夏になると、じゃぶじゃぶ池が利用できるようになります。それもまるでレジャー施設かと思いかねない立派なもの。水遊び施設としては、破格ともいえる立派な設備を誇ります。
東京都足立区の都立舎人公園は、とても大きな公園で、利用のされかたもいろいろ。大人もゆっくり1日過ごすこともできるくらい。例えばバーベキュー施設は、公園拡張時にリニューアル。
大きいうえにさらに更新が続いてきた中、もともとじゃぶじゃぶ池(徒渉池という種類の公園施設)が使えない季節でも、子どもの遊び場としてはソリゲレンデも注目の的。
さらにはゲレンデの隣の斜面には、坂を駆け降りるという点でもユニークな特徴をもつ、ターザンロープが置かれています。坂にあるほうが稀なこの遊具、この設置状況が物語るのは豪快タイプなこと。
こうした遊び場の隣で幼児公園とされるエリアに挟まれて、アスレチックな遊具もあって、これまた冒険心溢れる2連の大型ザイルクライミングが、そんなテイストを代表しています。
じゃぶじゃぶ池には名前がついていて、浮球の池と呼ばれます。特別な名前がつくだけのことはある、ちょっと類を見ないようなもの。なにしろウォータースライダーになっているのですからちょっと驚き。
子どもと遊びに出かけて「ここはいいな」と思える場所をご紹介しています。公園のど真ん中にモノレール駅があってとても便利。環7通りの少し外側、江北陸橋の近くに位置しています。
公園のど真ん中に駅があるといっても、園地を貫く主要道路の交差点付近のことなので公園の敷地にあるのではないとはいえ、紛れもない駅前公園になります。そして2021(令和3)年、公園は拡張しました。
舎人公園駅の南東側に準備されていたC地区が整備され、いくつかの施設が加わりました。これで計画の69.5ヘクタールのうち、約61.2ヘクタールまでたどり着きました。
駅の目の前に移ってきたバーベキュー広場を越えたところには、冒険の丘と幼児の遊び場ができたことにより、東京随一といえる遊具を揃えることになったのです。23区内なら、文句なしにランキング1位となるでしょう。
ユニーク施設がますます充実して、遊び場としても大発展した舎人公園。いつものように独自に撮影した写真を満載して、人気の遊び場へのお出かけに役立ち、広いなか訪れてもよく分かるようガイドします。
子どもが大型遊具で遊べる舎人(とねり)公園をしっかり解説
ソリゲレンデ、浮球の池といった度肝を抜かれるような施設と、ザイルクライミングやターザンロープ、幼児公園の遊具などに加えて、冒険の丘と幼児の遊び場が加わったことで東京都では、国営昭和記念公園と双璧をなす遊び場になったといえるでしょう。
冒険の丘には大型遊具が目白押し、さらに隣にも
柔らかクッションの幼児の遊び場にある大きな遊具の隣、トイレやベビー休憩室があり、自動販売機も利用できるインフォメーションの建物のところに、小山が築かれています。
冒険の丘エリアはこの上に留まらず、ずっと奥まで6つのとても大きな名前がついた遊具と、そこそこなものがいくつか加わり、スゴイ遊び場を形作っています。
舎人冒険の丘と書かれているのは、エリアの入口然とした盛り上がったところだけを指すのでしょう。丘の後ろの背景含めて冒険の丘、手前には幼児の遊び場があります。
魅力たっぷりの舎人公園の冒険の丘全体は、幼児の遊び場を含めて特集編を用意します。
さらなる舎人公園の遊びもしっかり解説
夏の季節に訪れる浮球の池のインパクトは強烈。C地区でなくとも、浮球の池以外にもなお豪快な遊びがあります。
舎人公園の子どもの遊び一覧 | ||
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場所 | 遊びの内容 | 料金 |
浮球の池 | じゃぶじゃぶ池 | 無料 |
ソリゲレンデ | 芝ソリ | 無料 |
幼児公園 | 各種遊具 | 無料 |
大池 | 釣り(投げ釣り禁止、道具持参) | 無料 |
キャンプ広場 | キャンプ(小中学生の団体のみ利用可) | 無料 |
冒険の丘 | 大型遊具目白押し | 無料 |
幼児の遊び場 | 大型遊具 | 無料 |
バーベキュー広場 | バーベキュー | 売店利用は有料 |
手ぶらで大丈夫、さっそうと滑走し放題のソリゲレンデ
斜面にはスポーツ施設なども手広く手掛ける、日本フィールドシステム株式会社による人工芝が敷かれています。
仕様書によればソリでの滑走面にはアストロスライディングマット、周辺部にはアストロゲレンデターフスペシャルが敷かれています。
芝ソリは無料で貸し出しされています。手ぶらで出かけて大丈夫。利用は小学生まで、中学生も遠慮してもらっているようです。
大人であっても、保護者は一緒に滑れます。これは秘かな特権! でしょうか。コース設定は2種類で、長い方のAゲレンデ(受付棟側手前)が、最大斜度16度の初級者コース。
奥側の短くて最大斜度も20度になるBゲレンデが、上級者コースです。もっともどちらにせよ、斜面の下は充分確保されています。技術による違いというより慣れの問題です。ただ前方だけはよくご注意を!
屋根付きの休憩スペースがゲレンデ前に用意されています。
利用時間:10時~16時。
利用休止期間:年末年始のみ
浮球の池を取材したうだるような暑さのこの日は、移動販売車がかき氷まで販売していました。ソリゲレンデは浮球の池のすぐ隣です。
ソリゲレンデの斜面の脇には、ターザンロープも設置。穏健派のものであれば平面に置かれ、スタート台だって高さがないところもあります。
ところがここでは斜面を利用しています。迫力も展望も良好。ただし滑走がスムースなだけに、最後の衝撃には注意です。
遊具がひととおりの幼児公園、スプリング遊具がたくさん
浮球の池の東側には幼児公園。小さな子ども向けの遊具がある場所です。屋根がふたつ連なるコンビネーション遊具がひとつ。
チューブスライダーと2連スライダーが、それぞれ両端に組み込まれたものになります。パネル遊具付きです。
他に屋根ひとつの遊具には、くぐり抜けるチューブトンネルもくっついています。遊具のある一帯は、ソフトなクッション性の床になっています。
スプリング遊具がいくつも配置されるものの、アクションが激しいせいか、2022(令和4)年には整備中のものがありました。
そんななかで、ウゴウゴとリーフィーは健在でした。どちらも形状がユニーク。リーフィーはふたり乗り。
3人乗りのオレンジ色の犬? の様式をもったものは、いかにもな子ども向けで理解はたやすいです。ウゴウゴは何人乗りなのか、こんな自由度、抽象性がウリでもあります。
砂場はしっかり囲われていて衛生面でも安心です。
少し大きな子どもでも満足?ザイルやアスレチックの遊具も
幼児公園のとなりの一角は少し大きな子ども向け。ザイルクライミングもそこそこの大きさです。舎人公園のザイルクライミングは2連タイプ。
つまりは上ることだけでなく、横渡りも意識されたものです。ザイルの網目の間隔は、子どもの成長次第で自然と遊びを制限します。上の方はそれなりに大きな子どもでないと行けないです。
さらにザイルクライミングの周辺には、アスレチック遊具も! 飛び石遊具は、高さがないタイプになります。
ザイル遊具は、ネットのものもあります。網目の大きさが極端に違う仕様。それがねじ曲がっています。バランスと力で制覇しょうか。真ん中で休憩するのもよさそうです。ハンモックのような感じ。
クライミングウォールにも挑戦可能です。より高いほうは地面との間に、かなりな隙間が! これもある意味安全対策です。
舎人公園には、フィットネス広場という場所もあります。場所は浮球の池の南側。そこから第二駐車場に向かう道すがらです。こちらにもクライミングウォールみたいなものが! 名前はかべ渡り。
フィットネス広場はいわゆる健康遊具。たいてい健康遊具は、子どものためだけにあるものではないです。その点舎人公園の場合、名前からして目的が明確。親子で使ってみるのもいいかもしれません。
夏ならば依然として主役を張れるのが浮球の池
水深20 cmというじゃぶじゃぶ池は、幼児にとってはプールと同じレベルで楽しめます。むしろ”水泳”が目的でないならば、ウォータースライダーを備えた舎人公園浮球(うきゅう)の池は、水遊びの理想形とでもいえる存在です。
浮球の池は無料で使える施設
料金:無料
利用時間:10時~12時、13時~16時(12時からお昼休みが入ります)
定休日:水曜日
いわゆる児童の夏休みの期間が開場の目安。期間中であっても水曜日はお休みになります。
幅広の豪快ウォータースライダーが魅力!
敷地中央部でこんもりと盛り上がった丘から、広々としたウォータースライダーが設置されています。ぐるりと旋回して、豪快に滑り下りることになります。
スタート地点にはカラフルなモザイクが、笠石のようになっている橋を渡っていきます。
橋を渡ったら、階段を上って滑る順番を待つことになります。横から入ったりすると、ちょっと危険があるということなのでしょう。途中からは入らず、並んで待ってと注意書き。
丘の頂上は噴水でちょっとスパのような雰囲気。水に浸かって順番を待ちます。
噴水のところの待機場所と、滑り下りる先に係員の方がいて、安全を確保して下さっています。
大人も子どももホッとする休憩スペースが備わる!
元気な子どもに付き合いきれない大人のためには、よしず張りの休憩スペースもあります。中には持込のテント型シェードを持参する方も。
浮球の池の敷地内でも、また周囲まで考慮に入れれば設営のスペースは充分あります。休憩をとりながら、たっぷり遊べる環境です。
設備が充実で大満足の水遊び場はウォーターパークさながら
シャワーも子供サイズのものが用意されています。注意書きには、シャワーを浴びてから遊んで下さいとのお願いが!
滝のような水流に打たれるスペースがあったり、涼しげな噴水と戯れる場所があったり。場合によってはたっぷり水をかぶれます。
ただ水が張られて流れているところでちゃぷちゃぷする、よくあるイメージからはかけ離れたスケールがあります。とてもゴージャス。
サンダルと防水バックはあると便利?
コンクリートの床面は熱いこともあり得るもの。サンダルについての注意が書いてあり、滑りにくいものをということと、洗ってから入って欲しいとのことです。
実際には、裸足で利用している方が多く、特に水の中では邪魔なのかなと。いずれにせよ、とりあえず持参することはおススメしたいところです。
濡れたものを収納するバックがあると重宝するでしょう。充実した水遊び場です。せっかくなので、思う存分水を浴びさせてあげてください。
子どもに対する配慮はしっかり!
公園全体でトイレの設備はばらつきが見えます。それはC地区のオープンで拍車がかかったといえます。発展し、拡張する舎人公園の宿命的なもの。
そうはいっても、心配はないです。子ども連れに対する配慮はしっかりしています。浮球の池の入口の横のトイレよりも、隣のソリゲレンデの脇にあるトイレのほうがきれいに見えました。
手洗い場にもベビーシートがあるのは珍しいように思います。ただし舎人公園のすべてのトイレがこうではないです。
自動販売機もソリゲレンデの脇です。
舎人公園の施設について
団体の予約がなければ、当日申込でも利用可能な陸上競技場もあります。球技をするならば他にプレイグランドもあります。
野球場やテニスコートも利用できます。陸上競技場も個人利用ならば無料です(野球場、テニスコートは有料)。
最大3泊4日までできるキャンプ広場は小中学生のみ。指導員(文部科学省、もしくは日本キャンプ協会認定員)の付添の元の利用になります。浮球の池の南側、大池の隣の辺り。
大池では釣りをしても構いません。ただし投げ釣りは禁止。道具の貸し出しなどもありません。あくまで持参での楽しみになります。
北西地区のドッグランでは、愛犬を自由に遊ばせられます。
舎人公園の存在感は歴史的なもの
ところで舎人公園の浮球の池やソリゲレンデ、幼児公園のある北東地区の北側は堤のようになって、盛り上った地形になっています。このあたりはそもそも荒川の流域で、まったくの平坦地。
ここに丘陵が形成されるのは極めて不自然なのです。実際にここは築山された丘です。標高17.5 mとはいえ、足立区で一番高い地表面となる模様。朝日の広場として展望台も設けられています。
舎人公園が計画されたのは、1940(昭和15)年のことです。真珠湾への奇襲が行われるのが翌年の12月です。いまでは信じられないような話の「ぜいたく禁止令(奢侈品等製造販売制限規則)」が発令された年でもあります。
そういった世相の中、当初は防空緑地として、戦争準備のための計画だったといいます。舎人公園がとにかく広いのが、納得のいく話です。この不自然な堤も、延焼防止のために造成されたというのが真相でしょう。
いずれにせよ、ソリゲレンデもこの傾斜あってこそ。景観的にも変化をもたらして潤いを感じさせてくれます。大阪の四大緑地とも関わりのある、防空緑地が元になった公園については関連記事をご参照ください。
舎人公園の築堤は東側があさひの広場、対して西側にはゆうひの広場があります。こちら側にある夕日の丘の売店は眺望のすぐれた場所。
ゆったりと景色を眺めながらの飲食は、覚えておきたいポイントになります。自動販売機はもちろん、売店ではアルコールを含めた飲料、スナックやデザート、軽食が販売されています。
北東地区の中央にある大池は、すでに野鳥の楽園です。さらにC地区には自然観察園もでき、都会に残った大自然、遊び場のみならず活用されています。
舎人公園を訪れるには(アクセスについて)
住所:
足立区古千谷1(舎人公園第二駐車場 電話番号03-3854-8160)
足立区舎人公園1-1(舎人公園第一駐車場 電話番号03-3898-3555)
足立区古千谷1-7(舎人公園第三駐車場 電話番号第二駐車場と同じ)
モノレール路線の日暮里・舎人ライナーの駅がある舎人公園はとてもアクセスのよい公園です。
【自動車を利用する場合】
駐車場:有料
駐車場料金:1時間まで300円、以後30分毎に100円
(入庫後24時間最大料金1,200円を繰り返しになります。)
収容台数:第一駐車場78台、第二駐車場46台、第三駐車場33台
浮球の池やソリゲレンデは第一駐車場か第二駐車場、冒険の丘などは第三駐車場からが最寄です。第一駐車場は、モノレールの走る尾久橋通りを連絡橋で渡ることになります。
第二駐車場からソリゲレンデなどは、大池の横を北に進みます。フィットネス広場やキャンプ広場を抜けて到着になります。
第二駐車場から道路を隔てて第三駐車場があります。自然観察園、水鳥の池、みんなの広場を抜けると冒険の丘に至ります。
【公共交通機関を利用する場合】
最寄駅:日暮里・舎人ライナー舎人公園駅
運賃:初乗り170円(小児90円)、日暮里からで340円(小児170円)
(小児とは小学生。就学前の幼児は運賃を払った人に同伴2名まで無料、1歳未満は無料。)
舎人公園はまさしくの駅前公園、公園の敷地に足を踏み入れるのはすぐです。いかんせん広いために遊び場までは、少し距離があります。JRの日暮里駅と見沼代親水公園駅間を運行する、東京都交通局のモノレール路線の駅になります。
周辺は密集市街地です。東武バスや足立コミュニティバスが走っています。バスでも不自由はありません。けれども、このバス路線についてあらかじめ知識がないのであれば、日暮里・舎人ライナーの利用が簡単です。
まとめ:見逃せないものだらけの公園で残念なのは駐車場
駅前にバーベキュー広場が移って、まさしくレジャースポットの様相を呈するようになりました。なんといっても夏が楽しくなる浮球の池は要チェックです。
ソリゲレンデのような大規模施設も、おいそれと作れるものではないでしょう。そして輪をかけるように登場した冒険の丘などのC地区。
拡張開園で遊具、遊びの施設に注目すれば、東京でトップの遊び場に踊り出ました。だからこそ、舎人公園が完全無料(その気になれば一切お金を使わない、例え車で訪れても)となることを逃したのは本当に残念です。
そもそもが大緑地計画があったからこその広大な敷地です。そしてここは足立区でも、三方を埼玉県に囲まれた場所、23区の一番端、舎人ライナー以前は交通も不便でした。そんなこともあってか、スペースは残っていたのです。
都立公園で、区、市町村を越えた範囲での利用が、想定されているはずでもあります。駐車場を制限付きでも無料利用できれば、さらに魅力は増すというもの。拡張もいよいよ最終段階、舎人公園の完成形はあと少し、もし完全無料に進化できるなら文句なしです。
公式サイト:舎人公園