小学校と隣り合わせで、大型コンビネーション遊具がある敷地は丘の上。そこから見下ろす場所は鮫洲駅前になります。子どもと遊びに出かけて「ここはいいな」と思えた場所をご紹介しています。
レースをモチーフにしているらしき、大型コンビネーション遊具の遊び甲斐は掛け値なし。ターザンロープもあれば、ブランコ、鉄棒と公園のベーシックな遊具も揃います。さらにスプリング遊具や、ゆるゆるなスロープの遊びとなる遊具などあります。
公園名が大井公園とあるように、この辺りは大井町のエリア。山手線で囲われたところのちょっと外側で、23区内でもいわゆる都心と呼びたくなるようなところのすぐ外側。東京でも人が実際暮らす姿が、主なものになってくる地域といえます。
JRの大井町駅周辺は商業地域としても、まごうことなき集積地。そこから鮫洲駅のある、私鉄の京急線のほうに向かう途中に公園はあります。また別の表現として、ここは仙台坂のエリアだ! という考えにも当てはまります。
麻布のほうでない、東京でもうひとつになる仙台坂は、ほんとうはいまくらやみ坂と呼ばれるようになったほうがもともとのもので、青物横丁駅のほうに下りていく坂のほうではなかったのです。いずれにせよ、両方の坂を上り切ったところが仙台坂上です。
この仙台というのは、麻布も大井のほうも、伊達氏の仙台藩に由来します。跡地の一部である大井公園にある案内板によれば、伊達藩の下屋敷は麻布から大井に移ったとのこと。またそののち、越前鯖江藩間部氏と、屋敷地の一部を交換した経緯があるといいます。
鯖江藩下屋敷跡は、下総山(間部氏は下総守)と呼ばれ、隣接していたのが土佐藩の下屋敷の縁か、山内容堂(豊信)のお墓はここにあります。大政奉還は、容堂の提案だったという話があります。山内容堂が亡くなったのは1872(明治5)年のことです。
大政奉還直後の鳥羽伏見の戦いで徳川慶喜が、なぜ戦いを放棄して江戸に戻ったのか、具体的に慶喜が語ることもなく、判断材料に乏しいものの、ひとつの事実として土佐藩主だった、山内容堂が絡むエピソードがあります。
山内容堂はすぐに辞めたとはいえ、一旦は明治政府の要職についています。また安政の大獄では、慶喜の父である水戸藩主徳川斉昭とともに、隠居することになっています。鮫洲の土佐藩下屋敷は、この時から過ごした場所です。
そんな関係もあってか版籍奉還に際して、薩長の徳川に対する要求に異を唱えた山内容堂もやはり、兵を挙げることはしなかったのです。大政奉還に貢献したものの、その後の影響力は落ちていったにせよ、慶喜や容堂の決断は江戸の無血開城に繋がっています。
大井公園は公道を挟んで、丘の下になる部分もあります。そこはまさしく、鮫洲駅から国道を渡る横断歩道で向かった目の前。遊具が充実している場所は、丘を覆う森に隠れていて分かりにくいのに対して、こちら側からの入口は、まさに否定しようがない駅前です。
江戸の街のなかで、有力な武家の屋敷が配置されるくらいには、要地であったこの場所。大井町の繁栄も享受できる閑静な住宅街にあり、基本的には周囲の住民のための公園です。そのため、遠来で自動車で訪れるような利用には対応していません。
そうであっても、そんな事情には釣り合っていないかのような遊具の充実ぶりには、遊んでみたいと思わせる充分な魅力があります。そして、ここは駅のど真ん前。遠くから訪れたとしても、とても便利な立地といえます。
知らなければ、駅前とは思えない森になっている丘の上に潜む、隠れ家のような公園。駅に対面して別の敷地があるため、ただそれだけ? と勘違いしかねない面もあります。そうしてもし、遠くから訪れたならばどうせなら! と梯子できる場所もあります。
大井公園の特集はそれのみならず、ついでの要素を加えてみて頂くのがよいです。そのため鮫洲駅前東側編も用意することにします。そうであれば特に品川シーサイドも利用したくなってきます。
まずは鮫洲駅前西側編として、いつものように独自に撮影した写真を満載して、人気の遊び場へのお出かけに役立つようガイドします。そして大井公園で遊ぶ時には、鮫洲運動公園も大いに視野に入れるといいです。ぜひ併せてご参照になって下さい。
子どもが大型遊具で遊べる大井公園をしっかり解説!
土の広場と砂場、簡単な遊具が駅から直結する形で存在する大井公園。通りすがるだけではひょっとすると、丘の上には気づかない可能性があります。小学校を知っていたり、住宅街のほうからなら、もっとすごいパフォーマンスがあることは分かっているはずです。
大型コンビネーション遊具に存在感、ターザンロープもある丘の上
なんといっても圧倒的な存在感で、主役であることを主張するのが、大きなコンビネーション遊具。サーキットという看板が掲げられているほか、チェッカーフラッグを意識した屋根も聳えています。
確かに、さまざまな仕掛けを駆け抜けて、回遊することになるようになっています。年齢によっては難しいかもしれない部分が含まれるとはいえ、ぐるぐる回り続けることも可能な造り。難しい部分についても、もちろん問題にならないよう配慮されています。
このコンビネーション遊具はおおまかに、2つの周回コースが組み合わされたような構造になっています。その周回コースは、どちらもあまりレース場の雰囲気は反映されているとはいえず、むしろ複雑な回路のイメージ。
大きな周回路のほうの脱出路といえる、1回転と少し旋回するスパイラルすべり台からのゴールには、黄色い旗のポールが描かれたクッションが敷かれています。下の部分ともいえる小さなほうの周回路は、表示はなくともより自動車のイメージです。
ハンドル付きのパネルに向かい、短い階段を使って上ったあと、2連のすべり台を使うのがひとつのセクション。パネル遊具がはめ込まれている通り、ごく幼児向けの、それでも小さくてもちょっとした遊びが加わる部分になります。
そこに敷いてあるソフトなクッションに描いてあるのは自動車です。そして下の周回路は、階段を使わず挑む方法を選んでもいいです。
緩やかなカーブで、ほぼ90度曲がった先に通じている、チューブトンネルをくぐり抜けて行きます。光の透過性は高い、安心感あるチューブを進みます。
やや間隔も広く、しかも曲がっている隙間の大きなステップを渡ります。行先はハンドルのパネルがあるところ。
ステップを渡る前には、足場があってやはりパネル遊具が組み込まれています。木が描かれていて、葉にあたる部分にいくつか穴が開いています。
ぐるりと周回するためには、地面のクッション部分を利用します。ルートとしては2連すべり台ではなく、階段とチューブの入口が連絡されています。もちろん、これに従わなくともなんの問題もありません。
さて、それでは大きな周回路のほうはどうなっているのでしょうか? ちょうど下段のチューブトンネルの上に、クライミングウォールを使って進む辺りが難易度が高そう。トンネル入口手前側面のボードは、表裏どちらから見てもスリットが入っているだけ。
むしろこの面は使わず、ウォールのほうから上ってもらうように取り付けられた障害としての役割のほうが大きそうです。ウォールについては、曲線を描いているものの、手掛かりになるホールドは、把手のような形をしています。
やはりこちらのほうがしっかり握れそうです。また壁を抜けて、双方向から行き来できる穴が、中央部分に空いています。難易度高めにウォールが周回路に設定されているこの部分、あとは壁というよりも横渡りのザイルです。
これは2重の壁になっていて足場で連絡されているものです。外側、内側どちらでもよいので、渡り切ったところで高い位置に進むと、大きなほうの周回も完了するようになっています。
クライミング、ザイルどちらのウォールを伝っても冒険を始めらますが、他にはどんな手段があるのかといえば、この大型コンビネーション遊具の一端になる、カラフルなすべり台のための台の部分が起点といえそうです。
カラフルすべり台のところには、地面からほんの少しステップするだけの台場とを結ぶネットの橋が続いています。実のところ上の位置の周回路へ向かう一番簡単なルートは、このねじ曲がったネットになるといえそうです。
もっといえばウォールセクションの端の台場と、ねじれたネットのところの台場は、一本棒の雲梯のようなもので接続されています。大きな周回路はただ上に重なっているだけでなく、こちら側の下にも続いていて2重構造だともいえるでしょう。
なんにせよ、起点のような渡り部分がいずれにせよ到達する部分からは、足場付きのスロープで上に向かえます。
対面する透明の覗き窓が面白い上ったところの回廊では、ほぼ一周の空中散歩を楽しめます。ほぼというのは、回廊の空中散歩を楽しむのでない方向は繋がっていないからです。
ただし行けないのではなく、ザイルのクライミングウォールに繋がっています。つまり伝わっていけばカラフルなすべり台のところに戻ることになります。
この接続部のようにこの遊具、場合によってはかなりな挑戦になるのです。
空中散歩のほうもぐるりと進んだ最後は、クライミングウォールに渡らなければ先にはいけません。低いステップを経てスパイラルスライダーで下りてしまうのが簡単な道になります。
ただし空中回廊でクライマックスになるのは、スライダーの先のグラグラ揺れる部分です。
安全にスリルを味わって、あとは鉄橋の回廊だけです。最後までいってクライミングウォールに渡るのが無理と思うならば、戻ればいいだけです。
太陽の運行する側ではないほうに組み込まれたミラーは、回廊の外側にはめ込まれています。特に何の意味もないのかもしれないとはいえ、なんだか面白い趣向です。いちおうミラーは両面になっていて、内側からは覗き込んで写った姿が見られるものです。
いわゆるH型のよくある雲梯も、とくに意味もなく(どこかをつなぐのではなく)渡されています。余すことなく、いろいろな趣向が組み込まれたコンビネーション遊具。遊びの密度は、かなりなものです。
広大な敷地を誇る訳ではない大井公園。それでもターザンロープだって、しっかり置かれています。
ブランコも2座が1組で、高さを少し変えて2セット。
ふたりで遊べるスプリング遊具と、幼児がちょっと戯れてみるのにはよさそうな、小さなスロープの遊具などもあります。
いわゆる鉄棒は、低めのものが3つの高さで置かれています。
ターザンロープの奥には、柵で囲われた自由に利用できるスペースもあります。
隣接する立会小学校の校庭には、門で通じています。
パーゴラの休憩スペース、砂場のようにみえる場所はあまり機能していない様子。いかにもな砂場は、他にあります。
公園内には古墳と明記されたものも残されています。特に由緒は知れず、しっかりと調査されたものでもないです。ここからは埋立て以前は、海が見渡せたはずです。こうして武蔵野台地の海側の端といえる辺りには、貝塚や古墳が多数みられます。
駅のど真ん前にも公園の敷地
丘を下る一般道でしっかり隔てられているため、まるで別物のようにもみえます。遊具はわずかばかりとはいえ、広場で思い切り遊ぼうと思えば、丘の下のほうも利用できます。
丘の上のものよりも、かなり広い砂地の広場は自由に利用できる場所。さらに隣接する形で木陰の広場があり、そこにはコンクリート製の小さな幼児向けの滑り台があります。
象をモチーフにしたかわいらしいものは砂場に並んでたたずんでいます。こちらは間違いなく、いわゆる砂場です。
いわゆる鉄棒もやはり3つの高さで並んでいます。さらに動物モチーフのスプリング遊具も置いてあります。鉄棒をなぜいわゆると表現するのかは公園総まとめの記事をご参照ください。
品川シーサイドまで視野に入る地理
車ではちょっと利用しずらい大井公園。駅前という点では逆にとても便利。その場合、鮫洲駅に来たならば、もうひとつ駅の反対側にも注目の公園があります。関連記事の鮫洲駅前東側編もご参照ください。
そちらの方向に足を運んだら、品川シーサイドもすぐです。都心に近いものとしては、指折り級のイオン含む、ショッピングセンターがあります。
大井公園を訪れるには(アクセスについて)
住所:東京都品川区東大井4-8-4
連絡先:特にありません 03-3777-1111(品川区役所代表番号)
鮫洲駅の目の前、丘の下のほうの敷地は東大井4-3-18になっています。
【公共交通機関を利用する場合】
最寄駅:京浜急行本線鮫洲すぐ
駅直結の歩道橋で国道15号線を渡って地上に下りると、目の前が公園入口です。東京23区の市街地のため、バスは複数路線近くを走っています。けれども、駅よりも近いバス停留所はありません。
【自動車を利用する場合】
駐車場:ありません
三井のリパーク東大井4丁目駐車場が、国道沿いで鮫洲駅前にあります。ただし、3台のみの小さなものです。周囲でいえば、暗闇坂の下、南品川三丁目交差点すぐの三井のリパーク南品川3丁目ならば15台のスペースがあります。
駅の東側、鮫洲運動公園と一緒に利用するならば、隣接する道路にはパーキングメーターが設置されています。同様に鮫洲運動公園のやや南側にある鮫洲入江広場のところ、道路の対面にタイムズ鮫洲入江広場があり、比較的大きなものになります。
まとめ:地元でなければなかなかみつからない隠れ家公園
設置されている主旨は、あくまで近隣住民のための公園。けれども駅前にあるため、公共交通機関を利用すれば、さほど迷惑をかけることなく、どこからでも利用できます。本来の主旨からすれば、図抜けたレベルで楽しめる大型コンビネーション遊具があります。
規模的にもっといろいろと思うならば、周囲を梯子することで、そんな要求にも応えられる環境になっています。その場合はどうせならば、品川シーサイドの利用も視野に入れるとよさそうです。
公式サイト:とくにありません。