公園とは誰しもが自由に、余暇を充実させられるように設けられた場所。特に都市公園ならば法律からして、皆のためのオープンスペースとして機能することが定められた場所です。
自由に! ということが大切な場所であるだけに、公園で楽しく過ごすためにも、その自由とは自分勝手とは違うことを、しっかり認識するほうがよさそうです。あくまで誰しもが自由ということ。
ならば自らの行動が、誰かの不自由に繋がることは望ましくありません。公園の利用にあたって、ちょっとした疑問、こんな場合はどうするのがいいの? といった問題について答えを探してみます。
まずはウェブサイトなどでもよく見かける話題を注視して、こんな疑問を抱いているのだなと感じる内容から仮想の質問集を作り、それに対してモデルケースになりえることを考察してみます。これで問題解決となれば幸いです。
また今回の特集で解決してみよう! という疑問は公園の利用に際してのいろいろ。そもそも公園とは? 何? どんなもの? といったことならば、公園ガイドや公園総まとめに詳しく載っています。そうしたことについては、別途該当の記事をご利用ください。
【公園の疑問その1】大型遊具を探したい!ランキングするなら、どうなっている?
答え:簡単にランキングなどできません。
都市公園では大型遊具は「遊び」のために用意された遊戯施設とされるものです。遊戯施設について定めらたことをみてみると、意外に思われる方もいるのでは? というくらいに具体的に細かく法令に書かれています。
ただし、大型遊具というものについては一切の記述はありません。だからそもそも大型遊具って何? ということには、決まった答えはなく、とにかく大きなものという以外にはっきりとした定義の方法はありません。
つまり大型遊具をランキングをしようと思っても、どれが対象になるのかさえ分からないということになります。ひとつの考え方として、おもちゃ屋さんで一般的に買えるような玩具より大きければ、大型であることに違いはないです。
ちなみに国土交通省の指針における(公園)遊具とは、おおむね幼児から小学生を利用者として、本体の一部が地面に固定されているものとされます。こうして玩具や遊び道具は除外するとしてもいいでしょう。
では遊具の中で近所でよく見るようなものよりも大きなものとする! としても、簡単に分類できません。というのも、公園にある遊具の大きさに着目したならば、多くの場合に規格外の大きさを誇るものは、いわゆるコンビネーション遊具と呼ばれるものだからです。
複合遊具ともいわれるこうした遊具は、実際にはたくさんの遊びが繋がっているものです。「子どもと楽しむ公園」シリーズで遊具の御三家として、どこの公園でも比較的見かけるものとして、すべり台、ブランコ、鉄棒を挙げています。
そうした3つに加えて、標準セットとしているのが砂場。ただし砂場をコンビネーションに加える例はまずない(砂場に立てられているケースはあり、例えば花園中央公園)にせよ、滑る、スウィングする、掴る、渡るといった遊びのパーツが組み合わされています。
いろいろな要素が合わさっているだけに、順位をつける場合にはたくさんの視点が生まれてしまいます。そうはいっても、なんにせよランキングというのは、興味をそそるものではあります。
せっかく時間を取って、読んで情報を得るならば、せめてそうした要素に注目してあるランキングがよいかと思います。また世間常識的にいっても巨大な何か! に該当しそうな遊具というものが単独でも存在します。
こうした遊具ならば、大きさで比較してみることも可能になるでしょう。また都市公園でなくとも、大きな遊具が用意されて遊べる公園のようなところもあります。一部のこどもの国は、都市公園ではなく児童厚生施設で、施設の児童遊園部分に遊具があったりします。
あきれるほどに遊具が立ち並ぶ場所といえる例が、愛知こどもの国になります。特にあさひが丘と呼ぶエリアがまさしく公園のようで、遊具が数え切れなく、とても大きなもの含めて種類も豊富な場所です。こうしたことから、こどもの国にも注目です。
【公園の疑問その2】大型の公園って具体的にどのくらいからが該当するの?
答え:近所の人のための公園でないもの! とするならば目安はあります。
都市計画によって整備されてきた公園という意味の都市公園は、すでに公園というもののイメージを確立する存在。日本国が成立した頃(日本国憲法以降)に定められた、都市公園法が目指したレベルでの普及は、ひと段落しています。
地方公共団体が設置する都市公園の種類 | ||
主として街区内に居住する者の利用のための公園 | 面積0.25 haを参酌 | |
主として近隣に居住する者の利用のための公園 | 面積2 haを参酌 | |
主として徒歩圏域内に居住する者のため公園 | 面積4 haを参酌 | |
主としてひとつの市町村の区域内に居住する者のため公園 | 総合的な利用 | 充分機能を果たせる面積を確保 |
主として運動のために利用 | ||
ひとつの市町村の区域を超える広域に居住する者のための総合的な目的で利用する公園 | 充分機能を果たせる面積を確保 | |
主として特定の目的 | 公害や災害からの緩衝地、風致の享受のため、動植物の生息地、生育地としての樹林地等の保護のため、主として市街地の中心での休息又は鑑賞のため などは配置、面積を条例で定める |
これからはもっと質的な充実を目指そう! という話になってきていて、かつてあったような面積の基準というものはなくなりました。近所の人(ほぼ徒歩圏内まで)のためを想定する公園以外は、充分機能を果たせるだけの面積を確保することになっています。
大型の公園ってどのくらいが該当するの? という疑問に対しては、このひとつの市町村くらいの区域の人が皆で、少しくらい遠くからでも利用することを想定している種類は、判別のポイント。これら種類以上ならば、もう間違いなく大型といってもいいでしょう。
かつての都市公園法施行令に定められていた公園の種類と基準
大規模公園 想定対象エリアは市町村の区域を超えた広域的なもの |
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レクリエーション都市 | 大都市圏その他都市圏から行ける全体規模1,000 haを標準とする |
広域公園 | 地方生活圏等の広域ブロックに面積50 ha以上を標準とする |
都市基幹公園 想定対象エリアはひとつの都市 |
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総合公園 | 都市規模に応じた10 ha~50 haを標準とする |
運動公園 | 主に運動の目的で都市規模に応じて15 ha~75 haを標準とする |
住区基幹公園 想定対象エリアは街区、近隣、徒歩圏 |
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地区公園 | 1 kmを利用範囲(誘致距離)として想定し4 haを標準とする(特定地区カントリーパークではこれ以上) |
近隣公園 | 500 mを利用範囲(誘致距離)として想定し2 haを標準とする |
街区公園 | 250 mを利用範囲(誘致距離)として想定し0.25 haを標準とする |
国営公園 想定対象エリアはひとつの都府県を超える広域。300 ha以上を標準とする |
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緩衝緑地等 | |
特殊公園 | 風致公園、動植物公園、歴史公園、墓園等特殊な公園で、その目的に則し配置するため特に規定なし |
緩衝緑地 | 主に公害対策で設けられる緑地で、目的に応じて配置するため特に規定なし |
都市緑地 | 都市の自然環境の保全と改善、景観の向上を図るのが主な目的の緑地。1箇所あたり面積0.1 ha以上を標準とする。特に緑の増加を意識したものについては0.05 ha以上でもよい。 |
緑道 | 災害時の避難路の確保、都市生活の安全性、快適性の確保などを主な目的に、歩道または自転車道路を主体とする緑地。幅員10~20 mを標準とする。人の集まる場所を相互に結ぶように設置。 |
そうした公園はかつては、都市基幹公園とされて、少なくとも10 ha(ヘクタール)以上を確保するように定められていました。さらに市町村の区域を越える利用を想定するものは、大規模公園とされて、50 ha以上を標準と考えられていたのです。
そしてこの目安は、今でも参考にされるべきものとなっています。また、こうした具体的に定めれた数字で、別の目安になるのが4 haになります。そして4 haというのは広さを理解するのに、都合がいい面がある数字です。
おおよそプロ野球を開催できる程度の野球場の建築面積は、この4 ha前後でイメージできます。東京ドームはこれよりやや広く(プレイをするフィールドは約3分の1程度の面積)、甲子園球場はやや狭いくらいになります。
かつての都市基幹公園で運動公園とされていたものは、15 ha以上を求められていて、運動公園を名乗る公園は、この基準で設置されたものと考えてよいです。運動公園というからには、野球場を丸ごと含むことが多いでしょう。
さらに、サッカーコートや陸上トラック、テニスコート、体育館などもある場合がほとんど。都市公園ではこうした運動施設は、かつては敷地面積の半分まで。それは今でも参酌(参考にする)基準となっています。
野球場ふたつくらいは、作れる基準があったということで、それで半分を占める程度が想定されるのですから、これを小型公園(大型でない)とするのは、無理があるというものです。
では野球場一個ぶんくらいになる4 haという面積の公園は、どのようなものが想定されているのでしょうか。これは徒歩圏を利用の範囲と想定する公園(地区公園とされていたもの、1 km程度の距離が前提)が該当して、その場合にかつての標準面積だった数字です。
徒歩圏の利用を想定する公園で4 haは、いまでも政令で参酌基準とされています。この程度の面積の公園は、大型でしょうか? 決して狭い! などとは言い難い面積ではあるため、考え方により微妙なところです。
こうした流れでポイントになる数字は他に、2 ha(かつての近隣公園、500 mほどの利用を想定)、0.25 ha(かつての街区公園、250 mほどの利用を想定)があって、これも以前は標準、いまは参酌するべき基準で政令で明確に示された数字です。
0.25 haというのが、テニスコート1面(ほぼプレイするライン内)程度に当たります。このくらいの面積ならば、大きくはない! 2 haならば大きいとまではいえない! といった程度に思えます。
いずれにせよ基本的な考え方で、近所の利用を想定する場合の4 haと、市町村以上を想定する10 haの間に開きがあります。大型公園とはどのくらい? という場合には、ここで線引きをするのが妥当のようです。
つまり大型公園というからには、10 haは欲しいといえ、それは東京ドームがふたつは入る面積になります。逆にこのように決めてしまうと、そこそこ大きく思えるのに、大型公園ではないの? と疑問になる場合もあり得るということになりそうです。
考えてみたいのは、例えば駐車場の必要性についてなどです。行政の立場からすれば、徒歩圏であれば駐車場などは(身障者用などをのぞけば)要らないという判断も、妥当といって差し支えなくなります。
公園施設の充実ぶりも加味して、大型の意味を考えようとすれば、利用者が訪れる想定の距離から導かれる、4 haと10 haの間にある区別で線引きしてみようということが、もっともらしさを増す! といってもいいでしょう。
【公園の疑問その3】公園デビューできるのって、いつ頃から?
答え:「子どもの」公園デビューと限定した場合でも、0歳から可能な施設あり。
公園デビューは、保護者と子どもが一緒に迎えるものではあります。マスメディアで取り沙汰されて、ウェブメディアの時代にもその余波からか、安易に話題にされることもありうる「公園デビュー」。
例えばママの世間付き合い云々で、問題が生じるのかどうかはいざ知らず、子どもの発育状況の面からすれば、明確な発達段階で考えてみることは可能です。赤ちゃんが外気に触れ始めるのに適切な時期といえば、首の据わりはひとつの判断材料といえます。
首が据われば、赤ちゃんはハイハイの段階に向かい、ここからお座りができるようになり、さらにつかまり立ちまでは一区切りできる状態です。ベビーカーに乗せて、次第に外気に触れさせようという時のお出かけ先には、近所の公園はもってこい。
ただし、この段階では遊ぶ! というのは難しい公園が多そう。公園でなく児童館など、屋内ならばハイハイしたり、おもちゃを使わせてもらったり、遊具につかまり立ちをしたりといった遊びに、徐々に触れていくことになります。
本格的に公園デビューとなるのは、やはりしっかり歩けることが前提? なのかと思います。それは一般的には1歳頃から。ほとんどの子どもが歩けるとなると、1歳半程度が目安です。そして歩けるようになったならば、どんどん遊ばせてあげたい! のがやまやま。
そんな願いを叶えるような幼児向け遊具といえば、パネル遊具が代表例。アクションを伴う遊具の前に、手技を磨くために利用できるのがいいところです。またこうした目的のために、公園でかねてから欠かせないのが砂場。
より自由に手を動かす遊びに取り組める砂場では、水は重要なアイテム。砂場で水道が活用されていれば、発想はもっと豊かに開放されていきます。本格派のじゃぶじゃぶ池や流れがある水辺の広場が、季節には注目の中井中央公園(神奈川県中井町)。
水辺の広場に限らず、水を流して遊ぶほうに重点が置かれた遊びの広場のほうの砂場は、また変わった魅力を放っています。県内有数のローラーすべり台(推奨は6歳から)に取り組む、ずっと前からぜひ利用したい公園です。
そうして見守りが必要ではあっても、幼児向け遊具である程度遊べるようになる前でも、家だけでは持て余すくらいに、運動能力がついてくるはずです。その期間こそ公園の本来の役割、オープンスペースであることは貴重です。
それでは、遊具云々は別として、公園デビューはおおむね1歳頃からで、砂場やパネル遊具があれば、その頃から存分に! なのは確かだとして、場合によってはもっと早くから楽しめる遊び場があるケースも出てきています。
それが、すくすくランド系遊具ということになります。全国的にというよりも中京圏を中心に、九州などでも見かけることが増えてきたすくすくランドがあれば、公園デビューは0歳から。首が据わったならば大丈夫という可能性が出てきています。
首が据わって、ハイハイなどが始まり、つかまり立ちをへて歩き始める! と発達史を書いたものの、それはすくすくランドがない場合の話。すくすくランドでは寝返り遊びからが最初のステップ。
そしてつかまり立ち、歩き始めと、一連の過程としてではなく、それぞれに対応する遊びが用意されています。さらには0歳~2歳育児特有の問題への解決策まで詰まった遊び場で、近くにあったならば大注目な存在感を発揮しています。
【公園の疑問その4】公園にあるものは自由に貰っていって構わないの?
答え:構わないといえる状況ではないものの、公園の運用次第です。
他人のものを自分のものにした場合、窃盗ということになり、自分が所持(占有)していたとしても、他人のものならば横領になる場合があって、どちらも犯罪に問われる行為です。
例えば落とし物を自分のものにしてしまうと、遺失物等横領罪を犯したことになります。こうした犯罪の厳密な定義は置いておいて、何かを勝手に自分のものにしてしまうのは、好からぬ行為。
公園に固定して設置されてあるものを、貰っていいのかと疑問に思うことはないであろうとはいえ、たとえば、公園のトイレにはトイレットペーパーが置いてあり、これにしても持って帰るのは明らかに問題があります。
それでも使用する形で消費は、皆がしています。つまり自由に利用してくださいという意図で置かれているトイレットペーパーを、持って帰ることが問題があると断じるのは、持ち主(公園管理者=国もしくは地方公共団体)の意図を違えてしまうからです。
問題ある行為のポイント
物を盗む行為を犯罪とする窃盗罪は、窃取を行うことで成立します。
他人の占有する財物を占有者の意思に反して自己又は第三者に移転させる行為
窃取については、このように法律に書かれています。占有者の意志に反する行為というところがポイントで、公園のトイレにトイレットペーパーが置いてあるのは、飾ってあるのでもなければ、配布するためでもないでしょう。
こうした常識を世知辛く捉えてしまっては、持って帰らないように注意書きを備えるか、トイレットペーパーは設置しないという判断になってしまいます。トイレットペーパーはその場で利用すべきものという常識を疑うとしても、観点はもうひとつあります。
それは公園は誰しもが自由に余暇を充実させるための場所ということ。ならば、公園施設であるトイレに備えられた紙を独占してしまえば、利用に当たって不自由になる人が出てくるということです。
ロールを持って帰ってしまえば、他の方が困る可能性が大きくなります。指定管理者となる業者など、実務を委託されている者含めて公園管理者は、皆が持って帰る前提で準備はしていないことが、用意された物の数などを見れば明確です。
利用することと持ち去ることの違いを、こうして理解するとして、公園にはもう少し判断しずらい問題はありそうです。公園を緑地として確保するという考え方もどんどん進んできています。
例えば桜が満開の季節、枝を折って花を持ち帰ることはどうなのでしょうか。折って持ち帰えるのは、窃盗罪が成立してしまう行為といえます。都市公園の木々(植栽)は公園施設であり、森林は公園設置者(国または、地方公共団体)の占有しているものだからです。
枝を折らないよう警告がなかったとしても、自由に楽しむために持って帰って花瓶に指すのだと主張するとしても、他の利用者が自由に楽しむことを妨げる行為に繋がることになるでしょう。
公園であるからには、積極的に配布されているものがある可能性はあります。基本的にはそういったものでなければ、犯罪かどうか以前に問題のある行為と考えるのがよさそうです。
そうはいっても、例えば落ちているどんぐりを拾って、持って帰るのはどうなるのでしょうか。公園がなんらかの意図で、落ちているどんぐりを収穫するつもりがなければ、問題はないでしょう。
そういった場合、落ちているどんぐりは、もう無価値(所有者はいない=無主物に該当)だといえるからです。それではきのこや筍が生えていたとして、それを採集するのはどうなのでしょうか。簡単に取り去れないきのこというのも、あまりないでしょう。
そうであれば、土地の定着物として不動産には該当しなそうです。逆にすでに生い茂っている竹は容易に移動しえない不動産になるのでしょうが、筍はどうでしょうか。不動産かどうかは別として、少なくとも動産として公園の所有権は発生し得ます。
シェイクスピアの作品にあるような、血と肉のような話をしなくとも、さらに聞き慣れなそうな罪状ながら、森林窃盗罪というものがあります。森の産物に対しての窃盗罪として森林法に定めがあり、きのこや筍は森の産物に当たります。
栽培されている訳ではなく、自然に生まれたものであっても、こうした法律もあるのです。いずれにせよ、公園側がどうしたいのか? という観点は生じることになります。公園として採集して楽しんで欲しいものは、取って構いませんし、そうでなければ問題があります。
取って楽しんで欲しいと許可されているものであっても、独占することはいけません。他の人が楽しめなくなってしまうからです。基本的には同じ考え方になりますが、次に魚や昆虫の場合も見てみましょう。
【公園の疑問その5】公園の魚は釣ってもいいの?
答え:釣りを容認する公園が多いのには理由があります。
そもそも公園にいる魚というのは、誰のものになるのでしょうか。公園のロケーションもさまざまなため棲んでいる魚も海水魚だったり、淡水魚だったり。つまり海のもの、川などのものという違いもあったりします。
都市公園の遊戯施設には魚釣場があると政令に定められています。いわゆる釣り堀があったなら、魚を釣って楽しむ場所。料金が掛かるのかどうかは運用次第です。そもそも魚を釣る行為というものは、自由であることが大前提です。
魚はどこで生まれて、どこに泳いでいくのか、どうやって育ったのか、自然な環境の元では判別しようがありません。そうしたものは手に入れた人(占有した人)のものになるのが基本です。
ただし水産物というものは、重要な食糧であり、また食糧であるために漁業という産業が成り立っています。資源として守るためには、方策が必要なこともすでにしっかり認識されていることです。漁師の方が漁にいくことを「釣りに行く」とは、あまり言いません。
つまり、単純に釣りに行くという場合は、本来決まった道具と方法があります。この視点から水産物を採捕することについて、はっきりと区別する言葉があります。非営利の釣りに当たるものは、遊漁という言葉があり、これは漁具に制限があります。
一般的には竿もしくは手で釣り糸を使う、またはたも網などを使うことになります。
公園での釣りについてのポイント
公園で楽しむ釣りは、いわゆる遊漁に当たるもの
このうち釣りというのは、釣り糸を使うほうに限定した言葉と思ってよいでしょう。営利目的となる漁業に置いても、こうした手法もあり得えたとしても、多くはもっと一気に大量に捕獲できる技法を凝らしています。
具体的な遊漁における漁具の該当例
該当 竿釣、手釣、網いずれも船舶を使用しない やす及びは具 徒手採捕(手掴み)
非該当の漁法 船からのまきえ、潜水器 カゴ 集魚灯 はえなわ など
(遊漁船事業は法律による認可事業)
こうした遊漁に当たる方法に収まっている釣りであっても、漁業との兼ね合いで水産物の採捕が制限される場合(魚の種類によってを含む)や、場所はあります。とくに内水面と呼ばれる陸に囲まれた水域(川、湖、池、沼など)は、規制があると思ってよいです。
都市公園の海辺は、基本的に漁業の操業場所にはなっていないはずです。公園施設でない内水面(例えば敷地内を自然に流れる河川)の利用は、内水面の管理者と都市公園管理者の間で協議があるはずで、漁場になっていれば、どうすればよいのか告知がなされることになるでしょう。
こうしたことから、公園で釣りをしてよいのかという疑問に答えれば、釣り、具体的には遊漁にあたる行為である限り、問題ないとされていることが多いです。禁止されているとしたら、保護のためや、希少種を敢えて生育しているなどの理由があることでしょう。
【公園の疑問その6】公園で昆虫採集してもいいの?
答え: 注意点を守れば問題ありません。
昆虫については、魚など以上に誰のものなのか分かりません。自然に生育しているものは、むしろ無主物であることのほうが、はっきりしていることです。つまりカブトムシやクワガタなど、時には販売されることもあり、商業価値があるものでも大丈夫。
無主物は手に入れた人のものになります。それは他人の土地の昆虫であってもそうなるのです。ただし、土地の利用については、持ち主がどうするか決める権利があります。また住居に当たる場所に、勝手に立ち入れば住居侵入罪に問われます。
誰かが販売しようと、繁殖させている昆虫がいて、そこが飼育場であることが明らかなのに持ち去れば、窃盗になります。公園内ではそういった事例に該当することはないので、問題はないといえます。ただし、公園利用はあくまで、皆が等しく余暇を充実できるようにするためのものです。
昆虫を取ることで、環境を破壊したり、独占したりして、皆が楽しめなくなるのはいけません。必要であれば公園側が詳細は判断を示しているはずですので、やはり管理者の方針を聞き、仮に納得がいかなければ、しかるべき手段で改善を求めることになるでしょう。
【公園の疑問その7】公園の自由広場などでキャッチボールやリフティングしてもいい?
答え:皆の迷惑にならないように注意すれば、ひとつの楽しみ方です。
公園でジョギングなどの運動をするのは、ひとつの利用方法といえます。となるとリフティングで人に迷惑が掛かることはあまり想像できません。それがキャッチボールやサッカーボールでのパスなどになれば、それなりのスペースを占めることになります。
それでも相手が受け止められないかもしれない剛速球を投げたり、他の利用者の休息を遮ったりなど、迷惑にならない範囲ならば、問題ない楽しみ方だといえます。そういう意味で、公園は目的によってエリア分けがされていることが多いものです。
遊び方によっては、エリアを指定されていることや、禁止事項となっていることはあるでしょう。これも公園の判断があったならば、従った方がよいことになります。あくまで判断は、自分も楽しめると同時に、他の方も楽しめる余地があるかどうかになります。
【公園の疑問その8】公園の施設で仲間内の大会を開催してもいいの?
答え:独占することは厳禁ながら、微妙な判断になります。
公園を自由に利用するという話の中で、積極的に有効活用するところに踏み込んで考えた場合、さまざまな工夫や発想があっていいのかどうか? 他の利用者の方と折り合いさえつけば、本来は望ましいことです。
公園管理者が民間委託(指定管理者制度等によるもの)されることも多くなるなか、管理が面倒だからなんでも禁止となるのは、公園の在りかたからすれば望ましいとはいえません。
運動を主な目的とする公園には、競技場もあります。たいていの場合そうした施設は、少々の利用料金を支払って、しばらく占有して利用することになります。プロの競技場もあるように、観客を招くような大会であれば、実際に開催の事例があるでしょう。
大袈裟な話ではなく、ある程度のスペースを占めてしまうものの、他の方の利用を排除しない範囲でできること、例えば、ゲートボールを数人で集まって、極めて私的なレベルで競いあおうとしたとします。
その場合に、公園の自由スペースを利用しようではないか! というケースはどうなるでしょうか。とにかく数の力で独占してしまうようなことには、問題ありといえそうです。とはいえ、数人が集結すれば、ある程度の時間過ごす権利も生まれるとも考えられます。
結論としては、他の利用者と譲り合えるかどうかがポイントになりそうです。他の方が全く利用できなくなるような状況でなければ、片隅で盛り上がる分にはなんら問題はないといっていいでしょう。
もし、数人によるゲートボール大会が繁雑に開催されるほど盛り上がるならば、ゲートボール専用のスペースを整備して、運用規則を定めるなどの対応が、公園側の建設的な態度ということにもなるのでしょう。
【公園の疑問その9】公園で自転車に乗ってもいいの?
答え:自転車は道路交通法による軽車両のため諸注意があります。
公園で自転車に乗るといって、想定されるのはどんなケースでしょうか。多くの場合は移動手段としてで、歩くだけでは手に余るような広さの公園では、レンタルサイクルがあったりもします。
とはいえ、レンタルサイクルがある場合は、サイクリングロードが定めれているケースがほとんどでしょう。というのも自転車は道路交通法による軽車両です。走行にあたっては法律によるルールがあります。
園路が歩道(自転車の通行を認める標識が掲げられていない)だとしたら、そもそも
13歳未満の子供や70歳以上の高齢者、身体の不自由な人が普通自転車を運転しているとき
以外に走行はできません(一般道で工事などによる、やむを得ないケースも例外になります)。逆に小学生以下は走行できることになるものの、見守りという観点からは、保護者は自転車を利用できないケースも多くなり、ついていくのが大変そうです。
他に自転車に乗るケースとしては、乗れるようになるための練習もあり得ます。確かに練習の場所としては、もってこいではあります。こうしたこともやはり、他の方の利用の妨げにならないことが大切です。
これも難しい問題だけに、明確に乗り入れ禁止の処置を取ることも見受けられます。逆に解決策としては、交通公園というものがあります。政令によって、交通安全のためとして設けられた事例があります。
どこにでもある訳ではないために、利用できる範囲に交通公園があれば、大人になってから練習したい方などには、願ってもないものといえます。
交通公園には、簡単に借りられる自転車が用意してあることが、ままあります。
【公園の疑問その10】児童館や児童センターは公園のようなもの?
答え:児童館や児童センターに児童遊園があれば、それはほぼ公園のようなものです。
都市公園は都市公園法によって設置されているものに対して、児童館や児童センターは、児童福祉法によって社会福祉施設として設けらたものになります。児童福祉法による社会福祉施設を児童福祉施設と呼びます。
この場合の児童は学校基本法でいう小学生のことでなく、18歳未満の者をいいます。法律では14の種類を定めている児童福祉施設のうち、児童に健全な遊び場を提供し、健康増進と情操教育を図る目的で設置されるのが児童厚生施設。
児童厚生施設のうち屋内施設なのが児童館、屋外施設を児童遊園と呼びます。このため児童遊園は、公園の遊び場となっている部分と、目的も様相もほぼ同じものになります。都市公園は基本がオープンスペースで、建築物は必要最小限になっています。
そういった点で実は児童館は、公園らしいものとは言えないのです。ただし公園の敷地では、社会福祉施設が場所を占めることを、一定の割合で認められています。そのため公園の中に児童館があることは、ありえることです。
児童館、児童遊園は多くみられます。ただ大きな児童遊園は珍しいものです。あったとしたら「こどもの国」を名乗っているケースが多く、都市公園であるこどもの国もあるものの、こどもの国は公園として成り立っているのではないことが、ままあります。
また児童厚生施設には、児童の遊びを指導する者を置くことが厚生省令で定められているのも、公園とは違うところ。公園は子どものためだけではない、皆のためのスペース。児童館、児童遊園は公園とは違う管理体制になっています。
特に大型のこどもの国は、目的は子どものためながら、事実として大人を含めて自由に過ごせる場合が多く、そうした意味でも限りなく公園に近い存在だといえます。ただしこどもの国が、なんとなく大人の使い勝手が悪いケースがあるのは、そんな訳なのです。
まとめ:完全なる答えは管理者次第
公園利用に関して、利用者の行動についてや、利用者間での何らかの調整が必要になった場合、最終的な判断は法的に明白な問題はともあれ、決断するのは管理者ということになります。
公園の管理者とは、都市公園については(社会福祉施設であっても同じく)、国もしくは地方公共団体のことを指します。今では公園や公園施設が、指定管理者や設置・管理許可の取得者などの民間に任されていることもあります。
それでも、あくまで委託されているのであって、明確なのは法令(法律、政令、条例)に記されていることが基本です。もし、なんら定められたことがないならば、基本は自由であって、思いのままに過ごせることがなにより大切なことです。
業者の都合で自由が制限されることなど、もってのほか。そんな場合があったならば、すみやかに改善されるべきです。そうした前提のもと、利用者が気遣うべきなのは、皆が自由に利用できること。
具体的にいうならば、譲り合いといった精神が必要になることは、いうまでもありません。自分が楽しんだぶんだけ、同じように誰もが楽しめることが大切。どうしたらいいの? と疑問に持つことがあったならば、そんなことを基準に心に照らしてみるとよさそう。
特に公園遊具の利用に際しては、子どもたちがそんな社会性に照らした行動ができるよう、仕組まれたものがあります。自由に利用できるからこそ、育まれるものがある公園施設。大人にとっても、よい試金石になるならば、公園の価値がさらに増すというものです。