東京都心付近で本格派のローラーすべり台ならばここ! といえるものがあります。全長は52 mとのこと。度肝を抜かれるほどではなくともこれならば、まごうことなきすごいすべり台といえます。
子どもと遊びに出かけて「ここはいいな」と思える場所をご紹介しています。さらに東京都北区の清水坂公園では、もうひとつ大注目に値する遊びがあります。それは流れ。
それもとてもワイルドなタイプで、イメージは山間の渓流というのが納得できる施設。豪快な出来映えです。ただし夏だけのものにはなります。
季節限定になる水遊びの場だとしても、都立の大公園である舎人公園(足立区)の浮球の池とはまた違ったタイプのもので、それぞれの魅力が際立って、並び立つレベルといってもいいです。
区立の公園で北区にあるものとしては、遊び場として抜きにして語れない存在感はあっても、舎人公園を始めとする大きな公園には、まるで規模ではかないません。それでいて遊びの魅力はかなり大きなもの。
ローラーすべり台が1点豪華で、それに加わるのが夏だけという限定されるものでも、この規模にしてという点では、ありえないくらいに充実した遊び場になっています。そして多目的広場の原っぱだって相当なものです。
環七からは入ってすぐのところ、東十条、赤羽、十条といった最寄のJR駅から近いものの目の前という訳ではなく、自動車で向かえればより便利ながら、駐車場が備わるような公園ではないです。
あくまでそうした位置づけの公園ながら、すごい遊具があり、水遊びを含めた遊び空間としても、憩いの場としてもそれなりに整備されて、よく見ればもう少し深掘り要素もあります。
地域を山手線辺りの東京中心部に拡げても、そうはない魅力がある公園の、目立つところから、そうでもないところまで、いつものように独自に撮影した写真を満載して、人気の遊び場へのお出かけに役立つようガイドします。
子どもが大型遊具で遊べる清水坂公園をしっかり解説!
2020(令和2)年4月にリニューアルしてきれいに再整備された、ローラーすべり台がなんといっても売り物です。他には遊具はブランコや鉄棒など。周囲にも遊具のある遊び場があるため、種類や数では補完されます。そうした情報も併せてご案内します。
都心近くというならば飛び抜けた存在感のローラーすべり台
すでに環七の外側ではあります。東京中心部ではここまできてやっと、本格的といえるローラーすべり台が楽しめることになります。
地の利を存分に生かすように、武蔵野台地の辺縁部の高台から、大きくS字を描くように滑走します。それもあって展望性は、ローラーすべり台の特性を生かす優れたもの。
同じように台地の侵食部を切り抜けていく埼京線を見下ろしています。スタート台の隣に木の大きな搭があるため誤解するかもしれないものの、わざわざ高い位置まで上る必要もありません。
そもそも木の塔のほうは、公園上空を渡してあるロープのためのもの。一般に上るためのものではないのです。
たから登るのは、よくあるすべり台程度で充分。そこからでもたっぷり堪能できる、規模と立地になっています。
もう一度と思った場合でも、長さの割には楽なほう。ショートカットして一気に上る階段を縫うように、旋回しながらの滑空になります。
仕様自体がさほどスムースではなく、傾斜も緩めで展望重視のタイプに思います。専用マットはあったほうがよさそう。園内での販売などがないので、必要ならば事前に用意します。もちろんなくても大丈夫。
他にある遊具は、ブランコ、鉄棒、ラダー、健康遊具
ローラーすべり台を下りたところに並ぶように、ブランコがあります。座板もよくあるタイプの2連で1基。
他に周回路に数種類並ぶ健康遊具に混じって、鉄棒やぶら下がる渡りのラダーがあります。
ローラーすべり台のスタート台付近にある、木製遊具は使用を止めているところです。こちらもリニューアルは検討されているものの、木製でもありまるで違うものと置き換わるのかもしれません。
長めのローラーすべり台の場合にあるとよいのは、上りルートでの楽しみ。先行きはいまだ明らかでないものの、補修や置き換えがあればさらに魅力は増すはずです。
ブランコの近く、ローラーすべり台のスタート地点へ上っていく階段の入口隣に、さりげなく積んである石は、ただの天然素材であっても遊具として機能するもの。渡るルートは多彩で複雑な、とびきりの飛び石。忘れてはいけないものです。
砂場はそこそこ広さがあるもの
公園遊びにはあるといい砂場については、そこそこの大きさで用意されています。ちょうどローラーすべり台が終わる地点の目の前、ブランコの隣になっています。流れの一番下のところにも隣接していていい感じ。ただし囲いはありません。
自由な遊びのスペースとしては、園内の低い位置に少々起伏もある多目的広場の原っぱ。埼京線をくぐるところの入口の脇で、園内の湧水を集めた井戸の裏には、平らな土のスペースが広く取られています。
素朴にして豪快な水遊び場になる流れ
季節限定であっても、ローラーすべり台に加えての目玉なのが流れです。ローラーすべり台と同様に、この地の利を生かして全長150 m、高低差10 mに渡って水を流します。
7ヵ所から毎分5トンの滅菌処理水を流すという流れ。浅いプールのようなじゃぶじゃぶ池とはまるで違う世界観は、まさに清水坂公園ならでは。全国的にみてもそうあるものではないです。
園内には自然ふれあい情報館も
ローラーすべり台の近くにある建物には、トイレなどもあるものの、どちらかといえば建物の裏側にある自然園と関わっていて、北区自然ふれあい情報館となっています。
くつを脱いであがる1階が展示室。ささやかながら自然環境を残してある裏側の自然園で、池や田んぼの生き物や植物を観察する自然園ガイドも行っています。
自然ふれあい情報館
開館時間:9時30分~16時30分
休館日:月曜(祝日の場合翌日)、年末年始
ほんとうの清水坂のほうに八幡山児童遊園あり
実は公園名になっている清水坂というのは、埼京線の線路脇の坂のことではありません。そう呼ばれるのは昨日、今日のことではない清水坂のところには八幡山児童遊園という遊び場があります。
遊具の種類は少ない清水坂公園を補える、いくつかの遊具が固まっていて、すぐ近くにあるため一緒に利用したらよいです。埼京線をくぐり抜けるとすぐそこ。
田端と赤羽を繋ぐ京浜東北線や東北新幹線の線路際、そうした路線が赤羽駅に向かう手前でちょうど挟まれた狭いエリアにある形になっています。
もともとは徳川将軍が、東照宮にお参りするための日光御成道が元になっていた旧岩槻街道の坂で、かつてもっと急峻な崖があり、湧水が豊富なことからこうした呼び名になったと伝わります。
この辺りは武蔵野台地の東北端の一部、清水坂公園はそこが複雑に侵食された部分にあり、売り物のローラーすべり台も流れも、その地形をうまく生かして出来ていることになります。
八幡山児童遊園には、ブランコ、すべり台、鉄棒といったいわゆる「子どもと楽しむ公園」シリーズでいう御三家遊具が卒なく揃います。
加えてなんと解釈したらよいのか、ひょっとしたらアレ? といった感じで、かなり抽象的ではある乗り物系のユニーク遊具もあります。
古典的味わいのあるジャングルジムと動物のオブジェ、砂場? のようなもので標準セットも完成です。
崖地を上ったところには、若宮八幡宮神社があります。武蔵野台地の突端部は山に例えられて、よく名前がつきます。ここの場合は八幡山。
清水坂公園からガードをくぐった八幡山児童遊園手前の坂は、神社や台地側の住宅街へ向かうものです。参拝したいのでなければ、遊具のところにはまた下りることになるので、上らなくていいです。
こうした地形は清水坂公園の高台側になる、ローラーすべり台の北側にもみられます。少しだけ道を入ればもう違う谷筋です。谷向こうにみえる木々は北区立稲付公園のものです。
小さな複合遊具、ブランコ、鉄棒、クライミング遊具、ラダーなどがあります。向かいたいならば崖のほうからでなく、自然ふれあい館の脇から路地を抜けて野間坂に向かいます。
清水坂公園を訪れるには(アクセスについて)
住所:東京都北区十条仲原4-2-1
連絡先:03-3908-9275(北区土木部道路公園課公園河川係)
山手線は池袋駅から田端駅まで大塚、巣鴨、駒込駅を挟んで方向転換して円周しています。その池袋と田端の両方から赤羽に向かう線路があって、大きな三角形を描くような形になっています。
三角の南側が広く、六義園、旧古川庭園、飛鳥山公園といった歴史ある公園が並ぶ場所です。
北側は赤羽で合流する訳ですから、次第に挟まれる場所は少しだけになっています。
赤羽駅とそこに向かうふたつの線路にある東十条、十条駅、どこからもほぼ同じくらい。どこを利用してもさほど変わりません。道路については、公園のすぐ南側を環七が通っています。
【公共交通機関を利用する場合】
最寄駅:京浜東北線東十条北口約750 m(高架橋渡った後の距離)
新幹線をはじめ多くの路線が通り抜けているため、駅を線路が囲むちょっとした異空間になっている東十条駅が一番近そうです。線路を跨ぐ歩道の高架橋を抜けて北口の西側の高台に行けば旧岩槻街道です。
街道を北側に向かえば環七になります。渡って清水坂を下れば八幡山児童遊園のところです。隣をJR埼京線が走っていて、電車からもよく見わたせる公園のため、乗車する機会のある方は存在に気づいていることでしょう。
埼京線十条駅からは約900 mです。アーケードが続く十条銀座を抜けて、あと少し富士見銀座商店街を行けば環七にでます。十条を利用すると楽しいのは、十条銀座を経由できることです。
北側の赤羽駅からでも約1.1 km、南側の十条駅とさほど変わりません。西口から旧岩槻街道を通って清水坂を目指し、やはり八幡山児童遊園のところに至るのが分かりやすいでしょう。
最寄バス停留所:中十条四丁目(都バス、国際興業バス、関東バス)
バス停は環七にあります。西新井駅から赤羽車庫まで結んでいる路線(赤27-2)、王子駅とときわ台、上板橋などを結ぶ路線(王子54/54-2)、王子と高円寺、新宿まで至る路線(王78)、赤羽駅と新桜台、高円寺などを結ぶ路線(赤31)などいろいろです。
【自動車を利用する場合】
駐車場:ありません
民間駐車場もまるでなくはないものの、間違いなく確保できるだけのものがあるかといえば、特にすぐ近くにはあるようには思えません。公共交通機関の便がよいこともあり、車での利用はおすすめできません。
まとめ:地形を生かした豪快な遊びが魅力
この地ならではの遊びが仕組まれていて、特に東京の街中ではなかなか他にない公園になっています。
そもそもが区立公園、遊具などが物足りないと思ったら、近くの公園も一緒に利用してみてください。また高台側の街であっても、周囲の商業地には下町の魅力がたっぷりです。
公式サイト:北区 清水坂公園