京都五山送り火の「妙法」が灯るその足元、歴史を重ねてきた古都の北側、鞍馬や大原野に分け入るまでもなく、自然豊かな丘陵地が宝が池公園として、格好の憩いの場を提供していて、今の市街地は周囲を取り囲んで存在しています。
宝ヶ池を囲む松ヶ崎の丘陵地は、昭和の初期以前は京都市ではなかった場所。京都議定書も採択された、日本初の国際会議場となる国立京都国際会館の存在もあり、いまでは京都市営地下鉄烏丸線の終端駅があります。宝が池公園は敷地に駅を持つ公園でもあります。
そんな宝が池公園には、その一部ではあっても極めて独自の存在感を放つ、子供専用の遊び場、子どもの楽園があります。子どもと遊びに出かけて「ここはいいな」と思える場所をご紹介しています。
快適で風通しの良い膜屋根の休憩スペースなど、充実した施設が整い、子どもと保護者だけが利用できる遊び場専用の場所は、遊具ゾーン、大広場ゾーン、プレイパークゾーンで成り立っています。
大袈裟な規模のものはないにしろ、卒なく揃ったいろいろな遊具を利用して! そして思う存分駆け巡って遊べる、宝が池公園子どもの楽園を、いつものように独自に撮影した写真を満載して、人気の遊び場へのお出かけに役立つようガイドします。
子どもが大型遊具で遊べる宝が池公園子どもの楽園をしっかり解説!
2008(平成20)年にさらに整備されて、リニューアルしている宝が池公園子どもの楽園です。市民生活に公営ギャンブルは不要! とした志で宝ケ池競輪場(京都市営競輪場)が廃止された跡地に、必要なもの! として設けられた楽園は進化をしています。
でんと構える夢の山は魅力も多彩
公園の中心部に築山された夢の山は、存在感たっぷり。園内で目立つものだけに、周囲も見渡せる場所で、上った先も広々としています。
夢の山からはすべり台がふたつ、一番上から一気に下りるものを選べるようになっています。滑走面はそれぞれタイプが違って、ひとつはよくあるステンレスのもの。ただし、長さに関してはよくあるレベルではなく、ロングタイプのものです。
同じ斜面を滑るものであっても、材質のほかにも少しだけ違いがあり、コンクリートのもののほうは、途中で勾配を緩めてありません。滑り終わる着地点も砂場でクッションではないです。
ふたつのロングすべり台が並ぶほうの斜面と対面するところには、大階段が設けられています。築山の頂上へのアクセスは、何ら難しいものではないです。
すべり台についてはもうひとつ、ジャンボタイプのものが斜面の途中から出発しています。コンクリートの滑走面で幅広いもの。隣に小さな階段が作ってあります。長さはロングタイプのほぼ半分。着地点は砂場です。
ふたつの長いほうのすべり台に挟まれたスロープは、なかなか挑戦的な上りルートになるでしょう。ここはすべり台ではないと注意書きがあります。上からは使わないで! ということです。
大階段とすべり台のほうの斜面を結ぶ両側は、壁になっています。特に注意書きなどで明記されてはいないものの、壁のある部分の斜面は上って遊ぶ場所というサインといえます。埋め込まれた石も、上ってみるのに適した密度で、配置されているようにみえます。
大階段の両脇も斜面になっています。勾配がやや緩めにとられて床面の材質も違い、明らかに摩擦係数も高いです。ここは坂を行き来してみることが意識されているのでしょう。パッと見た目よりも、多彩な仕掛けがある築山が夢の山。
大きさも相まって皆でワイワイ楽しめるものです。大階段脇には柔らかい突起が、まばらに設置されています。特にどうという機能なのではなく、歩きながら上り、下り、渡りと冒険してみて欲しいと願う印のようです。
夢の山とはセット風な迷路
遊具が組み込まれつつ、そのものが楽しめる構造物といった存在の夢の山からすぐ隣。見下ろせるところにあるのが迷路。ある意味夢の山から、風船の描かれた壁がなんであるのか、知れるようになっています。
夢の山のある側にはデッキ路が設けられて、動線を示しています。この方向からだとしても、壁面にも出入口があるのが確認できます。
壁面にも穴が開いているものの、なんとなく入口ふうなのは、レンガのようなタイル張りのルートか? 雰囲気はそんな感じです。
推奨ルート? のような出入口からは湾曲しながら、わりあいスムースに迷路本体へ繋がっています。
迷い込んだ先にはそれなりに、行く手を阻む仕掛けがあります。
明確にくぐり抜けてみるものであろうルートもあれば、
ただの覗き窓なのか、判然としないようなところもあります。
デッキルートから導かれる開口部とは反対側にも、レンガ壁のようなタイルの壁があります。外界との連絡口としての機能がひとつ。
その連絡口を跨ぐ形での、周回路のスロープとしての機能もまたひとつです。
夢の山と迷路は隣り合わせになる、宝が池公園子どもの楽園でもっとも大きなほうの構造物。セットのようになった丸ごと遊具なこういったものが、公園の中心になっているのは、あまりみたことのない特徴になっています。その意味でとてもユニークな遊び場です。
冒険心が溢れる遊具が傍らに!
遊具構造物とでもいうものが主役のようにみえるのは、大きさからすればさもありなん。とはいえ遊具はまだまだ揃っています。夢の山も迷路も、目立って中心となる遊びではあっても、面白さや刺激度からいえば負けないものがあるのです。
コンビネーション遊具は、一言で説明するのが難しいものが置かれています。夢の山の大階段の先、公園入口からは奥になる方向に、並んでいるうちひとつの遊具になります。
「子ども楽しむ公園」シリーズで御三家というところの、すべり台、ブランコ、鉄棒はそれぞれがどうやって遊ぶかも、すでに明確。しっかり刷り込まれているからなだけでなく、他の遊びの解釈の余地もあまりないようなものです。
子どもの楽園にある、ラダーの複合体のようなコンビネーション遊具は、ジャングルジムにも近い鉄棒系の発展形とも捉えられるものながら、もっと機能が秘められていてなかなかのもの。やや難易度が高い面はあり、低学年までは保護者同伴推奨です。
それでもどうやって取り組むのか自由度も高く、遊具のあるべき一面を突いているともいえます。遊具メーカーの営業の都合なのか実はこの遊具、関西でよくみられるものの、関東ではあまりみることがないものです。
さらに「子どもと楽しむ公園」シリーズでは、ラダー系ジャングルジムがさらに発展したものと考えているザイルクライミングが並んでいます。子どもの楽園の場合、大きさは中程度のものといえるでしょう。
この一角には、こうした冒険心溢れる遊具が集まっています。バスケットブランコも、そうした意味合いの強いもうひとつ。
さらに置かれているいわゆるブランコと隣にあり、同じようにブランコと名前がついています。どこか同じようなものであり、遊び方も一緒のようにみえます。籠がぶら下がっているのだから幼児を載せて揺らしてあげるもの? と想像もしたくなります。
公園で小さなほうの幼児のためにあるブランコは、ほんとうは籠というより、座面が板状でなく座椅子そのものをぶら下げたような形のものです。ならばバスケットブランコはどんな使い方になるのか? それを積極的に広報している公園もあります。
独自の遊びの哲学が際立つ群馬県の観音山公園ケルナー広場の鳥の巣ブランコは、バスケットブランコとまったく同じもの。まさしく幼児を楽しませる遊び方も書かれている一方で、また違う遊び方も示唆されています。
宝が池公園とは遥か離れた場所でなく関西でも、例えば滋賀県のびわ湖こどもの国にも同じものがあります。むしろびわ湖こどもの国では、冒険ゾーンと呼ばれる対象年齢を6歳以上とするエリアに置かれて、使い方が明確になっています。
バスケットブランコには、そもそもは多人数で一緒に遊べるブランコという機能があって、びわこ子どもの国に関しては、冒険ゾーンのテーマになる皆で一緒に遊ぶという意味からしても、そちらのほうが推奨されているともいえます。
特に表記のない子どもの楽園にあっても、周囲にある遊具をみれば、ふつうのブランコではできない、そんな遊び方にもトライしてみては! という意味合いも感じ取れるものになっています。ただし、ゆるく楽しみたい子どもがいたら、また尊重してあげてください。
砂場はふたつ、ドーム型の遊びがあるものも!
遊具の御三家の話をするならば、標準セットとして砂場も公園には不可欠のもの。子どもの楽園にも注目のものがいくつか用意されます。一番大きなものは砂台も置かれています。
さらにドーム状のものが置かれたもの。どちらもひと工夫ありで、しかも赤いドームのようなものは、どこか見た目がふわふわドームに似ています。
もちろんいわゆるふわふわドームとは全く違うものながら、ふわふわドームを砂場に出現した新しい発展形遊具としても捉える「子どもと楽しむ公園」シリーズとしては、またとないサンプル。いずれにせよ、砂場ももっと楽しませよう! という意欲に溢れています。
傍らには、幼児向けのすべり台もひとつ。新旧入り混じったというか、歴史を感じさせるところがある子どもの楽園という遊び場での、遊具ゾーンと呼ぶ部分のあらましになります。
大広場ゾーンには幼児向け遊具も
公園の中心付近を占める遊具ゾーンに対して、公園管理事務所のある正面入口の前の付近は大広場ゾーンになっています。
名前はそうであっても、自由に遊べる広場というよりも、しっかり遊具が揃った場所です。ただし、遊具は幼児向けのものだけです。日陰も多く、のんびりムードが漂うコーナーです。幼児専用としては大きな複合遊具、各種のスプリング遊具やシーソーなどがあります。
大広場ゾーンにも小さな砂場があり、近くの四阿は休憩、見守りに快適です。
噴水遊び場の先には屋根付き広場
もっとも宝が池公園子どもの楽園で休憩をしたいならば、売り物ともいえる施設もあります。夏には水遊び場にもなる、噴水遊び場の水路や夢の山と並んで、大きな膜屋根が置かれています。
公園のふわふわドームの多くを作っているメーカーによる、セルフクリーニング機能付きの高性能の膜屋根は、適度に日差しを遮り、風通しもよく快適な休憩スペースです。
人工芝が敷かれていて、敷物を持参するまでもなくゆったりと過ごせます。
隣り合わせにある、子ども専用の遊び場らしい、子どもサイズで整えられたトイレなど、設備の充実ぶりが際立つ子どもの楽園になっています。
3つのゾーンのうち、毛色の違うのはプレイパークゾーン
公園のもっとも奥で、木々に囲まれたところにはプレイパークゾーンがあります。遊具ではなく、自然と戯れる目的のスペースで、プレイリーダーとともに自由な遊びの哲学を学ぶ場でもあります。基本的には日曜日に、そんな趣旨でプレイパークが開催されます。
国際会館駅との連絡は宝が池公園の園路
宝が池公園は名前の通り、宝ヶ池の周囲を利用している広い公園です。主に利用されるのは子どもの楽園と京都国際会館を結ぶ園路と、その途中で宝ヶ池に向かう園路の周辺で、公園のおおよそ北側の部分になります。
その中でも西側の南より、つまり京都の中心市街地により近い方から、ちょうど子どもの楽園の目の前で高野川に合流する岩倉川沿いに、公園の散策できる部分が続いています。子どもの楽園連絡橋より上流、左岸が北園で地下鉄の国際会館駅まで結んでいます。
右岸にはいこいの森、桜の森など林間のスペースがあり、宝ヶ池や京都国際会館に向かう道が続きます。位置関係をみても子どもの楽園は、どこか独立したようなスペース。ちょっとした別世界になっているといえます。
子どもの楽園を訪れるには(アクセスについて)
住所:京都府京都市左京区上高野流田町8
連絡先:075-781-3010
開園時間:9時~16時30分
定休日:年末・年始(12月29日~1月3日)
利用対象者:(幼児・児童とその保護者)*中学生以上の利用は不可
公式サイトからの引用
電車の場合
地下鉄烏丸線「国際会館」駅5番出口より、徒歩約15分
叡山電鉄「宝ケ池」駅より、徒歩約5分
自動車でお越しの場合
子どもの楽園には、有料駐車場がございます。北側の駐車場入口からお入り下さい。子どもの楽園駐車場から、ボート乗り場やジョギングコースのある「宝が池」や、「国立京都国際会館」までは、それぞれ約800mです。
【自動車を利用する場合】
駐車場:有料102台、臨時69台(1回520円、利用は子どもの楽園の開園時間内)
駐車場は有料であること、それもあってゲートがしっかり機能していて利用時間も開園時間内であることが注意したい点です。
最寄インターチェンジ:名神高速道路京都東?
京都市街地の北に位置することから、便利な高速道路によるアクセスはない! といったほうが正確でしょう。京都市街地に有料の高速道路でアプローチする場合は、名神高速の京都東、京都南、第二京阪道路鴨川西経由が考えらえます。比較的市街地を避けられるのは京都東ICと思われます。
【公共交通機関を利用する場合】
最寄駅:叡山電鉄叡山本線宝ケ池約300 m
最寄バス停留所:市バス、京都バス宝ケ池約300 m
地下鉄の国際会館駅も利用可能ながら、宝ケ池駅のほうがずっと近く、分かりやすい場所にあります。市バス、京都バスの停留所は駅の前です。街の中で宝が池公園の東側で市街地と隣接する場所だけあって、公共交通機関での利用にも支障のない公園です。
まとめ:子どものためだけの場所、独立した存在感高し
宝が池公園という枕詞がつき、それに何ら偽りはないものの、子どもの楽園はそれだけで独立した存在感があります。まさしく公園というより遊び場という言葉がぴったり。
子どもが遊ぶためだけにある場所。公園内の位置も端っこで宝ヶ池とはちょっと離れていて、アクセスも違うといえます。公園は本来は子どものためだけにあるものではないです。それだけに特別な場所といえます。
公式サイト:子どもの楽園