あらゆるものが揃うかのように、スポーツを楽しめる公園が妻沼運動公園。もっとも2019年ラグビーワールドカップ12の開催都市のうちのひとつ、埼玉県の熊谷市には会場スタジアムもある熊谷スポーツ公園もあります。
彩の国くまがやドームなどは、巨大ドーム建築の中に多目的人工芝屋内グランドと、体育館が共存するという驚異的な施設。さらにワールドカップ仕様のラグビー場、サッカー場としても充分な規模の陸上競技場など、目もくらむような立派なものばかり。
いろいろな遊具で遊べる子供広場もあり、さらに園内で自由に使える貸自転車やバッテリーカーコーナーも楽しく、場合によってはグランド・ゴルフを試みてもいいのです。対して奇しくも、子供広場として同じ名称の遊具広場がある妻沼運動公園。
運動施設については、グランドは広さは充分ながら土のグランドです。体育館もごく普通の仕様、テニスコートはクレイと人工芝が4面づつながら、熊谷スポーツ公園のコートはまさにドーム内の主要施設です。
とはいえスポーツ施設についても、地味な設備のスペックにも関わらず、伝統的なイベントの開催地になっており、ずっと愛されている場所。そしてコンパクトに遊具が充実する妻沼運動公園のほうの子供広場。
こちらも底知れぬ存在感を発揮してしまうという点では、特異なものなのです。子どもと遊びに出かけて「ここはいいな」と思える場所をご紹介しています。ちょっと見た目では意外に感じるでしょう。
けれども妻沼運動公園の子供広場は、なんと「子どもと楽しむ公園」シリーズでいうところのフルセットの公園。例としてあげられる場所は多くない、つまりどこにでもある訳ではない公園の遊び場なのです。
関連記事:【おすすめ遊具】公園選び写真満載の参考書、どこにある?が一目瞭然
(公園遊具の標準セットとか、フルセットの公園って? という疑問が解けます)
ゴリゴリに資金力で魅力を高めた公園ではないとはいえ、だからこそ、ここにある普遍の魅力、注目したいものです。公園の背景も探りながら、いつものように独自に撮影した写真を満載して、人気の遊び場へのお出かけに役立つようガイドします。
子どもが大型遊具で遊べる妻沼運動公園をしっかり解説!
- 妻沼(めぬま)運動公園フルセットの内容
- ローラー滑り台とチューブスライダーが組み込まれた複合遊具
- 2レーン並行タイプのターザンロープ
- ふたコブのふわふわドーム
- ワイドスライダー
- ほか複合遊具
ふたつの種類の滑り台を使うのが主眼となる複合遊具
公園のほぼ中央付近、ごく低くくながら築山された上に複合遊具があります。かさ上げされている分は、滑り台の長さに貢献しています。
ふたつの種類のスライダーを滑ってみるのが、この遊具の主な目的になります。出発台にたどり着くまでの遊具によるルートも、築山の一番下から通じています。
斜面とネットの組み合わせになる登坂路と、2種類の滑り台が複合遊具を、コンビネーション遊具たらしめている要素です。
ゆるやかに上ったところからは、チューブスライダーが発進。
そのまま90°方向転換してローラー滑り台のほうと結ぶ道もあります。
ローラー滑り台の発進するスタート台へは、丘の途中から階段も通じています。2段構えなことで、割合に高く上るのだと分かるようになっています。
築山でかさ上げされていること、2段分上ること併せてローラー滑り台は意外に長いものです。
かさ上げ効果は、下段からのチューブスライダーでも生きています。大きな滑り台がテーマになる複合遊具。シンプルに見えて迫力も備えるものにはなっています。
ターザンロープは2レーン式で並んで滑空できるもの
2レーン並行型になっているターザンロープは、隣にある駐車場から進んでくると、ちょうど複合遊具への導線のようになっています。スタート台は設けられず、自然の傾斜を利用したものです。
掴るロープが短めで、なおかつ長さが違うという特徴のあるもの。ロープウェイの懸架部は逆にむしろ大き目のため、あまり横側に振れないようにする効果はありそうです。
このロープの短いのも、2レーン式の場合万が一の接触を懸念せざるを得なく、そのためかと思われます。
ふわふわドームはひとつだけ
ふたコブのふわふわドームは例にもれず人気になっています。複合遊具とともに、公園の真ん中に位置しています。
コンパクトな妻沼運動公園の子供広場らしく、巨大でもない代わりに小さいともいえない規模。ふたコブ作られていますが、この大きさだけに対象年齢は3歳~6歳に指定されています。
つまり、児童(小学生)以上は利用対象から外れています。こうした点はふわふわドームに常につきまとう、痛しかゆしなところ。安全に運用するためには致し方ないとはいえ、低学年の子どもにしてみれば、残念なことになるでしょう。
さらにワイドスライダーも用意
複合遊具と隣合う、小さな築山では幅広の大型滑り台でも遊べます。長さは、さほどでもないものです。
滑走面もステンレスではなく、グリッサンド素材のようで板状の素材が並び、真ん中のものが黒くなって境界を示すようになっています。あくまで目安で仕切りにはなっていないとはいえ、並んで滑ってみるときにはいい感じの配慮です。
ニャオざねを掲げる、もうひとつの複合遊具
ちょっと今風な感じで、もうひとつ複合遊具が置かれています。高さはなく横への展開が主なもの。
終着点の3連滑り台に向かって、長めのルートでもチャレンジ可能です。
ごく低い位置だけに吊り橋は、きわめて細い足場。パネル遊具や2連の短い滑り台が中間点になっています。
縦に変形するラダー状のところで横に渡れるように連結される、3連滑り台の部分は仕掛けが豊富。ニャオざねが掲げられているのは、熊谷市の公園だから。そして反対側には妻沼のえんむちゃんが掲げられています。
関連記事:子どもと無料で楽しむ別府沼公園
(記事中にニャオざねについての解説があります。)
クライミングのウォール部分も2種類、方形ラダーもあれば小さい滑り台もあります。こちら側には簡単な階段がないのが意外といえばそう。
階段を利用したい場合は、2連の緑の短い滑り台のほうのパートに挑むことになります。
その他の遊具にも存在感
ローラー滑り台のある大き目なほうと、小さめのほうの複合遊具に挟まれてブランコも4座置かれています。
4座あるとはいえ、ごく普通の形のブランコがそれなりに存在感を主張することを考えても、妻沼運動公園の子供広場はコンパクトな遊び場なことが分かります。
ブランコの隣の辺りに、動物の形をしたスプリング遊具も、5つが丸く配置されています。
コンパクトであることは物足りないのでなく、ギュッと詰まった内容の濃さのほうに結びついている公園だといえます。
妻沼西第2公園は隣接するも向かうには街路から
妻沼運動公園の子供広場の小さめのほうの複合遊具と、コンセプトは同じようなものが隣接する妻沼西第2公園にも設置されています。遊びの構成は多少違うので、散歩がてら巡ってみるのも手です。
子供広場から道を渡って体育館のほうに行った先、西側の端から見えています。ただ園内からは、直接行けないようになっています。
子供広場の南側の一般道(歩道あり)を、西に向かって行くと着く場所です。さらに進むと同様の遊具のある妻沼西第1公園もあります。歩いて行かずに車で向かっても、第1、2どちらにも小さな駐車場もあります。
有料の運動施設と子供広場以外の無料の遊び場
主に野球とソフトボールで使う野球場、照明設備もある緑の広場は土のグラウンド。さらに、クレーと人工芝を共に備えるテニスコート、体育館などは有料施設。熊谷市、深谷市、寄居町に居住または通勤、通学をしている人以外は料金が倍になります。
妻沼運動公園で無料で自由に使えるのは、遊具のある子供広場の他には、スケートボード場になっているスケートパークと、多目的グラウンドになっている緑の広場の芝生部分。
芝生部分は柵で囲われておらず、見た目から自由に使えることが分かります。名称はグラウンドとなっていますが、芝生広場としての用途と思っていいでしょう。
妻沼町の変遷について
妻沼聖天山歓喜院の本殿聖天堂は国宝になっています。妻沼は1179(治承3)年創建の神社の門前町だった場所。聖天道は江戸時代後期の華麗な装飾を代表する建築物で、助六寿司の稲荷寿司が細長くなったバージョンの、聖天寿司とともに地域の名物です。
妻沼町は合併により(新)熊谷市に
2005(平成17)年、旧熊谷市と大里町と共に合併して現在の熊谷市になっています。利根川に面するこのエリア、実は県をまたいで川の向こう側に飛び地が残っています。旧妻沼町の群馬県に囲まれた埼玉県となる飛び地の小島地区。
渡しや河岸があったのか、流域の変遷によるのか、推定される記録はあるものの、厳密なところははっきりしません。いずれにせよ、地域の川との結び付きを思わせるものになっています。妻沼は独自の文化があった場所だといえるでしょう。
めぬまカップは女子高校生の著名な大会
めぬまカップは全国48の代表チームによる、高校女子サッカーの全国大会。春休みの大会で高校野球でいえば、春の選抜の甲子園大会を思わせるものです。同じ連想で言えば主会場となる妻沼運動公園は、ちょっとした聖地といえるでしょうか。1995(平成7)年に始まった大会は、だから今でもここで開催が続いています。
妻沼運動公園を訪れるには(アクセスについて)
住所:埼玉県熊谷市飯塚200-1
連絡先:048-588-3100(妻沼運動公園体育館内事務所)
公園利用時間
利用開始:8時30分
利用終了:子供広場17時(夏期18時)、多目的グランド17時、スケボー場21時
公式サイトからの引用
お車でお越しの場合
関越自動車道 花園インターチェンジより 約16.8km
関越自動車道 東松山インターチェンジより 約24.8km
東北自動車道 館林インターチェンジより 約23.7km電車でお越しの場合
「熊谷」駅南口より熊谷市ゆうゆうバス「グライダー号」または、「籠原」駅北口より熊谷市ゆうゆうバス「グライダーワゴン」で「妻沼西中学校前」下車 徒歩約6分
「熊谷」駅東口より朝日自動車バス「妻沼(熊谷駅~中奈良~妻沼線)」又は「妻沼(バイパス経由)」行き「妻沼行政センター」下車 徒歩15分
(フェンテ注 2018(平成30)年の路線見直しの影響か、公式サイトのバス便は誤った内容になっています。下記、公共交通機関を利用する場合をご覧ください。)
【自動車を利用する場合】
駐車場:無料(732台)
妻沼運動公園は自動車での利用が便利です。遊具広場の隣、同区画内に駐車場があります。体育館に入っていく道とは反対側に入口があります。
体育館の脇にある駐車場は、子供広場から道を渡った向かい側になります。一番大きな駐車場で、ずっと奥の方まで回り込んで多目的グラウンドのところまで繋がっています。
公園の北東の角になるスケートパークの隣も駐車場です。野球場の北側は、スケートパークと駐車場になっています。
最寄インターチェンジ:関越自動車道花園 約16.8km
【公共交通機関を利用する場合】
最寄駅:JR高崎線籠原駅(約7 km)
最寄バス停留所:妻沼西中学校前
子供広場の近くにある路線バス(朝日自動車)の妻沼運動公園バス停留所は、平日の朝夕のみ運行の路線(工業団地のための路線)。従って利用には適さないものです。次に近いのは妻沼西中学校前で、熊谷市のゆうゆうバスグライダーワゴンの路線で、籠原駅と連絡します。
グライダーワゴンは北側を少し迂回するうえに、ワゴン車での運行。熊谷駅からゆうゆうバスグライダー号を利用する場合は妻沼行政センターバス停留所を利用します。朝日自動車のバスも、この停留所は利用できます。公園の東側で国道407号線の向こう側になります。いずれにせよバス便はあまり便利でないでしょう。
ゆうゆうバス料金:(1回)100円(未就学児は無料)、1日乗車券300円
運休日:1月1日~3日
まとめ:夏の最高気温で有名な街の意外な名物
熊谷市といえば日本最高気温。そこにスポーツ施設が充実しているのは、偶然というよりも意図したもの。2006年にはスポーツ熱中都市を宣言しています。そんな地域の中核都市に飲み込まれたともいえる妻沼運動公園。ところがかつての町の中心施設はいまでも、面影を残す魅力を持っています。
派手な設備でもなければ、豪華な遊具が揃う訳でもないです。けれどもツボを押さえて、しっかり必要なものが揃っている遊び場。ちゃんと見てみれば意外な名物といえる公園です。ニャオざねとえんむちゃんも遊具の上で並び立っています。
公式サイト:妻沼運動公園 利根川総合運動公園等