古いビデオゲームにでも出てきそうな、お城のシルエットをした大型遊具がほぼ真ん中に据えられる広場には、他にもいろいろな遊びが備わっています。子どもと遊びに出かけて「ここはいいな」と思える場所をご紹介しています。
2層になっているお城は、途中からのものと、一番上から直滑降する長いもの、それぞれふたつずつのすべり台が組み込まれています。展望台部分も備えて、クライミング手段はさまざま。
お城の周囲には雰囲気は関連している遊びや、公園の定番遊具も配置されています。古い歴史を誇る東京都北区の飛鳥山公園は、時には遊戯施設が重要な意味を持つ、今の都市公園とは最初のありかたが違います。
日本の公園の始まりのひとつで、さらにそれ以前、江戸幕府の頃に徳川吉宗が整備したうえで庶民にも開放され、花見の名所で代表的な行楽地であった場所でもあります。そういう意味では古くから公園のようなもの。
遊具がなかなか豊富で、流れ施設は季節には迫力の水遊び場。歴史を反映するように近代の財界人が邸宅を構えていたこともあり、その由緒からの文化施設などもあります。よくある大きめの公園ともちょっと違う感じの飛鳥山公園。
それでも大型遊具で遊べる公園としても、充分なみどころがあります。加えて興味深いものもあり、ただ単に遊びにくるだけでもないスポット。駅から降り立つと、王子飛鳥山というテーマパークだと主張もされています。
充実の遊び場の様子と、他になにがあるのか。いつものように独自に撮影した写真を満載して、人気の遊び場へのお出かけに役立つようガイドします。
子どもが大型遊具で遊べる飛鳥山公園をしっかり解説!
遊び場に入って行くところには、門塔でもイメージしたかのような演出が施されていたり、濠がイメージ? なのかと思うような大きな砂場の傍らには、ままごとハウスが城下のごとく並んでいたり、あたかも「遊び王国」とでもいわんばかりの中心地としてお城があります。
遊び場はお城がモチーフ、滑り下りられる白亜のお城が中心
お城も城下も共通した古典テイストでコンクリート製。児童向け広場を埋め尽くすのは、あくまでそんな感じのものを思い起こさせるアイコン。
そうであっても、全体では7mは超えるという、二層に重なった三階部分が一番高くなるお城を模ったものが、主要な遊具になります。
機能としては、このごろの大型コンビネーション遊具のような複雑さはなく、いってしまえば大きなすべり台。十字型に割り振られた四本の滑走面がある形です。うち二本は一番上から下までの直滑降。
残りの二つは途中から、しかもコンクリート製ではなく、よくある形のステンレスの滑走面のすべり台がくっついています。その上の部分は滑走面にグリップが付けられて、滑るのは難しそう。
さらに一段目の外周路のようなところに通じているため、着地点の安全が確保できないです。衝突事故も起こりかねず、最初からこうだったのかは分からないものの、滑らせる訳にはいかないといったところ。
グリップがついてみれば、上るのか下るのかはどちらでもよさそうです。ただ、残りふたつのすべり台は最上階から二段分繋がっています。
こうなってみると最終目的のような最上部に上るのが順当といえるのか。
上の階には展望スペースが突き出ています。搭は装飾でしかないため、確かに眺めが一番いいのはここ。ただ眺望としては遊び場を眺め渡すのみです。
まず飛鳥山公園の児童の遊び場の広場は、お城と同じコンクリート製の遊びが点在している感じがテイスト。ただ展望スペースからは逆側、それでも上層部からはよく分かります。
コンクリートの衝立みたいな、迷路みたいな部分や、点在する生き物のオブジェ、パーゴラが一部かかる砂場には椅子やテーブルときて、ハウスな形が三つ色の違う屋根で並びます。
飛鳥山公園で遊具で遊べるのはこの界隈だけ。それでもそれだけと言って済まない遊び場ではあります。こんなちょっとロマンティックなテイストだけでは終わっていません。
その他遊具が取り巻き種類も充実
飛鳥山公園の遊び場にある遊具の種類は豊富といっていいでしょう。ローラーすべり台でなくても、お城の直滑降はスゴイすべり台といっていいかも。そして機能はふつうでも変わったすべり台も!
なんてことはないステンレス座面のすべり台では、特に意味も機能もなくとも、支えているのは象のオブジェになっています。いや、形はふつうでも長めではあるのか、最後の平坦な部分も余裕もって作られています。
ブランコも普通の座板のものと、幼児用の座椅子タイプのもの、どちらもあります。ただ混在していないのはどちらかといえば珍しい感じ。象のすべり台の近くに二連一基、幼児向けのほう。
四連のふつうのものがもう一基。機関車の隣に位置しています。この普通のブランコのところに雲梯、鉄棒と公園の基本遊具がちゃんと揃っています。
さらに注目したいものがブランコの隣にあります。それも朽ち果てそうではなく、真新しく新調されたかのようにもみえるのがちょっと驚きの遊具なのです。
グローブジャングルジムはグルグル回転させられるのが醍醐味。けれどもそれだからこそ物議を醸すやもしれない遊具です。もう、あまり積極的に置かれないものに思います。
新しく見えるのは更新されたものなのか、補修されたものなのか? ダイナミックな面白さがある遊具。遊びたいときにはここにある! のは貴重な情報のような気も。
象のすべり台の近くのほうには、ちょっと古びた楕円のラダーと正統派のジャングルジムも揃っています。
コンクリート製のお城が鎮座して、材料が一連になるものが多数ならんでいます。そのためそうした遊具が主役にみえてしまっても、実際には遊具の種類は充実しています。
児童対象のエリアに加えて幼児向けのところも!
お城を中心とした場所は主に児童を対象に想定されるエリアです。対して隣接して幼児を主に意識したエリアもあります。お城からみて象のすべり台の奥のほう。
カフェを新設しようと工事中の手前にちょっとしたコンビネーション遊具があるところです。両端が小さな樹脂のすべり台になっていて、全体のイメージは列車の様子。
多彩なパネル遊具が連なるところは、まさしく幼児向けになっています。ちょうど木陰になるあたりなのも、対象年齢からすればありがたいところかも。
ちょっとしたネットの冒険も加わるコンビネーション遊具が、幼児向けのコーナーとして用意されています。
他にはこじんまりとした砂場もあり、大きなほうと違いネットが掛けられています。砂いじりをして遊ぶためのほうは、こちらだと考えているのかもしれません。
古典的遊具と並んで実際乗り込める列車が二台
さらにお城の周囲に列車が二台展示されています。どちらも飾ってあるのではなく実際に乗り込めるようなっています。
ひとつはいま、東京さくらトラムといっている都電荒川線で使われていた都電6080。中に入ると運転席やベンチのような座席が観察できます。
今とはまるで違う座席を使ってみて、どんな具合か実感してもいいです。都電車両は閉鎖される時間があります。
閉鎖時間:16時30分~翌9時
もうひとつは機関室に乗り込める蒸気機関車、D51 853。もちろんかつては現役で走っていたものです。
機関車の前にはなぜか、コンクリート製の船の形をした遊具があります。都電と蒸気機関車の間にも、奇妙な形のコンクリート製遊具があります。
船の遊具は偶然だったのか、本当にどうかは分からないものの、かなりの人気な状態。船室部分に入り込めて、船尾のほうは排気管のようなものがある上れる台座があります。
船のほうは何を模しているのかは一目瞭然。一方、電車と機関車の間にあるほうはなんであるのかは不明な感じ。これはオブジェといった風情が漂っています。
それでも機能は上って渡る本体がカラフルなほうと、突起がカラフルな上っててっぺんを制覇するらしきもので、はっきりはしています。
まるっきりの抽象的なオブジェ系遊具でもないところは、やはり古典的というしかありません。コンクリートでこういうものを作るのは今後は流行らないでしょう。
江戸時代からあった訳ではないことは間違いなく、公園に登場したころは斬新だっただろう遊具。お城の周囲の他のコンクリート製のものと合せて、この遊び場の特徴だといえば、そのとおりの存在感です。
水遊びのための流れ施設の運転期間は?
さくらトラムの飛鳥山駅から、明治通りがT字に公園にぶつかり左に曲がっていく交差点を渡ったところの公園入口は、流れ施設がある広場に通じています。
広場の北側に能舞台をイメージした飛鳥舞台。実際にステージとして使える飛鳥舞台の反対側。
噴水を挟んで南側の崖のような斜面際に、なかなかの大きさの水遊び場があります。イメージは岩場といった感じ。
上からも見渡せるところが、噴水際合わせて割合に長い間使われることになる流れ施設です。概ね5月~9月。特に7、8月は毎日稼働するのが通例です。
第一、三金曜日は定期清掃に当てられて、荒天時は運転停止というのが大抵の場合になります。
水遊び場の辺りから階段を上ったところが、お城の遊具がある遊び場になっています。
飛鳥山公園の文化施設
日本の公園の始まりで、都市公園法以前からの存在である飛鳥山公園は、占領後の日本で整備の始まった、都市公園のイメージには留まらない施設も並んでいます。
今の飛鳥山公園の南側は渋沢栄一の邸宅だった場所
多数あった渋沢家の建物のうち、空襲で失われなかった一部を保存して公開しています。またそうした由来から渋沢資料館も設けられています。ほか二つの博物館が運営されています。
北区飛鳥山博物館
北区の郷土風土を展示する博物館で、北区の歴史・自然・文化等に関する常設展示は有料です。有料観覧しない場合でも、館内に立ち入ることはでき、カフェもあります。休憩にはもってこい。
開館時間:10時~17時
入館料:一般300円、小中高100円、高齢者(65歳以上)150円
休館日:月曜・年末年始等
関連リンク:北区飛鳥山博物館
紙の博物館
王子は日本の洋紙製造の発祥の地で、現在の王子製紙(王子ホールディングス)の名前の由来であり、創業にはやはり渋沢栄一が関わっています。紙専門の博物館としては世界有数とのこと。
開館時間:10時~17時
入館料:一般400円、小中高200円
休館日:月曜・年末年始等
関連リンク:紙の博物館
旧渋沢庭園
国の重要文化財に指定されている渋沢栄一にまつわる、大正時代の近代建築、晩香盧(ばんこうろ)」や青淵文庫(せいえんぶんこ)が、庭園内に保存され、公開されています。庭園は無料開放、晩香盧、青淵文庫内部の見学は、渋沢史料館に問合せが必要です。
利用時間:9時~16時30分 (12月~2月は16時まで)
渋沢史料館
渋沢栄一に関する資料の展示館です。有料施設になっています。曖依村荘という旧邸宅があった場所で、常設、企画展示やイベントなどで公開しているものなどのほか、関連書籍、商品の販売を行う青渕商店もあります。
開館時間:10時~17時
入館料:一般…300円、小中高…100円
関連リンク:渋沢史料館
渋沢×北区飛鳥山おみやげ館
渋沢関係と北区に関連するお土産が買えるショップ(渋沢×北区飛鳥山おみやげ館)もあります。ショップは入場料は掛かりません。
渋沢×北区飛鳥山おみやげ館営業時間:11時~16時
休館日:月曜・年末年始等(ショップは火曜日も休業、祝祭日は営業よく平日休業)
あすかパークレール(アスカルゴ)も楽しみのひとつ
王子駅の中央口、北口側、つまりは街のほうから飛鳥山公園に向かうならば、あすかパークレールを利用することになるでしょう(もちろん迂回して坂道を歩いていくのは自由)。
王子駅前の公園入口駅から山頂駅まで、斜面を上っていくモノレールが無料で運行しています。無人運転の賢いアスカルゴはとても短い距離であっても、ワクワクできる体験に違いはないといえそう。
乗車時間の2分は訪問時の期待を高めるプロローグになるでしょう。自動運転ながら駅には係員の方がいます。乗り方は難しくないとはいえ、万が一にも操作が分からないという事態にはならないでしょう。
あすかパークレール(アスカルゴ)運行状況
運休日:12月29日~1月3日
点検日:第一木曜(4月のみ第三)10時~12時(運転停止)
遊具のあるエリアからは一番遠いアクセスとはいえ、せっかくだから利用する価値はあるのでは! また山頂駅近くの花壇のところには、飛鳥山山頂(公共基準点)の印が置かれています。
飛鳥山公園を訪れるには(アクセスについて)
住所:東京都北区王子1-1-3
連絡先:03-5980-9210(公園管理事務所)
公式サイトからの引用
JR京浜東北線「王子駅」(中央口か南口)から徒歩すぐ
東京メトロ南北線「王子駅」(1番出口)から徒歩3分
東京メトロ南北線「西ヶ原」(2番出口)から徒歩4分
東京さくらトラム(都電荒川線)「飛鳥山」「王子駅前」から徒歩すぐ
北区コミュニティバス「Kバス」王子・駒込ルート⑧⑳飛鳥山公園から徒歩すぐ
JR王子駅のホームから見える緑に覆われた小山が飛鳥山公園。線路の隣でまさしく駅の隣です。南口などは駅から右手に出たならば、公園にしか行けません。
【自動車を利用する場合】
駐車場:有料(大型車3台、普通車19台、身障者用3台)
利用料金:普通車30分150円
利用時間:8時30分~18時30分
渋沢栄一に関連する施設の近くになる、南東の端に駐車場があります。出入口は本郷通りに面しています。
【公共交通機関を利用する場合】
最寄駅:JR京浜東北線王子、東京さくらトラム(都電荒川線)飛鳥山
バス停留所:駅より近いバス停はありません。
飛鳥山駅は道を渡れば流れ施設のところです。王子駅からは南口のところの斜面を上るとちょうど遊び場。どちらもすぐで飛鳥山公園は、都電の駅についても駅前公園。坂の上り下りがないのは都電のほうです。
そして都電の王子駅も、東京メトロ南北線の王子駅もあって、そこもまた最寄駅なことに違いなしです。遊び場までは西北の端から歩くことになるとはいえ、アスカルゴを利用するならばこのルート。
また渋沢庭園側の出入口からならば、もう南北線の西ヶ原駅も遠くはありません。本郷通りを駐車場の前をぬけてから290 mほど向かったところです。
まとめ:日本で最初の公園ここにあり?
飛鳥権現が祀られていたから飛鳥山なこと、徳川吉宗の時代に花見の名所となるレベルで整備されて「遊園」として開放されたことなど、園内に残る石碑を元に解説されています。
吉宗の整備の後に、この地の歴史を記した石碑の内容は、格調高く難解であったことなども都教育委員会により、文化財としての飛鳥山碑を解説する看板に書かれているのです。
ここを日本で最初の公園だとする記述を、巷間見受けることがあります。日本に公園というものが生まれたのは、1973(明治6)年の太政官布達に遡る事柄になります。
それにより公園となった最初の25に入っている飛鳥山公園は、確かに日本で最初の公園といえます。ただし公園の歴史をローターリークラブが記した新しいほうの石碑のように、そのうちひとつとするのが適切でしょう。
指定ののち実際に開園した時期から「子どもと楽しむ公園」シリーズとしては、日本で最初の公園は偕楽園(千波公園も参照)だとする立場です。それはこの布達以前から寺社地でもなく、庶民に開放されていたことも重要視しています。
そしてだからこそ、手早く開園できたということだとも考えます。そうした背景は飛鳥山公園も同じことで、どこかを選ぶとしたら日本最初の公園は飛鳥山公園だとするのも分からないではありません。
いずれにせよ、都市公園法によって定義される公園の姿、「誰しもが自由に余暇を充実させられるところ」である飛鳥山公園には、古典的テイストといえるようなものも引き継ぎつつ、新たな楽しみも加わっています。
公式サイト:東京都北区飛鳥山公園