いまでもかつてもここでは、水場が重要な役割を果たします。元の由緒は江戸幕府の材木蔵で、皇室御用達でも使われた貯木場。それが憩いの場として解放され今に至るのが、東京都江東区にある都立猿江恩賜公園。
江東公会堂であるティアラこうとうがあり、野球場は2面、テニスコートは8面と、スポーツ施設も充実しています。さらに芝生などの広場に加えて、冒険広場やじゃぶじゃぶ池もあります。
子どもと遊びに出かけて「ここはいいな」と思える場所をご紹介しています。庭園の池や、当地のイミテーションになっているミニ木蔵と並ぶ存在感がある、水場なのはじゃぶじゃぶ池。
周囲はすっかり市街地化した中で、日本庭園を含め緑豊かな環境を維持する公園は、1932(昭和7)年に下賜されて開園(南側地区)したもので、つまり都市公園法以前からのものということになります。
その後、北側に残っていた猿江貯木場も1976(昭和51)年に江東区潮見へ移転し、約250年もの歴史を閉じたのち、北側地区として1981(昭和56)年に、現在の姿となって開園しました。
北側地区には、中央広場、芝生広場といったオープンスペースと、テニスコートなどとともに、遊戯施設がたくさんの冒険広場など、都市公園の趣旨に則った形で、遊び場としても注目のものになりました。
季節には水遊び場としてのじゃぶじゃぶ池にも注目、ただの憩いの場では済みそうもない猿江恩賜公園を、いつものように独自に撮影した写真を満載して、人気の遊び場へのお出かけに役立つようガイドします。
子どもが大型遊具で遊べる猿江恩賜公園をしっかり解説!
猿江恩賜公園(さるえおんしこうえん)は新大橋通りで、北側地区(北園)、南側地区(南園)に分かれています。遊具があるのはより広い北側の最も北のほう。その北の西側にたくさんある冒険広場があり、さらに東側に砂場とともに少しだけの場所があります。
冒険広場は確かに冒険志向
冒険広場の中央付近には、大型コンビネーション遊具が置かれます。ただこれだけをみてしまえば、決して粗末なものではないにせよ、ものすごいものがある! と驚くほどではありません。
むしろ冒険広場で注目したい遊具は、周囲に配置されたものになります。特徴としては、難易度が少し高いのです。
関西ではみかけることもあるこのシリーズ、東京ではやはり江東区でみかけたことがあります。豊洲埠頭まるごとの豊洲ぐるりパークのうち、豊洲公園のものです。
スーパーノバと名前のついたものは組み合わせるものでなく単独で円形。同じ形のこれを除くと、豊洲公園よりはやや難易度に手加減がある様子。ただ、この一連の遊具は、挑戦しがいがあることがウリものです。
なにしろ国土交通省が、公園遊具のリスクとハザードについてまとめた時には、リスクが盛り込まれた冒険度の高い遊具として、名指しされているものなのです。
スーパーノバの形は円を描くといっても、斜めに傾いた輪は回せるようになっていて、平均台のように遊ぶのもよし、なんらかの形で掴って回してもらってもよし。
組み合わされた遊具のほうは、パーツの選択によって難易度を調整できるようになっている模様。いずれにせよ、どうやって遊ぶのか選択肢が多いのも特徴です。
お手軽に遊ぶこともできれば、もうちょっと頑張ってみることも可能な作りです。どの程度かは、組み上がり方によって設置される公園なりに違いはでます。
もっと難しそうに組むことはできるといっても、猿江恩賜公園冒険広場のものはさほどでもありません。とはいえよじ登っていけば、それなりではあります。
組み上がったものが大小2基あり、ラダーであることが基本。
そのラダーを流用したような、鉄材と部材を単純に組上げた遊具もあります。これも少しだけ戯れても、もうちょっと頑張ってもよさそう。
さらにちょっと変わったブランコも、組上げてあります。設計の自由度があって、なんにせよユニークなものにできます。
遊び方もよくあるブランコと違い、瞬間迷いそうです。ただ、立ち乗りはきびしそう。掴るところがありません。
一風変わったブランコのようなものは、2基並んでいます。
ラダー系冒険遊具とは無関係そうな、S字を描く平均台も置かれています。
こうしたものが、大型コンビネーション遊具を取り囲んでいる、猿江恩賜公園で子どもが遊ぶときに見逃せない遊び場になりそうな冒険広場。
大型コンビネーション遊具は、2つのすべり台を目指す2つの搭が連結されたもの。
ひとつは幅広のジャンボタイプのすべり台。高さはさほどでもないです。背面にはステップ付きのクライミングボード。
連結した板がちょっとグラグラする橋で、もうひとつのすべり台のほうと連絡します。
もうひとつのすべり台は、一般的なステンレスのものが旋回しているタイプ。
旋回すべり台の台場へ上るのは、楕円のラダーか雲梯状のラダーのみ。
階段を上ってすべり台に挑みたいならば、グラグラ橋とは反対側のサイドとを結ぶ円形ラダートンネルをくぐり抜ける必要があります。
これはこれで、それなりの冒険が仕掛けられている遊具になります。
園地北東の隅の清水橋児童遊園にも遊具あり
いずれにせよ公園の北側になるうち、材木の運搬にも重要な役割を果たしていた横十間川のほう、清水橋を渡って東側から公園に入った直ぐのところにも遊具が少しあります。
少し盛り上がったところから、だからこそちょっと長め? と思える、形はよくあるタイプのステンレスの滑走面のすべり台があります。
他にはコンクリート製のこれもすべり台? といった趣で、正確にはもう意図は計りかねる! といった感じのものが斜面に張り付いています。
それから変形パイプのラダーのようなもの。ようなもののように見えるこれは、アクロバティックに遊ぶのではなく、むしろパネル遊具的な手技が主なようです。冒険広場の遊具同様ちょっとユニーク。
砂場はそれほどの大きさではないものを、柵がやはり丸くしっかり間隔を置いて取り囲んでいます。衛生面の備えは充分です。
じゃぶじゃぶ池や芝生の広場、バスケットゴールも!
北園の新大橋通り側では、東にじゃぶじゃぶ池、西に健康広場が配置されています。
ミニ木蔵をこの方向からは背後に従える、じゃぶじゃぶ池は公園東側の横十間川に沿う流れに変わります。
全長約300メートルの水場の上流がじゃぶじゃぶ池で、下流の流れは立ち入り禁止。
じゃぶじゃぶ池稼働期間:7月下旬~8月下旬のいわゆる夏休み期間
ただ見るだけのところは公園の北の端、東側の遊具の付近まで続いています。境目になるのはミニ木蔵の付近にある、橋のようになっているところか。
橋の対面から北側に向かう流れをみると柵で園路と隔たっており、看板の注意書きだけでなく、立ち入れない雰囲気が漂っています。
対して本格的にじゃぶじゃぶする雰囲気なほうは、ミニ木蔵の横を過ぎる辺りから。
水路のようなところは打って変わって、いかにもなじゃぶじゃぶスペースになります。
さらにじゃぶじゃぶ池への通水は、新大橋通りのほうに抜ける短い小さな橋を挟む西側からです。最上流部になるそちら側にも、少し広めのスペースがあります。
派手さはないものの、規模はなかなかのものになる遊び場、夏休み期間という縛りに加えて、通水時間は10時~16時という制限もあります。
健康ひろばは、いわゆる健康遊具があるところ。こうしたものはたいていの場合、とくに子どもを意識したものではないです。
バスケットゴールもふたつ並んでいて、そんなところも遊び場というより、汎用の運動スペースといった趣を強くしています。
猿江恩賜公園の概要は
猿江恩賜公園は園内の看板に書かれている内容によると
園内案内板からの引用
ここは、かつて猿江貯木場 といって、林木を水に浮かべて貯めておくための場所でした。
享保18年(1733)頃、幕府の材木蔵として造られた後、明治政府に引き継がれ、皇室の御用材の貯木場となりました。
とのことです。その後、まず南側が恩賜公園として開園し、残った貯木場の移転後に北側が加わり、今の形の都市公園となりました。
南側地区(南園)のあらまし
南側の園地が下賜されたのは、天皇の御成婚記念で1924(大正13)年のことです。つまりは時の摂政、裕仁親王(昭和天皇)の話になります。
東京市は整備を進めて、1932(昭和7)年4月29日に猿江恩賜公園が生まれました。南園は日本庭園と野球場とティアラこうとう(江東公会堂)があることが特徴です。
野球場利用詳細:2面、ナイター設備完備
利用料(1面 1時間以内):平日1,200円、土日祝日1,500円、夜間照明1,500円
利用時間:9時~21時
このどれもが当初からの面影となっていて、野球場が作られたこと、日比谷公会堂などと並ぶ公会堂の始まりとなる、旧・江東公会堂があったことなど、時代を偲べる様子になっています。
歴史的建造物でもあった旧公会堂は、ティアラこうとうとしてすっかり立派な装いとなっています。簡単な食事や喫茶ができる店舗が入っているのは、公園利用に際しても便利です。
関連サイト:ティアラこうとう
現在では日本庭園に、芝生の広場も融合してボート場だったという池などとともに憩いの場になっています。
北側地区(北園)のあらまし
北側地区が開園したのは、1981(昭和56)年12月26日とのこと。南側から遅れること50年余り、猿江貯木場が移転によって公園になったものです。
皇室御用材の貯木場が下賜された後も機能していて、戦後は林野庁の所管となって全国から材木が集められていたと記録されています。
こうした成行きのオマージュなのが、ミニ木蔵ということになるでしょう。護岸の石は材木の重しだったものとも記されています。
初夏から秋のスイレンが、みどころの場所でもあります。
南園の野球場に加えて、北園にはテニスコートがあります。公園のサービスセンターもテニスコート脇、野球場利用者と兼用になるシャワーのある男女更衣室完備です。
テニスコート詳細:合計8面(オムニコート)、ナイター設備完備
利用料(1面 1時間以内):平日1,300円、土日祝日1,300円、夜間照明 500円
利用時間:9時~21時
猿江恩賜公園を訪れるには(アクセスについて)
住所:東京都江東区住二丁目、毛利二丁目
連絡先:03-3631-9732(猿江恩賜公園サービスセンター)
公式サイトからの引用
都営地下鉄新宿線・東京メトロ半蔵門線 「住吉」駅 A4出口より徒歩4分
1.東22系統「錦糸町駅前」⇔「東陽町駅前」 「住吉駅前」下車徒歩5分
2.錦11系統「錦糸町駅前」⇔「築地駅前」 「住吉駅前」下車徒歩5分
3.錦28系統「錦糸町駅前」⇔「東大島駅前」 「江東公会堂前」下車徒歩1分
【自動車を利用する場合】
駐車場:有料(ただしティアラこうとうのもの)
ティアラこうとうの駐車場概要
駐車料金:(20分)100円(最初の30分は無料)
利用時間:8時30分~22時
ティアラこうとうには、機械式68台を主に計80台分しか用意がないため、公会堂利用目的で集中するときなど、確保できない可能性があります。新大橋通りに少しだけ、コインパーキングがあります。
【公共交通機関を利用する場合】
最寄駅:都営地下鉄新宿線、東京メトロ半蔵門線住すぐ
公園をふたつに分ける新大橋通りに駅があります。A4出口から60 mも歩けば、南園の日本庭園の門のところです。
最寄バス停留所:江東公会堂前
ティアラこうとうまででも330 m、新大橋通りで一番東までいったところです。バス停留所は、通り沿い公会堂の前です。
まとめ:歴史ある公園には、継承された文化が生きる
今の姿は都立公園であり、東京市が恩賜公園として開園した形から、さらに進化しています。冒険広場などはその最たるもの。ただ見どころがそれだけに限らないのは、積み重ねてきた歴史によるものだといえます。
公式サイト:公園に行こう 猿江恩賜公園
管理先公式サイト:東京都東部7公園 猿江恩賜公園