全国に発信されるモデルケースとして出来上がったみんなのひろばによって、子どもと楽しむ魅力がぐっと高まった感があります。東京都世田谷区の都立砧公園にある遊具は、確かにこれまでにない形だといえます。
子どもと遊びに出かけて「ここはいいな」と思える場所をご紹介しています。レールウェイ式のターザンロープが導入されて、ここならではの魅力は際立ったものになりました。もっとも整備した狙いはそこではなく、どんな子どもであってもがコンセプト。
やはり、どんな条件の子どもであっても遊べる方向性は、誰にとっても遊びやすい状況を作っています。強烈な刺激を体験したり、話題になるような仕掛けを求めるのではない考え方を補うように、加わっているのがターザンロープな感じ。
従来からの砧公園での遊具と比較すれば、いずれにせよみんなのひろばの整備によって、楽しみは増しています。そもそも子どもと楽しむ側面からすれば、砧公園は都立公園の管理の枠組みだけを見るのでは、片手落ちだった遊び場です。
かつては砧公園を訪れたならば、子どもと一緒であれば環八側にある遊び場のみならず、反対側となる西側の公道の向こう側、世田谷区の公園まで足を伸ばすのが、満足感を高めるコツだったのが知る人ぞ知る事実。
みんなのひろばによって、砧公園だけでも遊び甲斐は増したにせよ、世田谷区立総合運動場となっている大蔵運動公園の遊び場も、一緒に利用した方がよさそうなことにも変わりはありません。
子どもと楽しむに当たって砧公園と大蔵運動公園は、どうしてもペアで考えたい場所。とはいえ、それぞれの特徴もあります。そうした事情を踏まえて、独自に撮影した写真を満載して、人気の遊び場へのお出かけに役立つようガイドする特集はそれぞれに分けます。
また駐車場に関しては、かつては無料だったこともある大蔵運動公園も有料化となって久しい状況。同じように完全無料ではなくなっています。合せれば大きな敷地になる全体の端と端に、遊具の遊び場は分かれる状況でもあります。
どちらかを検討するにあたっては、もう片方も把握することが望ましい公園です。どちらの特集も目を通して頂ければ万全になります。遊び場としての使い勝手からいえば、ふたつはひとつとしたいものになっています。
子どもが大型遊具で遊べる砧(きぬた)公園をしっかり解説!
なんといっても注目したいのはみんなのひろば。先駆けとなった考え方がどうあれ、楽しく過ごせる遊具広場が整備されました。ほかに懐かしい感じの遊具がある、子供の森が遊具での遊び場。さらに広い芝生のエリアが、たくさんあるのも特徴です。
みんなのひろばにある遊具を紹介
ぐるぐるマウンテン(6~12歳むけ)は、みんなで協力して遊べる遊具です。バケットシートのような部分もありしっかり乗り込んで回してもらうのも、回してあげるのも遊びになります。
友達と一緒に遊べる皿型ブランコ、ハーネスが付いたイス型ブランコなどの大型ブランコは、よくある座板のものと並んで、あらゆるスイングを体験できます。
大型コンビネーション遊具がふたつありどちらも、特に船型のみらい号のほうは車椅子や歩行器で、そのまま乗り込むことに考慮されています。
遊具の周りにはゴムチップを敷き、転んだ場合でも怪我をしにくい工夫済み。もっともこれは、もうよくある手法ではあります。
きりかぶ、迷路、スプリングシーソー、おはなしフラワー、楽器遊具など、素朴で簡単に楽しめる遊具もズラリ勢揃い。
広場は落ち着きあるカラーで統一されている反面、ちょっと注意が必要な遊具は視認性高く色を使い分けています。
みんなのひろば利用時間:9時~17時(9~3月は16時まで)
隣り合わせて趣向の違う遊具も一体化
レールウェイ式ターザンロープとわくわく広場はとりあえず別枠の柵の中!隣接するも一層の冒険を試みるターザンロープと、これも隣合わせで幼児専用エリアとなるわくわく広場もあるのです。
とかくなんの刺激もなくては、遊ぶ意欲そのものが湧きにくく、続かないものです。また年齢に合せてというのも、公園遊具のリスクとハザードを考えるうえで大事なこと。
誰かに一方的に配慮するのではなく、「みんなで」という考え方は、隣で囲われたすべてを含めて実現しているといっていいでしょう。
インクルーシブ公園?ユニバーサルとは違う?その理念とは
障害の有無にかかわらず、全ての子供たちが楽しむことができる公園づくりを目指すうえで、ことさらにインクルーシブという言葉で強調しているのは、健常者と障害者を別々に遊ばせることとは違うということです。
ひとところで分けてある(統合=Integration)、近くに分けてある(隣接=Segregation)、特に考慮しない(除外=Exclusion)というやり方でなく、同じ遊具で遊ぶ(一体=Inclusion)ことを指しています。
だれもが遊べる児童遊具広場の整備について東京都の方針を引用
東京都では、誰もが自分らしく輝くことのできるダイバーシティの実現に向けて、障がいの有無に関わらず、子ども達が安全に遊ぶことができる遊び場の整備に取り組んでいます。これまで、障がいのある子どもを育てる保護者の方々や支援する団体の方、ユニバーサルデザインに関する有識者等のご意見を参考にしながら設計を行い、令和2年3月には砧公園において「みんなのひろば」がオープンしました。
参考URL https://www.bornelund.co.jp/page/inclusive-playground_2011
インクルーシブという時には、ユニバーサル(いろいろな形、やり方に対応できる、普遍的な)という概念は含むものの、多様なものを用意するのではなく、一緒に同じもので! という意味が込められていることになります。
素朴な遊具の子供の森とファミリーパーク、いろいろな顔を持つ砧公園
インクルーシブなコンセプトでは先駆けとなった、みんなのひろばのところには、以前から遊具はありました。個性的なものではあったものの、強烈な魅力を主張するとまではいかなかった砧公園には、これまた別にみんなのひろば以前の遊具も残っています。
あまり流行らなくなってはいる従来型のジャングルジムや、4連と2連のブランコ、素朴なラダーに小さなすべり台といったベーシックといってよい公園遊具に限らず、アスレチックテイストのちょっとしたコンビネーション遊具。
さらに輪をかけてアスレチックな、複雑に組まれた丸太渡りに、小さなものながらザイルのネット遊具もあります。ちょうど公園の中央のあたりの子供の森となる部分です。世田谷美術館を挟んである、パークス砧という売店の前、ファミリーパークとの境目です。
砧公園は東京の主要な大きな公園のいくつかと同じ、大日本帝国の時代の大緑地計画が基になっている歴史があるものです。公園の西側を大きく占めて自転車の乗り入れ、犬の連れ込みなどができないエリアとして区切られているのがファミリーパークの部分。
公園で所蔵している古い航空写真には、戦後の一時期ゴルフ場として使用していた様子も写っています。かつての砧緑地は都立ゴルフ場、東急のゴルフ場を経て都市公園として開園したのは1957(昭和32)年のこと。
砧ファミリーパークとなったのがこのゴルフ場跡で、砧公園のファミリーパーク部分はこの名残りといえ、そうしたことを知ったうえでグーグルマップなどで航空写真を確認すれば、芝生の広場が各ホールだったことが偲ばれるようになっています。
ファミリーパーク部分の周囲には、柵も立てられてサイクリングコース(遊歩道としても共有)が巡っています。随所に簡易なゲートがあり、内側はまさしく芝生で思い思いに過ごす本来の公園らしいオープンスペースです。
砧公園としてのこの地のありかたは、こうして始まったもの。東側のゲート際、子供の森の前のパークス砧は、そんな利用の際に特に役立つ都立公園の売店ブランド。軽食、おやつや広場での遊び道具なども調達できます。
現在の姿はのちに運動施設や素朴な遊戯施設が加わったもので、さらに世田谷美術館やみんなのひろばによって違った特徴も生まれています。かつては刺激的な遊び場としては物足りない面があったのも、新機軸が打ち出されたのも、ただ歴史の1ページ。
そして砧緑地としての前身を考えれば、都と区という設置者の違いあれど、やはり砧公園は大蔵運動公園と一体の面があるということ。砧公園同様に発展して形を変えてきた、運動施設が主体の総合運動場のほうにも、見逃せない遊び場があります。
砧公園を訪れるには(アクセスについて)
住所:世田谷区砧公園1-1
連絡先:03-3700-0414(砧公園サービスセンター)
公式サイトからの引用
東急田園都市線「用賀」から徒歩20分 または東急コーチバス(美術館行き)「美術館」下車
小田急線「千歳船橋」から東急バス(田園調布行き)「砧公園緑地入口」下車
小田急線「成城学園前」から東急バス(都立大学駅北口行き)「岡本一丁目」下車
【自動車を利用する場合】
駐車場:有料(砧公園駐車場236台)
自動車で砧公園を利用する場合には、まず公園の施設である有料の砧公園駐車場を利用するのが確実です。環八に面する位置になる駐車場は、美術館通りを(西に)入れば、すぐに入口にたどり着きます。みんなのひろばとは隣接しています。
駐車料金(普通車):300円(1時間まで、以後20分毎に100円)
最大料金 1200円(入庫後12時間、以降繰り返し適用)
駐車場営業時間:24時間
料金支払い時には高額紙幣(一万円札、五千円札、二千円札)は使用できないことに注意です。s-park(https://www.s-park.jp/)で満空情報をチェックできます。
大蔵運動公園も利用する場合には、総合運動場(大蔵運動公園)の有料駐車場(30分100円、6時~21時30分)を利用するのも手です。詳細は関連記事(間もなく公開)をご参照頂けるようにします。
また南側の道路(東名高速高架際)にはパーキングメーターが設置されています。このスペースは9時~19時以外と、日祝日は開放されています。ただし、あまり数がありません。
最寄インターチェンジ:首都高速道路用賀(東名高速道路東京)
高速道路からは、環八に降りる出入口が最寄です。都心方面からなら反対車線の用賀料金所の先、東名高速からならば、川崎ICのすぐ先にある東京料金所を抜けてしばらく走った先です。
首都高速道路と東名高速道路は繋がっています。首都高速道路で来たならば料金所などはなく、そのまま環八に降ります(用賀IC?)。東名高速道路で来たならば、東京料金所で精算したのち、少し走った先で環八に降ります(東京IC?)。
どちらの場合でも、環八を直進することはできません。首都高速から来た場合は右折して公園駐車場を目指すことになります。東名高速からは公園横で一般道に合流したのち、左折して駐車場を目指します。
【公共交通機関を利用する場合】
最寄駅:東急玉川線用賀駅(パークブリッジまで約1.1 km)
用賀駅から砧パークブリッジを目指して、環八を橋で渡ればみんなのひろばです。そうはいってもすでに道を知らなければ、このルートを取れるかどうかは疑問があります。首都高速の高架の下を進めば、公園の辺りにはたどり着きます。
バス便を利用したいならば、世田谷美術館を目指すのは分かりやすい方法です。用賀からだけでなく公式サイトで、成城学園前駅や千歳船橋駅からのバス便の案内もあります。これら小田急線の駅も比較的近いものの、歩いて向かうのは現実的ではないです。
特に成城学園前駅からのバス路線は、たくさんの路線が運行していて、周囲のあちこちを通ります。そうした路線の各停留所から目的地への距離の問題もあり、すでに事情を知っているのでなければ、あまりお勧めはしません。
まとめ:変わり続ける新機軸は隣の公園も含めてのこと!
元はひとつといえる砧緑地から続く緑地帯は、都市公園としてひとつは大きな都立公園の砧公園、運動施設が充実の世田谷区立の大蔵運動公園として、どんどん整備が進んできて、いずれにせよ遊び場としても魅力的な場所です。
インクルーシブな機能も加わった砧公園、そもそものファミリーパークでの自由な遊びも思う存分楽しめて、さらに隣にもまだ加わるものがあります。やはりどちらも利用するのがよさそうです。
公式サイト:東京都公園協会 公園に行こう 砧公園