撮影した写真を満載して、人気の遊び場へのお出かけに役立つよう、徹底的にガイドします。
子どもがファンタジーに身を包むあけぼの子どもの森公園をしっかり解説!
公園内のある一部を写真で切り取ったならば、いっけん人里離れた相当な山奥でもあると思ってもおかしくありません。実際には市街地のすぐそばで、それでも豊かな自然が残っている場所になります。飯能市の入間川沿いの、運動公園に隣接する場所です。
隣の阿須運動公園には遊具も!ふたつは一体のようなもの
市民体育館や市民球場、さらにちょっと珍しいホッケー場などがある阿須運動公園。さらに橋で道路を渡った河原には、大型遊具がいろいろ並んでいます。あけぼの子どもの森公園のファンタジー溢れる様子は、もしかして入場料が必要? と心配しそうなくらい。けれども、どちらも共有の駐車場含めて無料です。
街のすぐそばに残された自然を有効利用
すぐそこは市街地とはいえ飯能市は奥多摩の近く、今は都内ではなく埼玉県ながら、かつてはいっしょの武蔵の国。ここには関東山地から連なる、豊かな自然が残っています。あけぼの子どもの森公園でも、そんな自然が生かされています。
斜面に設けられたデッキを登っていくと、園内を見渡せます。同時に反対側には、市の背景となっている丘陵地の自然が、そのままになっています。
のぞき窓のあるユニークな鉄のトンネル橋を渡るあたり。そこには、自然の現実を思い知らされる警告があったりします。といってもゲームで出くわす、モンスターなどではないのです。意味もないのに襲い掛かって来たりしません。
こんな生き物への対処も、学ぶきっかけがない生活をしている子ども、都市圏では沢山います。自主性や、さまざまな体験による成長を意図とした公園です。危険の存在と、対処法を学ぶというありかたが伝わってきます。
メインとなる建物は「暖かさ」を感じられる家をイメージ
まさしく屋上緑化の、最新のエコロジーハウスのようです。屋根は完全に自然素材。季節には緑色に染まるのです。この建物はきのこの家と名づけられています。
園内の散策と共に、メインステージとなるこの奇妙な家、なかなか楽しい仕掛けが詰まっています。どんな楽しみがあるのか、しっかり見てみましょう。
土足厳禁はまさしくお家
きのこの家への入口はふたつ、公園入口からみて表側と、ワンフロア下になる裏側の入口があります。
水場になっている裏手側。いずれにせよ靴を脱いであがります。
そのため、どちら側にも靴箱があります。つまり帰る時には靴を回収するために、同じほうから出ることになります。
建物の中はぐるりと階段を登っていく、塔のような構造をしています。
これは楽しい!おままごとの世界が出現
まずはおままごとができそうな雰囲気。あくまでお家の中が再現されています。
ほんとうに我が家みたい? それともこんなにおしゃれじゃあない?
窓の形もユニークです。手すりなども凝った造形。全体的に曲線が主体のインテリアデザインです。
かくれんぼがしたくなる!いろいろ気になる部屋の中
中にはちょっと気になるようなところが、いっぱいあります。かくれんぼするならこれ以上ないお家! それだけでも住んでみたくなりそうです。考えようによっては、どこか遊具みたいなもの。
であったとしても、先が滑り台とかにはなっていないので、ちょっと違うニュアンスです。することは中に入って、どうなっているのか確かめてみるだけ。ここにあるのは刺激的な結果をもとめるのではなく、探索する過程を喜ぶ哲学です。
とはいえ思わぬところに抜け出たりはします。
実際に見て確かめて欲しいのはこんな趣向
極めつけのカワイイお部屋! かと思えば実はミニチュアです。精巧な出来は写真だと本物と見紛うのでは。
どのくらいの大きさかというと、自分が巨人になったと感じるくらいの絶妙な大きさ。
実は冒頭に掲載したこの写真もミニチュアです。お気づきの方は相当鋭のでは!
さらに上に向かうと表れるのはまた違う世界観
途中の扉をあけてみると、トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園らしい、冒険心を刺激するコースもあります。
外階段に通じていて、ちょっとドキドキします。もう結構高いところです。
登っていけば上の階にちゃんと通じています。
最上部は大人が付添って!
昇り詰めていけば、いよいよ改めて注意を喚起される最上部への道です。
細い通路で最上部をぐるりと巡ります。
建物の中を見下ろす、なかなか良い眺め? いやいや手すりなども簡素なのでなかなかスリリング。
実は刺激も充分な建物になっています。ここから足を踏み入れるのはちょっとした決意!? 冒険心が掻き立てられるステージながら、ちょっと躊躇もします。
手すりも通路も子どもサイズ。ならば小さい子ほど大人のようには、危機感を感じないのかもしれません。
子どもは元気に進んでいました。ぐるりと一周して冒険は終了です。
入口のおままごと感からは、想像できない刺激がありました。ファンタジーな雰囲気に、ほっこりするだけでは済まされない建物です。
モチーフになったものが展示される異形の建物もあり
きのこの家以外にもまだ、建物があるのも特徴になります。例えば異形の外観となる展示館は森の家。こちらも入口で靴を脱いで入ります。
子どもよりも大人のほうが分かるでしょう。かつてはTVでもアニメ放送をしていて、とても人気があった、ムーミンの展示があります。
ムーミンは北欧のトロールがモデル。伝説の生き物とムーミン童話についての解説が並んでいます。公式な命名の前から、ムーミンシリーズの作家トーベ・ヤンソンさんのふるさと、フィンランドと作品の雰囲気がモチーフになっていたのです。
森の家の2階は、読書コーナーになっています。児童書、絵本もあります。ここでのんびり読書をして過ごすのもよさそうです。
壁を見ると分かる通り、この建物は丸太小屋です。自然なぬくもりがいい雰囲気なだけでなく、実はとても贅沢な空間です。江戸時代からのブランド材となる、西川材で作っています。飯能を含めた入間川、高麗川、越辺川といった荒川支流の流域の材木を、西川材といいます。
この流域を西川林業地というのは地名ではなく、江戸の西のほうから川で運んでくるという意味。強度の高さが折り紙つきの檜、杉が特徴です。西川材は家具や建具などもあります。大切な服やカバンをしまうのに、西川材の製品を検討してみたくなる空間です。
子ども劇場にトイレなどあり
管理事務所がある子ども劇場も、ファンタジーな雰囲気を湛えています。カフェ以外にトイレはここにしかありません。園内はそれほど広くないので、困ることはないとは思います。それでも、ここを覚えて置くと便利。
1階は立ち入りできるのはトイレのみです。それでも広いスペースを確保しています。
キレイでうれしいトイレです。これも西川材でしょう。自然なぬくもりあるのもいい感じ。
多目的トイレも、もちろん備わっています。赤ちゃんと一緒でも全く問題なし。
チャイルドシートが備わり、自分が用を足すのに困ることもありません。そしてオムツ替えの台も、問題ありません。
しかも、ここはちょっと趣向が違います。子どもをベルトで固定するタイプではないです。固定してあるのは敷物のほうで、あまり見ない設備。これはやはり優しい感じがします。2階にもトイレがあり、やはりこの座布団が引いてあるスペースがありました。
面白いデザインの子ども劇場は、2階建てになっています。遊びの場なのはこちら。広いホールになっています。屋根に載っているのは魔物ではなく! 妖精のようです。
上の階は自由に遊べるフリースペース。ドーム屋根で風通しもよい空間。日差しが気になる季節は特に快適に遊べそうです。
森の家も1階、2階とも靴を脱いで利用します。スタンプラリーや定期的に開催される遊びイベントでは、このホールを利用。イベント内容はフェイスブックで確認するようになっています。
ゆっくりと散策したい園内には他の楽しみも
こうしてさりげなく刺激的なものがある、あけぼの子どもの森公園。やはり異次元な世界に浸るのが楽しい場所です。園内に置いてあるものには、まだまだ見どころがあります。いろいろな形のベンチを見つけて座ってみる、さわってみるのもいいでしょう。
どれもこれも、当たり前の形はしていません。こんな体験でも、きっと子どもの心の中では、刺激がうず巻くことになるでしょう。
水浴び小屋があります。湖に浮かぶこういう異国の建築物。よく知られたものはムーミン童話で、ムーミンパパがつくったものです。
ここは靴をはいたまま入れます。ただ中は見た通り広くありません。池の景色を眺めるだけです。
樹上の家という木で組まれたものです。名前とは違い、物見砦か何かのようにしか見えません。大した高さではなく、景色がよい訳でもないです。ムーミン谷ふうな演出とアスレチックな目的。
ただし、簡単な階段とはいえません。こんな感じで甘くないのが、あけぼの子どもの森公園らしいところ。「遊び場を挑戦の場、冒険の場として子どもの成長に結びつける。」ファンタジーな雰囲気のあけぼの子どもの森公園の目的は、こうだといいます。
その中で安全を確保するために、保護者の見守りが大切との考えです。もちろん大きな事故につながる危険は取り除くとしています。
道を隔てて普通の遊具広場も
あけぼの子どもの森公園の魅力は分かるけれども、やはり遊具で遊べないと不安! という方がいらっしゃるかもしれません。そんな場合でも何の問題ないのは、事実上ひとつの隣の運動公園では、遊具が充実しているから。
道路を隔てて入間川の河川敷には、それなりの規模の遊具広場があります。大小ふたつのコンビネーション遊具とザイルクライミング。
ザイルクライミングは、横渡りも楽しめる2連になったものです。
あけぼの子どもの森公園は平成記念子どものもり公園として、当時の建設省から指定を受けて、飯能市が、1997(平成9年)7月に開園した場所です。市民体育館や球場、飯能市イチオシのホッケー場、そして遊具がある、阿須運動公園を望む背景の丘陵を整備したものです。
設立の背景が違うため別の名前であっても、利用者目線からしたら、それぞれ同じ公園の一部だと考えて何も問題はありません。公園名が違うことで、使い勝手にも一切影響は出ていません。むしろ駐車場などは共有しています。
2017(平成29)年にはムーミンの管理会社の承認を得て、正式名称がヤンソンさんの名前を冠した、現在のトーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園となっています。
阿須運動公園で遊具のある場所が、道路で隔たっているといっても、堤防側に見える坂を登ったところに、歩道橋が架かっています。一般道を使わずに行き来できます。
名前はあけぼの橋。安全に遊具広場とあけぼの子どもの森公園側を連絡します。
橋を渡ればあけぼの子どもの森公園の入口のある、市民体育館前の駐車場です。
むしろ市民体育館の中の施設を有効利用した方が、あけぼの子どもの森公園の利便性も高まるでしょう。
あけぼの子どもの森公園の敷地へ向かう坂道。その途中には自動販売機、トーベヤンソンあけぼの子どもの森公園内には、カフェプイストもできました。
キッズメニューもあるカフェ・プイストはあるものの、阿須運動公園のほうにも無料ので気軽なスペースがあります。
飯能市民体育館の中も、覚えておくとよいです。
あけぼの子どもの森公園を訪れるには(アクセスについて)
住所:埼玉県飯能市大字阿須893-1
電話番号:042-972-7711
開園時間:9時~17時(土日祝日は21時まで、日没からのライトアップあり)
休園日:毎週月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始(12月28日~1月4日)
バス便は不便なため、自動車の利用をおススメします。自家用車を使わなけば、タクシーを利用せざるを得ません。ただし大人が歩けない距離ではありません。
【自動車を利用する場合】
駐車場:無料
阿須運動公園駐車場を共用します。
最寄インターチェンジ一覧表 | ||
---|---|---|
高速道路路線名 | インターチェンジ | 所要時間 |
圏央道 | 日高インターチェンジ | 20分程度 |
入間インターチェンジ | 20分程度 | |
関越自動車道 | 川越インターチェンジ | 50分程度 |
圏央道の利用が便利な地域です。
入間川の河川敷側にあるものよりも、市民体育館脇が、あけぼの子どもの森公園入口に隣接して便利です。
【公共交通機関を利用する場合】
最寄駅:西武池袋線元加治駅徒歩20分(1.6 km)
当地から3.7 kmほど離れた飯能駅(西武線)、東飯能駅(JR八高線)を起点として市内にはバス便があります。しかしながら、あけぼの子どもの森公園がある市民体育館周辺への路線はありません。最寄りバス停までの距離よりも、元加治駅までの距離のほうが近くなります。
まとめ:異次元のファンタジーがこんなに身近に!
飯能の市街地はすぐそこ。市民体育館、球場に隣接していて深山に分け入る訳ではありません。それでいながらトーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園に一歩踏み込めば、たちまち異次元の世界が現れます。
ファンタジー溢れる景色に入りこむのは、まるで魔法にでもかかったよう。こんな童話の世界で子どもに見えているのは、大人以上のものに違いありません。異次元の世界観に心躍らせている姿を見られるスポット、なかなかあるものではないです。
公式サイト:トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園