遊具については規模はそこそこ、種類はしっかり揃っている公園になります。こんななんて事のない特徴が、よく見ていくと加速していくことになります。そんな点にしっかり注目したいのが、甲府市の甲斐風土記の丘、山梨県曽根丘陵公園の遊具広場です。
子どもと遊びに出かけて「ここはいいな」と思える場所をご紹介しています。甲府南インターチェンジの目の前にある公園で、アクセスの面でもお出かけのターゲットにしやすいです。
古墳や博物館など文化的なものが溢れる園内。こういったものまで観賞するならば、1日まるごと使えるという面もあります。またバーベキュー場で食事を計画するのも楽しそう。ただ、遊具広場そのものは一見、あくまでそこそこまとまった程度という印象になるかもしれません。
飛び抜けた大きさではないとはいえ、ローラー滑り台、ザイルクライミング、ターザンロープにコンビネーション遊具がふたつ、コンパクトにまとまって設置されています。駐車場からもすぐそこ。だから手軽に出かけて、遊びやすく、満足度は高いというバランスのよさがあります。
ただしこの遊具広場、よくみていくとある観点から、とても充実していることが分かってきます。ばっと見だけでは分らない哲学が、公園を貫いています。その視点では最適に楽しめる公園です。
ひとつひとつじっくり見て行けば、それが分かってきます。いつものように独自に撮影した写真を満載して、お出かけの役に立つようご紹介してみます。果たして、そんなふうに謎が解けていくのか? しばしお付き合いください。
子どもが大型遊具で遊べる山梨県曽根丘陵公園をしっかり解説!
甲府盆地の南側、曽根丘陵の上に大型遊具が並んでいます。尾根には駐車場と芝生広場があり、上の平方形周溝墓群も芝生広場の隣です。その周囲の斜面が利用されているのが曽根丘陵公園の遊具広場になります。
曽根丘陵公園は、当地にある甲斐銚子塚古墳や丸山塚古墳、上の平方形周溝墓群などの文化財を展示する、山梨県立考古博物館がある甲斐風土記の丘でもあります。ということで、どちらかといえば遊具で遊ぶこともできる公園。
そのため、遊び場は公園のあちこちに点在はしておらず、ひとところにまとまっています。ただし、考古学の探求に訪れた大人についてきた、子どもが退屈しないようになどといった、間に合わせというレベルのものではないです。
丘の上の遊具広場には、いろいろな大型遊具がコンパクトに勢ぞろい
このくらいの広さの遊具広場に、これだけの種類があれば密度は充分高いです。なかでも特にコンビネーション遊具についてが、とてもよく考えているなと感じられます。
それが大迫力とか、目を見張る規模だとか、そういった類のことでないため、実際遊んでみないと実感しずらそうです。
眺望を生かしたローラー滑り台、高さのあるスタート台も意外に控えめな滑り
そもそもローラー滑り台とは、傾斜が緩くても滑れる穏健なところが特徴の滑り台です。
だから、特にスタート台が高くなくても構わないのです。それでも曽根丘陵公園のものは高く上るほうです。
わざわざ高くしているのは、滑りに勢いをつけるというよりもこの斜面の眺望を生かしたいという意図のほうを感じます。
というのもスタート台を高くした割には、それほど長さはありません。あまり退屈でない程度に長くはありますが、いかにもほどほどといった感じ。もっとも何度も手軽に滑れるという点で、こういう作りになることはよくあることです。
大きくもなく小さくもなくのザイルクライミング
ほどほどの規格となっていることが目立つ曽根丘陵公園の遊具の中では、ちょっと背伸びした感じの大きさなのが、ザイルクライミング。
けれども、巨大というほどの大きさではないです。それであっても底の部分のザイルの目が細かく念入りに安全対策が取られています。
自然の傾斜を利用したターザンロープ
斜面の傾斜の緩やかな場所に設置してあります。いたって普通のシングルレーンのターザンロープ。傾斜はすでについているのでスタート台はありません。やはりこれもとても穏健なタイプ。
ターザンロープは何も勢いよく滑空するだけが遊び方ではないです。掴っているところを押してもらったり、引っ張ってもらったりだけでもいいのです。いずれにせよ、どんなターザンロープにも急傾斜はつけません。終点の反動が問題になるからです。
高さはあまり意識しない回廊型大型コンビネーション遊具
木のオブジェや屋根は、高いところにあります。それはあくまで装飾で、上るところではないです。ひたすら低めの地上高で展開する徹底した回廊型。しかも、長く連なる廊下型に近いものです。
芝生広場のほうから下りてきたところながら、遊具広場のレイアウト的には、こちらが奥のほうといっていいでしょう。一方の端のほうに幅広の滑り台、一番豪快なパートがこれです。
台の上は広いスペース。上り方はよくある様式の階段と梯子、さらにはクライミングウォールまで選択肢が用意されています。
例えこの程度でも、例外的に難易度が高く設定されています。ただしここだけで、遊びは完結しています。
なだらかなスロープが続く、遊具への入口はまったく高さはありません。滑り台の裏にはパネル遊具。
このルート、こちらが出口の可能性もあります。方向は決まっていません。ただ、滑り台まではなだらかなスロープが続き、ちょっとだけ遊具の間隔が空いています。やはりまるで例外部分のようにです。途中にはやっぱりパネル遊具。
スロープがあったため、ここまでくればほんの少々高さがあるとはいえ、赤い2連の滑り台はほんとうに緩やかです。
さらにトンネルをくぐりながら上って行きます。奥にはまたパネル遊具が見えます。トンネルと並行している部分、チューブスライダーがあるところの高さまで上ります。
このたくさんの種類も豊富なパネルの並ぶ界隈が、いわば遊具のセンターゾーン。
こうしてみれば、遊具広場の大きなほうのコンビネーション遊具は、パネルを並べているために長いことが分かります。まさにパネル三昧の遊具。
そして随所に、おのおのそれだけでも完結する、短い滑り台も連なっています。パネルと滑り立ちが連なる、この組合せが特徴となる遊具になっています。
幅広いものがやっと普通サイズくらい、残りはどれも短い滑り台ながら3種類、2連、旋回、チューブスライダーです。
人型にもみえる、壁の切り抜き部分を通り抜ける辺りは、ありきたりの通路といってはいけなそう。遊具らしいファンタジー、幼い子どもは特に感じそうです。
木のオブジェも考えてみれば、同じことにも思えます。
こちらがわの端は、ブランコが並べられています。ひとつは明確に幼児向けの、足を通す安全タイプです。
幼児向けパネルが楽しい小さいほうのコンビネーション遊具
もうひとつある、小さなほうのコンビネーション遊具は、とても単純。
こちらも高さはないです。こちらがより幼児向けなので当然といえば当然。
ただしこの遊具には、短いながらちょっとした挑戦も仕組まれています。幅のあるラダーはいかにも変わった形。
こちらにもパネル遊具が並びます。
なかなか複雑な仕掛けの歯車を回す遊具もありました。
構造的には真ん中の屋根のあるところへ移動。
そこにもパネル遊具と短い滑り台。
突き当たって曲がっておしまいです。
突き当たったところには、数を数える練習にも使えそうな、やはりパネル遊具がはめ込まれています。もちろん動かすだけも充分、幼児向けにはです。
むしろもっと面白いのは、小さなほうのコンビネーション遊具の周囲にあるもの。
くるりと回すとヒヨコが卵に、卵がヒヨコに変ります。
桜の花が描かれた謎の形の柱型も興味をそそられます。
覗いてみると鏡の世界で万華鏡的な世界。
音を反響させるやまびこ遊具。
地中のパイプを通して離れたところでお話。
回転させると起こる非日常を楽しむ遊具なども! どれもそんなに刺激的じゃない? いえいえ、それは知恵のついた人の感覚。
そうです、曽根丘陵公園の遊具広場は、幼児向けの遊具がことさらに充実しています。そこに特化しているともいえます。大きなほうのコンビネーション遊具でさえ、徹底しているのが珍しい対応です。
芝生広場や風土記の丘研修センター、方形周溝墓群も丘の上
遊具広場の他には何がある公園になるのでしょうか。遊具のある周囲は丘の尾根筋です。尾根筋には、石器時代~弥生時代の痕跡も多々残ります。
利用時には事前に予約!バーベキュー場
丘の上の駐車場の隣には、バーベキュー場があります。予約(055-266-5854)は公園管理事務所、1ヵ月前から受け付けてくれます。施設利用のみで食材の販売、用具のレンタルはありません。
利用料:無料
利用時間:10時~15時
利用期間:4月1日~10月31日
定休日:月曜日(祝日の場合翌日)
橋梁の頂上部分に広がる芝生広場
やや細長い敷地の芝生広場は尾根筋だからです。ということはつまり、ここが一番丘陵の高い辺りです。ここは自由に遊べる場所です。
上の平遺跡もなんだか楽しげ!
芝生広場の奥、丘の上の公園の入口になる部分に上の平方形周溝墓群があります。なんだか独特の世界観があるスポット。案内には迷路と表示されています。遺跡でありながらある意味、遊び場にもなっています。上から見下ろす展望台もあります。
風土記の丘研修センター
考古博物館の付属施設でイベント展示の他、古代の火おこし(無料)、古代のアクセサリーの勾玉作り(材料費のみ)などの体験を開催しています。
休館日:月曜日(祝日の場合翌日)、年末年始(12月29日~1月3日)
開館時間:8時30分~17時
問合せ先:055-266-5286(風土記の丘研修センター)
立派な野外ステージとテニスコートもあり
遊具広場の奥のほうは、野外ステージとテニスコートになっています。
無料のテニスコートは風土記の丘研修センターで管理
テニスコートの利用は無料です。受付は風土記の丘研修センターまで。そのため研修センタ―が閉まっていると利用できません。
イベントが行われる野外ステージ、普段使いも用途あり
イベントなどで利用される野外ステージ。普段は屋根付きのスペースとして使えそうです。イベントで利用したい場合は、公園管理事務所まで。
山梨県立考古博物館と周囲は遺跡公園の趣できれいに整備
近畿地方や岡山県を除くと、5番目に大きな墳墓となる前方後円墳の甲斐銚子塚古墳は、中部地方では最大のもの。すぐ隣にこれまた大きな円墳となる丸山塚古墳もあります。かつて川筋は、どこまで迫っていたのだろうと思わせる、笛吹川を横目に見る平坦地に考古博物館と公園の入口が並んでいます。
さらに小さな古墳や塚も並ぶ考古博物館の周囲は、まさしく遺跡公園。ナウマンゾウと思しき大きな像はあるにせよ、遊具などは丘の下にはありません。ただ気持ちよく散策できる遺跡と広場もまた、曽根丘陵公園の一面でもあります。
こうした墳墓からの出土品に加えて、甲府城からのものや、昭和初期まで盛んだった富士川の水運の最大の拠点、鰍沢(かじかざわ)河岸跡の出土品など、地域の考古資料が展示されているのが考古博物館です。
常設展示観覧料:210円(高校生以下、65歳以上は無料)
特別展示がある場合は、別料金となることがあります。
曽根丘陵は甲府盆地の南斜面、フルーツ園が密集する北東部には自治体も山梨市、甲州市、笛吹市など、いろいろ合併があった今でもそれぞれが独立しています。その辺りにはそのものの果実をテーマにした公園もあります。
関連記事:子どもと無料で楽しむ笛吹川フルーツ公園
対して甲府盆地の南端でもある、笛吹川下流域の曽根丘陵の辺りには、曽根断層帯が走ります。西端を北から流れる釜無川は、静岡糸魚川構造線に沿った流れ、このふたつのはざまから河川は合流し、富士川となって太平洋に向かいます。
甲府の街を避けるように、中央自動車道は曽根丘陵足元の平地のほうを大きく迂回して、盆地を抜けて行きます。この付近の低湿地帯はかつて日本住血吸虫が猛威を振るった場所でもあります。
この寄生虫が医師の努力と住民の献身で発見されるまで、この病気の原因は謎だったのです。山梨県が撲滅宣言をできたのは1996(平成8)年のことです(最後の患者は1978年)。血管の中に寄生する日本住血吸虫は、淡水貝のミヤイリガイを宿主とし、皮膚から体に進入していました。水田での作業が致命傷だったのです。
地学的にも、いくつものプレートがせめぎ合う甲府盆地でも、もっともダイナミズムに溢れる場所。扇状地が果実で埋め尽くされる、北東部とは景色が違うとはいえ、それでもここには、古代から確かな人の生活の足跡が刻まれています。
曽根丘陵公園を訪れるには(アクセスについて)
住所:山梨県甲府市下向山町1271
連絡先:055-266-5854(曽根丘陵公園管理事務所)
公式サイトからの引用
甲府駅からタクシー30分
中央自動車道 甲府南IC下車 5分
甲府南I.Cを降りた目の前にあるのが、山梨県立考古博物館。遊具のあるのは博物館や古墳の背景となる曽根丘陵の上なので、博物館のあたりから徒歩でも向かえます。遊具広場に直接向かうならば、回り道をして丘の上を目指します。
【自動車を利用する場合】
駐車場:無料
丘の上の風土記の丘研修センターの周囲に第3~第5駐車場があります。これが遊具広場も隣です。
公園そのものは24時間開放されています。第1、第3も常時利用可能ながら、第4駐車場は閉鎖されていることもあります。また、大型車はこちらを利用します。
上の平遺跡のところの入り口付近にある第2駐車場も丘の上。ただし常時開放ではないです。
第1駐車場は甲府南I.C前の考古博物館入口のところです。遊具広場までは丘を上って行きます。園内を車で通り抜けはできません。
【公共交通機関を利用する場合】
最寄り駅:JR身延線東花輪駅(タクシーのみ約15分)
最寄バス停留所:県立考古博物館
(山梨バス甲府駅南口3番乗り場75系統豊富行立考古博物館)
遊具広場へのバス便はありません。バス便は考古博物館行を利用します。
- 甲府駅発
- 8時11分
- 10時31分
- 13時11分(土日運休)
- 県立考古博物館発
- 12時3分
- 14時28分(土日運休)
- 17時23分
まとめ:特徴を理解すれば特筆ものの魅力あり
家族でもカップルでも、アクティブにものんびりとも、また知的好奇心を満たすのにも楽しめそうな曽根丘陵公園。遊具広場だけを見てみれば、発展形の遊具でさえ、すべてに完璧な幼児対応をしているのが特徴です。
発展形の遊具とは? については関連記事をご参照ください。
関連記事:【おすすめ遊具】公園選び写真満載の参考書、どこにある?が一目瞭然
甲府盆地にはあきれるほどに遊具のある御勅使南公園などもあります。御勅使南公園もひとつひとつの規模では巨大というものはあまりないです。幼児向けの場所もあるにせよ、おおまかには遊具の難易度ははるかに上。その点曽根丘陵公園の遊具広場ならば、見事な棲み分けがされています。
互いに意識はしていないでしょう。ただし、これらの公園があることで、子どもの成長に応じて使い分けられます。幼児を連れての気軽なお出かけに最適化されたのが曽根丘陵公園遊具広場です。それがコンパクトにまとまっています。
関連記事:子どもと無料で楽しむ御勅使南公園
公式サイト:山梨県曽根丘陵公園