とても大きく作れて、挑み甲斐のあるものになるところは、ザイルクライミングという遊具の特徴になります。「ザイル」というものを使うものの中で、高さを求めるものが名前のとおり、ザイルクライミング。
すでに目の前にあれば、それだけで圧倒される大規模のものが、ところにより公園で見つけられます。その高さは既に10 mを少し超えるくらいまでに達しています。クライミングが目的のこの遊具、迫力でいえば、さらに発展形もみられます。
ただひとつの山がそびえるだけでなく、連峰のように連なるものがあります。それは2連のものであったり、特別に珍しいものとしては4連のものもあります。連なっている場合は、一番底のザイルに、稜線を描くような頂点を結ぶザイルが近づいて、横渡りします。
さらにザイルで作った橋のようなもので、他を連結したものまで登場しています。現在「子どもと楽しむ公園」シリーズで確認して特集している中では、4連ザイルクライミングが、大型コンビネーション遊具ふたつを橋渡ししているもの。
それから、もうひとつの単独のザイルクライミングと連結されて、5連のようにも見えるものをご紹介しています。ザイルクライミングの大きさを考える時に、着眼点になるのは、どれだけ高さがあるのか? どれだけ連なっているのかです。
ザイルクライミングにとって、高さや連なりがどんな意味を持っているのか。そんな考察も交えて、具体的にどこに行けば大きなザイルクライミングで遊べるのか。いつもの通り独自に撮影した写真を満載して、人気の遊具を利用するのに役立つようガイドします。
最大級となるザイルクライミングがある場所は?
ザイルクライミングはどれだけ高くなるのか、将来は分からないものの現状では高さ11 mというのが目安になりそうです。これ以上にはしずらそうな事情を考察できるのです。
これが最大級 高さ11 mのザイルクライミング1 矢橋帰帆島公園子供の広場
滋賀県草津市の人工島で、県庁所在地になる大津市の市街地を対岸に臨む、矢橋帰帆島(やばせきはんとう)にある公園には、広くていろいろな遊具が揃う遊び場になる子供の広場があります。子供の広場の中心部には、木のデッキで作られた回廊が巡っています。
この回廊デッキはおおまかに琵琶湖の形になって、琵琶湖のみどころになる琵琶湖八景をモチーフとする景色や遊具が据えられて、回遊する道になっています。その回廊デッキの中心にあるのがザイルクライミング。
琵琶湖を表現した回廊デッキで、湖水をたたえるそのものを表す位置には、日本最大の湖の偉容を表すかの如く、桁違いのスケールでザイルクライミングが設置されています。高さも最大級ながら、ザイルクライミングの大きさを考えるうえでのもうひとつのポイント。
連なりという意味でも最もたくさんだ! と言ってよさそうです。そして高さのあるもの、連なっているものが、ザイルの橋で連結されていることで、類をみない規模になっています。
矢橋帰帆島で見られる4連のザイルクライミングは、やはり珍しいものです。そのうえで高いザイルクライミングも加わるため、これは5連のものなのでは? と考えたくなります。確かに繋がっているため、5連と捉えても構わないといえば、そのとおり。
ただし詳細をみてみると、4連部分はあくまで柱は4本あってもすべての山は一体となって支えあっていて、構造としてはひとつと考えていいものになっています。そのような視点では、高さのあるほうは、あくまで、もうひとつの別のものです。
ザイルクライミングとは、素材そのもののテンションで、巨大な遊具の全体を支えれるような特殊な性能を発揮する縄である「ザイル」を利用し、中心部として立てた柱から、地上で固定する4点(小さいものでは3点の場合あり)で支えて、自立させているものです。
こうして基本はいわゆるピラミッド型となるひと山も、構造全体にザイルを張り廻らせることで、より強固な構造体となり、また編み込まれたザイルを手繰って、上っていく遊びができることになります。
結果として遊び方としては、鉄棒で四角を組上げたジャングルジムと、極めて類似のものになるため、ロープジャングルジムと呼ばれることもあるものです。柱が2本立つ2連のものは、地上に固定するのは6点。ひと山の残りの1点を連結して支えあっています。
4連のものもひと山の4点のうち、それぞれの1点を連結しています。それをうまく機能させるためのアイディアなのでしょう。「子どもと楽しむ公園」シリーズで現地取材のうえガイドしてる3つとも、中心部の円になるザイルに、その1点が繋がっています。
矢橋帰帆島公園子供の広場では、そんな4連のものと高さのあるひと山が、ザイルの橋で連結されています。これが5連なのか、4連なのかはこの橋による連結をどう捉えるかによります。いずれにせよ5本の柱が立つものが、曲がりなりにも繋がっています。
これでザイルクライミングの大きさという点では、類をみない規模のものになることは間違いないです。高さをみても公園の公式な告知では10 m。「子どもと楽しむ公園」シリーズで確認している限り最大の高さは11 mで、それには1 m足りません。
ところがメーカーからしても、このザイルクライミングは代表作となるようで、詳細を解説した案内をしているウェブサイトでは、矢橋帰帆島公園のザイルクライミングは11 mだと告知しているのです。
どちらが正しいのかといえば、どうも11 mになりそうです。ザイルクライミングを代表する、このメーカーのカタログにあるのは11 mのもので、次に大きなものは9 mだからです。違いはもしかすると設置の条件で、測り方によるのかもしれません。
確かに見た目でこれは大きいなと感じるようなものは11 m、もしくは9 mであることが多いです。カタログ上でさらに続くのは、7.5 m、6 m、4 mで、小さなものは3 m程度でラインナップされています。
さらに11 mの最大級の実例をみながら、ザイルクライミングの高さについて、もう少し考察を進めてみることにします。
これが最大級 高さ11 mのザイルクライミング2 御勅使南公園
甲府盆地でも中心部とは言えない山梨県南アルプス市(成立時、合併した自治体はすべて町か村)にあって、著名とはいえない御勅使(みだい)南公園。名声が轟渡っていなくとも、この公園にあきれるほどの遊具が揃っているのは事実です。
数はたくさんでも、極端に巨大で目を見張るようなものはない中で、御勅使南公園で一番大きな遊具といえるのが、高さ11 mになるザイルクライミングです。ザイルクライミングはその作りからして、構造としてみればあくまで単体のもの。
コンビネーション遊具と繋げることはできても、組み合わせるのは難しいです。この特有の難しさをよくよく考えてみると、ザイルクライミングのあり方がよく分かってきます。優れた強度のザイルでテンションを掛けて、自立させると言葉にするのは簡単。
子どもが高く上っていくためのものなのですから、万が一にも倒れるようなことは許されません。おまけにたくさんの子どもが一度に群がることも、充分想定されるものです。どこをどの程度テンションを掛けて、どのような構造にしたらよいのか。
商品として打ち出すためには、その都度設計をして、安全かどうか検証することは間違いなく困難です。その点では構造的にも自由自在に設計できるふわふわドームとは事情が違う遊具といえます。
構造からしておおまかな形は決まり、大きさも用意されたものからたとえちょっとでも調整すること、ましてや形を変えるなど、難しいのだと考えられます。特注品というものは、いずれにせよ割高になります。
桁違いに高いものになりかねない事情ある、ザイルクライミングを特注する意味は、あまりなさそうです。少しばかり大きさが違っても楽しさが変わるともいえず、カタログにあるラインナップでバリエーションは充分だからです。
これが最大級 高さ11 mのザイルクライミング3 つがの里ファミリーパーク
所在地は栃木県栃木市になったつがの里ファミリーパークは、都賀町だったころからある公園。小さな町にあったコンパクトな公園で、これまでもいろいろな経緯を経てきた流れの中で、間違いないのは遊具では、あまり難易度に妥協がないこと。
挑戦しがいのある遊具が並ぶなかで、当然のようにザイルクライミングは大きなもの。これもまた11 mのものです。大きな広場の中央で、他の遊具に囲まれて立ち上がる姿は、どこからどうみても主役を張っています。
11 mという高さを超えてザイルクライミングを作るとして、開発に当たってやらねばならないことは多いとしても、不可能なことではないでしょう。公園にあるものは実は法律でいろいろな制限があります。だとしても、大きくすることで問題もありません。
その上で11 mのザイルクライミングをよくみると、これはすでに最大のもので、これ以上高くすることは難しそうだと思い当たることが見つかります。ザイルの編み込み方は、どうでもいい訳ではありません。
少なくとも構造的な面で、安全に自立して危険がないことが、間違いなく確認されなければならず、しっかり検証した結果が今の形です。ザイルクライミングは、地面に固定されるところから3本のザイルが基礎として張られています。
上っていくときに使うのもそのロープ。2本は最も底部となり、1本は柱に向かって伸びています。この上下の間隔は大きなザイルクライミングほど、幅ができてしまい、上っていくにつれてどんどん広くなっていきます。
編み込まれてジャングルジムのようになっている部分までは、上のザイルに手をかけて上っていくことになります。あまりに大きなものになると、手が届かない可能性が出てきます。11 mのザイルクライミングは、その点でそろそろ限界に達しているようにみえます。
4連のザイルクライミングは遊具を繋ぐ道に!
矢橋帰帆島公園の4連のものと同じザイルクライミングは、あとふたつ関東でみつけてあります。同じように大きく、他と連結されるほうが神奈川県大和市にある、大和ゆとりの森にあるものです。
ここでは4連のザイルクライミングは、両端を大型のコンビネーション遊具とザイルの橋で連結しています。遊具と遊具を渡る架け橋としても機能していて、敢えて地上を通らず挑戦するのは、なかなかの難易度になる試みです。
ふたつの4連のザイルクライミングに共通する特徴として、中央の円になるザイルに4柱からの1点が接続されていることを挙げました。2連のものも含めてみても、こうした連結タイプについては、あまり高さを求めていないのが実情です。
ちなみにこれまでの知見では、3連のものは見たことがありません。そもそもメーカーカタログでは、連結タイプは掲載がなく、そのものが特注であることが伺えます。そして特注といっても、どんなものでも自由に設計できるといったものではなさそうです。
繋がっているだけに、渡りのほうが主な目的、高く上り詰めるのはやはりピラミッド型のザイルクライミング。構造的にも安定しているほうのものが適していることになるのでしょう。
もうひとつ関東でみつけた4連のザイルクライミングは、ぐんまこどもの国にあるものです。真ん中で円形に繋がり、あまり高さもないもの。特徴としては、ここまで観察したそのものです。
このダイナミック広場にも、溢れるほど遊具があります。ザイルクライミングは他のどれにも繋がっておらず、そうした中のひとつになっていて、あまり目立たないほうです。もっともここでは、隣接する冒険のとりでが最大級の複合遊具。それも致し方なしです。
まとめ:11 mなら最大といえるザイルクライミング
11 mのものが発見できたならば、それは最大とおもってよいのがザイルクライミング。これからもそれは、変わることはなさそうというのが結論です。
他にも大きめのザイルクライミング、これはどう? というものを挙げておきます。