園内の築山は、ローラーすべり台のためのものといっていいです。滑り終われば目の前にはターザンロープ。東京都荒川区の日暮里公園は、遊具での遊びを考えるとなかなかのもの。
よくある、どこでも見かけるものとはひと味違う、すごいすべり台の代表例となるローラーすべり台があって、さらに思うがままにスイングして滑空を楽しむ、ターザンロープもあるので満足度は充分。
子どもと遊びに出かけて「ここはいいな」と思える場所をご紹介しています。そんな「子どもと楽しむ公園」シリーズでは、たいていの公園にはある御三家遊具が、もっと発展したものがターゲット。
御三家遊具の発展形と言っているのは、すべり台の発展形としてローラーすべり台など、ブランコからはターザンロープなど、そしてもっとも簡素なラダーとなる鉄棒からのもののことです。
鉄棒の発展形のラダーとしては、例とした他のふたつが規模はともあれ、基本的な遊具としての形式は共通点が多くあるのに対して、変形度合いは大きくなります。雲梯やはんとう棒含めてラダー類はいろいろ。
シーソーだって鉄棒に、長い板が組み合わされたもののようにもみえます。ラダーがどんどん組み合わされていけば、ジャングルジムとしてそれなりに大きなものになったりします。
もっともそうして大型遊具にするならば、シンプルにバーだけを使うよりも、いまでは遊具の究極形として、いろいろな遊びを組上げて、コンビネーション遊具にするほうが主流になっています。
日暮里公園ではちょっとしたラダー類は見当たらず、ジャングルジムや、むしろ素材を変えてザイルクライミングなどがあれば、これもまた発展形として魅力的なものの、残念ながらありません。
発展の系譜としては一足飛びな、コンビネーション遊具ならば存在しても、さほどの規模のものではありません。ただし小さいとはいっても、日暮里公園の規模からすれば致し方ないともいえます。
もっと大きなものを設置するとしたら、公園のほぼ三分の一ほどある広場部分を潰すしか方法はありません。現実に日暮里公園は広さでいえば、そのくらいの規模でしかないのです。
だからこそ日暮里公園に、すごいすべり台とターザンロープがあることは注目すべき点。このレベルで遊具が揃うことは、決して当然のことではありません。この規模にして! と考えれば破格の充実度です。
日暮里・舎人ライナーの発着駅ともなって発展する日暮里駅が、ちょうど台東区と荒川区の境目であるように、いわゆる下町と山の手の地理的な境目がここにもあります。
日暮里駅の背景になる谷中墓地などがある本郷台の台地と反対側、日暮里繊維街と称される生地織物の街に連なるこの地域、かつての荒川本流だった隅田川までが荒川区。
東京市が15区で始まった時代には、谷側の低地で下谷区の隣で含まれなかった境目。そして、東京市の市域が拡大して荒川区となった頃には、東京で一番人の住まう区域だったことがあります。
日暮里というのがどのあたりか、説明するならば鉄道が格好の材料。上野駅を出た常磐線は、いまの国道4号線に沿って、南千住の方に伸びていた方が合理的です。ところがわざわざ、日暮里駅のほうを迂回して走っています。
それで三河島駅が存在しているともいえます。かつて新堀と呼ばれていた日暮里公園のあるエリア。いまではちょうど、常磐線が本来あるべきではないか? と思われる付近と、実際の線路に囲まれています。
日暮里公園の石碑には道灌山・諏訪台からの眺めが、景勝地として「ひぐらしの里」(日暮の里)と呼ばれ始めたという由来が記されています。鉄道は敷設当時は市街地を避けたといいます。
園内の掲示によると1943(昭和18)年に開設されたという日暮里公園。1987(昭和62)年に新装された時には、名勝地を偲ぶ日時計、未来を見つめる彫刻なども思いを込めて用意されたといいます。
都市公園としては街区のための公園でしかない規模、そうであっても由緒ある地に思いを込めて存在しています。だからこそ? なのか充実した遊具など、いつものように独自に撮影した写真を満載して、人気の遊び場へのお出かけに役立つようガイドします。
子どもが大型遊具で遊べる日暮里公園をしっかり解説!
じっくり遊覧できるような規模ではなく、どちらかといえばミニローラーすべり台といった長さ。それでも、こんなローラーすべり台を都心すぐでなかなか体験できません。さらにターザンロープも加わります。そしてここには裏ワザもありです。
ローラーすべり台には充分満足、繰り返して使うならば最適
長くはないといっても、スムースさは充分。楽しめるローラーすべり台です。長さについてそういうのは大きい! と自信を持っていえるような、驚嘆するようなものも世の中にあるからのこと。
そうはいってもこのレベルを圧倒的に上回るものは、随分遠くまで行かなければありません。これなら本格派というものならば、清水坂公園(北区)に展望型で52 mのものがあります。
日暮里公園よりも少しだけ都心から離れると、隅田川沿いでローラーすべり台が見つかるのは荒川区ならでは。ちょっと長いものが宮前公園に。さらに少し下流の天王公園は、ほんの少しだけ短め?
汐入公園を挟んでさらに下流の瑞光橋公園にもミニミニではない、そこそこの長さのものがあります。
例えば滑っている友達と間近ですれ違ったり、なんどでもトライできる規模だったり。こうした大きさだけでないローラーすべり台で注目すべき点はところが、荒川区のミニタイプの中では、日暮里公園のものの特徴になりそうです。
つまりこのローラーすべり台は築山あってこその存在といえ、設置された公園の記から読み取れる思いからすれば、なるほど出発台は、芸術的な庭園造作に組み込まれているように思えます。
スタートから最後まで、地面からほとんど離れることもなく、山を駆け降りる感じ。都会の真っ只中にあって、自然を駆け巡る雰囲気も満点です。見守る保護者もなんども滑る子どもを安心して下で迎えられる設置状況です。
いくら短めとはいえ、毎度スタート地点まで上るのはちょっとと思うならば、好都合なちょうどよさです。
ターザンロープは極めて穏健派で高低差はなし
ローラーすべり台を下りた目の前に置かれているターザンロープは、スタート台までひとつも段数はなく、設置されているのも平面のため、滑空するための最低限の傾斜があるだけのものです。
極めて穏健派のものといえ、スタート台からスウィングを調整する傾斜路もないです。逆にいえば、幼児をぶら下げて押したり、引っ張ったりしてあげてもいいくらい。これもある種の用途には、ほんとうにちょうどいいくらいです。
冒険広場と幼児広場、さらに自由広場
荒川区によると日暮里公園は、5つのエリアに分かれているとのこと。さほど広くはない公園を見渡せば、確かに南側が自由に遊べる土の広場で、自由広場という名前そのままの場所。
ローラーすべり台の楽しみを見事に演出する築山は、ここがひとつのエリアと言われればなんら意義のない存在感。4つあるはずの残りのうち、区のウェブサイトで紹介されているのは、冒険広場。
コンビネーション遊具の周辺を指すとのことながら、特に区切られた様子ではないです。小さなすべり台が目標となりそうなコンビネーション遊具の対面は、クライミングウォールになっています。
一番距離を稼ぐ冒険になるのは、ウォール横の木の板でできた梯子を上るところから。次にまっているのが、今度は木の板を連結したグラグラする橋。
先の台場にはショートカットの階段もかけられて、ハーフな太鼓橋のような部分を上れば、すべり台に至ります。すべり台に直接アプローチできる円形のラダーは長めです。直下にはちょっと謎のステップも!
幼児広場としているのは、ブランコということになります。安全のためにも丸く囲まれて、確かに区切られた場所。ここまで自由広場、冒険広場に築山部分で4つ。
ならばもうひとつのエリアと捉えられているのは、ターザンロープのところになるでしょう。場合によっては、エリアとするのは言い過ぎとも思える一方、それぞれの場所はなかなかの密度。
むしろしっかり囲い込まれて清潔でうれしい砂場は、どこに所属するのかといいたくなります。砂場は「子どもと楽しむ公園」シリーズでは標準セットを構成する大事な要素。
日暮里公園の砂場はやはり大きくはないものの、無視できるようなものではありません。ここもなかなかの濃密度。いずれにせよ、しっかり砂場も確保されています。
ブランコの隣でもあり、機能からしても、敢えて分類するなら幼児広場の一部? さらにブランコの反対側には和風な装いの立派なトイレが建てられています。
すごい形式のローラーすべり台!されどミニなものとは?
付近であるとか、23区、もしくは東京都、さらには関東と範囲をひろげていっても、珍しいものなことは確かなローラーすべり台。
これは! と驚くようなものと比べてしまえば、日暮里公園にあるのは確かにミニといっていい感じではあります。そうはいっても、ローラーすべり台の中にはこれどころではないミニなものもあります。
そういったものを仮に、ミニミニローラーすべり台と呼ぶとして、ちょうど該当するものが日暮里公園のすぐ近く、東日暮里四丁目児童遊園に置いてあります。場所は通り一本向こう側くらい。
カンカン森通りに面する日暮里公園から、南の街区にある第三日暮里小学校を挟んで日暮里中央通りがあります。
1街区西にズレて路地を南に入ったところにある遊び場には、遊具が5基と小さな砂場があります。
鉄棒とスプリング遊具2基の他はすべり台で、ミニミニローラーすべり台ともうひとつは旋回して下りていくすべり台。よくある形のものが、少し長くなってぐるりと回って滑るようにアレンジされた感じです。
このミニミニローラーすべり台は、傾斜はゆるやかでその点はローラーすべり台のメリットを生かしています。いかんせんごく短いためスムースに駆け降りたり、遊覧したりはできません。
ただ、幼児の体験版としてはいいのかな? というくらい。例えば江戸川区の総合レクリエーション公園にある、もはやミニミニでさえないものよりは、体験してみた気にはなれそうです。
ローラーすべり台が珍しいことに変わりはなくとも、こうしたものまで勘定にいれるならば、もう少しだけ体験できる場所は増えることになります。これも日暮里公園の裏ワザとして覚えておくとよいです。
日暮里公園を訪れるには(アクセスについて)
住所:東京都荒川区東日暮里3-11-10
連絡先:03-3802-3111(荒川区役所)内線2757
不自然な形で鉄道が敷設された地域のため、最寄の三河島駅だけでなく、日暮里駅を利用してもよいです。地域柄、三河島駅は本格派になる焼き肉店のスポット。遠くから出かけるならば、一緒にプランするのもよさそうです。
【公共交通機関を利用する場合】
最寄駅:JR常磐線三河島約650 m
最寄バス停留所:都営バス下根岸(都08)
日暮里駅からは1 kmちょっとです。どちらからいっても住宅街の中にあります。分かりやすくはありません。
バスは日暮里駅前から東武浅草駅を抜けて、東京スカイツリー駅などを経由して、錦糸町駅に向かう路線を利用できます。時刻表では3分ほどの乗車時間です。第三日暮里小学校を挟んだ反対側、170 mほどのところです。
【自動車を利用する場合】
駐車場:ありません
駅より近い民間駐車場は多数あります。ただし事情をよく知らなければ、スムースに利用できる(空きがある)かどうか、判断は難しいです。基本的に、自動車で向かう環境ではないです。
まとめ:形になった思いは、規模にしては大きなもの
小さな公園ではあっても、地域を代表していつまで伝えたい思いのある公園です。だから遊具を充実させた訳ではなさそうであっても、特にローラーすべり台は、雰囲気も遊び甲斐もあるになっています。都心部の北側で見つかるいくつかのうちのひとつです。
公式サイト:とくにありません