大型遊具が、ここぞと揃う大規模公園。その楽しさは格別ながら、日常使いで便利な近隣の公園というのも重宝なものです。子どもと遊びに出かけて「ここはいいな」と思えた場所をご紹介しています。
便利さとは何かを厳密に問うたとしても、見解は分かれるところでしょう。そうであっても、アクセスの良さについては大切なもの。日常使いを意識したならば、その優先度は高いものになります。
法律に基づいて設置される都市公園は、都市公園法施行令という政令で、さらに利用される想定エリアにより公園を分類し、求められる規模を定めています。大規模公園や都市基幹公園という分類の場合、ひとつの都市や、その区域を超えた利用が前提です。
そのため、公共性を維持するために無料の駐車場を備えるところがほとんどです。かつての藩幕体制の頃の藩主や幕府の領地に由来するものなど以外、そういうスポットは、だからこそ駅からは離れた場所にあるのが通例になっています。
そうした規模による分類いかんによらず、いずれにせよ公共交通機関で手軽に行ける利便性のある公園は、誰にとっても使いやすく、さらに駅前ならば、公園に行く前も後もどうするかの選択肢も多く、ありがたい遊び場といえます。
大都市では、網の目のように鉄道が発達している場所があります。そんな場合には駅は、人の集まるところには違いないとしても、役割はそれぞれ。確かに中には、公園がランドマークになって駅名となっているケースもあります。
地方都市では駅が、他の公共交通機関のターミナルとなるケースも多いです。そこでは地域のハブとして、駅前というのは重要な立地。けれども、自動車が交通手段として代えがたく、駅が絶対の存在ではない傾向もあります。
そんな中で、地方の都市圏の駅は面白い存在。そんな場所には手軽で身近な公園に、大きな遊具が存在していたりします。静岡県の県都、静岡市のビックターミナルが静岡駅。東海道本線で、そのすぐ隣にあるのは東静岡駅。
そこからすぐ近くの駅前公園は大型遊具で遊べながら、公共交通の利便性が高いことが特徴です。こんな静岡市の場合をモデルケースに、いつものように独自に撮影した写真を満載して、人気の遊び場へのお出かけに役立つよう、駅前公園を比較してガイドします。
子どもが大型遊具で遊べる静岡の駅前公園をしっかり解説!
大型公園では得てして、目指す遊具はエントランスから遠いもの。森下公園、池田東静岡公園、東静岡スマイル公園、静岡市の中心市街地にある3つの駅前公園は、こじんまりとして遊具の数も少なめ。とはいえ、公園に辿り着けばすぐに、大型遊具で遊べる気軽さがよいところです。
森下公園の大型遊具はどんな感じ
東海道新幹線の停車駅でもある、静岡市の中心となる駅が静岡駅。徳川家康が征夷大将軍を秀忠に譲った後、晩年を過ごし終世の地となった駿府城のある方とは逆側なのが南口。
静岡市の中心市街地に変わりはないものの、お城側とは違い、やや落ち着いた風情。背景には住宅街が広がります。
ならば! ということではないのでしょうけれども、森下公園にはビッグターミナルの目の前でありながら、いろいろな遊びが詰め込まれた大型コンビネーション遊具が置かれています。
それなりのローラーすべり台が発進していることでも分かる通り、高さもある遊具とはいえ、特徴なのは横への遊びの展開具合。ローラータイプに限らず、実に多彩なすべり台で遊べるだけでなく、回遊性もたっぷりな充実の遊具になっています。
すぐ隣にはターザンロープやブランコも置かれ、さらに傍らの砂場の周囲は幼児向けにしっかり対応した遊具が並び、コンパクトな敷地に勢ぞろいした遊びは、幅広い世代が心から納得できそうなものになっています。
園内にはごく浅い流れながらせせらぎ風の水路もあり、ちょっとした水遊びにも対応しています。
公園の駐車場はないものの、周囲には民間駐車場もたくさんあります。もっともここは、駅前といっていい立地。公共交通機関を利用するのに、いささかも不便はない場所になっています。
森下公園の目玉的存在の大型コンビネーション遊具は、ここが中心! といえそうな搭のところがなかなかに複雑な構造。これならば、ああして、こうしてと楽しく動き回われそうです。
それにしてもこの大型遊具、ちょっと変わったコンセプトを感じさせるところがあります。結果としていろいろなすべり台を試してみれるものの、最も目立つものといえそうな、ローラーすべり台も塔の最上部からのものではありません。
鉄の一本橋で横に抜けてから滑るようになっていて、その台場も一番高くないのです。
ならば一番上はどうなっているのかといえば、特にどうでもないというか、周りを見渡す場所であるだけ。
覗き窓や、音遊びなどは仕掛けられるものの、特に展望台風に作ってもありません。どうもあまり高さには、こだわっていない様子。
むしろ特徴なのは、できるだけ空中を歩くような感覚を演出したいかのような鉄棒の橋が、ぐるりと旋回して通じているだけ。
もうひとつの進入路は、足場付きの下りスロープによって、螺旋のチューブスライダーと行き来できるようになっています。
螺旋チューブスライダーの発進台となるところからは、網目を渡る橋がこれまた取り巻くように、ローラーすべり台へ向かう一本橋の袂と結ばれています。こんなように塔の周りを空中橋が、囲んでいるような形なのです。
そうした仕組みのそもそもは、地上からの網目の橋。少しだけ高さのある足場から低い場所の青い空中橋を上ると、縄の一本橋が分岐するところまで行けます。
中心の搭は階段で上れ、最初のフロアがトンネルチューブで連絡しています。
塔を取り巻くほうで続くのは、また網目の橋。色が変わって欄干部が赤、歩行部の縄の網は着色をしていない自然な色です。
さらに緑色のフラット橋を段々と渡ると、螺旋チューブのすべり台のスタートのところに繋がります。
足場付きのスロープを上れば最頂部、青い網の橋を行けば、ローラーすべり台へ向かう一本橋の袂になっているところです。
黄色いローラーすべり台に向かう一本橋の袂へは、中央の塔の階段も通じています。さらに鉄棒の空中橋を上れば、こちらも最頂部に続いています。
中央の塔の最初のフロアには、長い足場付きのスロープを使って上ってもいいです。その足元の辺りには、低い位置なりの挑戦的な旋回橋も!
黄色の旋回橋は、橋というより甚だしく難易度の高いラダー状のもの。とはいえ地面からはほとんど離れていません。だから歩行に当たって、ちょっと障害になる程度ともいえます。
取り巻く旋回部分の始まりの青い網目の橋、塔の階段、黄色いラダー橋のところ、すべての始まりはこの場所かのようですが、ここは実は裏口のようなものです。
本当の入口はこっちというか、なだらかなスロープ、もしくは飛び石で向かう大型コンビネーション遊具の下の部分は、お約束的に幼児でも関われるように作られています。
2連の小さなすべり台は、それを象徴するようなもの。このコンビネーション遊具、上まで行くに当たって、何か危険があるようには思いません。ただ、スケルトンな眺めになる部分があるので、怯まないとは限りません。
どうなるかはいざ知らず、上に向かいたくなかったとしても、最下層はパネル遊具が並んでいます。デッキもゆったり取られて、ここだけでも存分に楽しめそうです。
むしろ、最初のフロアで分岐する縄の一本橋で渡ったところに、ほんとうの難易度が仕掛けられています。
ジャンボすべり台は難なくこなせても、別腹でくっついているような遊具があります。
一連ではあっても、ちょっと別物のようなアスレチックテイスト。
少々難易度があるとはいえ、とりあえずやってみることは可能です。鎖の梯子だって、できるところまでで問題ありません。
クライミングウォールももちろん、同じことです。ロープの横渡りは低い位置にも手繰るためのものが渡されています。
ねじれた変形ラダーは、もともと遊びの発想が試されそうな遊具です。
そして隣にあるのはターザンロープ。シングルレーンでシンプルなものながら、あるとないとでは大違いな遊具です。
それからブランコも傍らに! 2連の一般的なタイプ。他に幼児用のものもあります。
コンパクトな園地、静岡市のターミナル駅前であっても、侮れない遊具揃えです。
そして刺激的な大型遊具だけで終わりではなく、幼児向け専用エリアもあるのです。しっかりと囲われて管理された砂場。スプリング遊具も動物モチーフで4つ。
加わるカバを模したものは、隠れ家風?
幼児用ブランコは、座椅子タイプのものが専用で準備されています。
小さなすべり台はカラフルで楽しげ! 幼児の遊び場としても、大型遊具の下に間に合わせであるだけはありません。
池田東静岡公園の大型遊具はどんな感じ?
東静岡駅も中心市街地が続く場所。そこにある駅前公園、池田東静岡公園の遊具は高さもある大きなものです。
特徴は気球を思わすような屋根を持つ高い塔。これが気球をモチーフにしているならば、最上階はさしずめゴンドラということになります。気球とは上昇下降をする機能がついた風船のこと。一般的には推進装置はありません。
高い所から景色を眺めるための冒険装置が気球だとすれば、この遊具は機能的に同じ役割を果たしています。
池田東静岡公園での場合、気球のように空高くは舞い上がれない代わりに、ローラー滑り台で気持ちよく地上に戻れるようになっています。
それに限らず、もうひとつの選択肢があるのがいいところです。
気球のゴンドラのような最上階からは、急降下を選んで地上に向かってもいいのです。旋回するチューブスライダーは高さも充分なため、しっかり2回転します。刺激はたっぷり、満足できる大きさです。
塔へ向かって上る階段の途中には、2連の滑り台もあります。ひとつはステンレスの滑走面がうねうねしたもの。おかげで滑る途中がスピードアップ。ひとつは樹脂製でいたって普通の形です。
さらに、3連となっているオレンジ色の滑り台もあります。
オレンジの滑り台は、黄色い樹脂のトンネルで結ばれた台場の、一方の先にあたります。もう片方の台場からは、吊りロープの一本橋が渡されています。
このトンネルの先に繋がっている部分は、高い塔のほうとは辛うじて繋がっているという仕組み。
鎖の梯子を渡っていけます。難易度は高めのコースになっています。
大型遊具の傍らには、ごく小さな子どもが対象の遊具も並んでいます。
遊具のある一画の駅方向には、芝生の広場があります。
東静岡スマイル公園の大型遊具はどんな感じ?
池田東静岡公園とは、東海道本線を挟んで反対側にあるのが、東静岡スマイル公園。立地的にはまさしく対決! に相応しい公園です。けれども、わざわざどちらかに軍配をあげる必要もないでしょう。どちらも一緒に遊ぶことに、何の問題もありません。行き来するには、15分もあれば充分です。
東静岡スマイル公園の大型遊具は、築山された丘がベースになっているのが特徴。大きな幅広のコンクリートの滑り台は、遊びの発想が試される自由度がうれしいもの。築山した意味はまさにここにあり! でしょう。
この丘に上る手段と、下りる手段がいろいろ用意されて、東静岡スマイル公園の遊びは展開します。
丘の上には吊りロープの一本橋。これが割と長めなのです。
一本橋が渡っているのはふたつの足場です。丘の上から梯子でアクセスするだけでなく、うねる足場付き登り坂と樹脂製の滑り台は、丘の下と連絡しています。
もう一方の足場には、クライミングウォールも組み込まれています。
一本橋のある丘の上では、さりげなくタイヤを利用した飛び石による迂回路でも遊べます。
ロープの上をさらに上のロープにつかまりながら渡るもの。坂に設置されるのは稀なのでは! さらに上では、縦に並んだロープを足場を頼りに進んで行きます。こちらも、坂を上りながらなのがハードなところです。
丘の下には幼児向けのミニチュア版も! キリンと椰子の実のようなオブジェが親しみやすいデザインです。
砂地となっている自由広場が遊具の丘の隣にあります。
静岡の駅前公園を訪れるには(アクセスについて)
JR東海道本線で静岡市のターミナルとなる静岡駅。森下公園については南口から少しだけ街路を進んだところにあります。東静岡駅のふたつは駅から少しだけ東に進むも線路際。東海道本線を挟んで両側に位置しています。
森下公園の立地とアクセス
住所:静岡県静岡市駿河区八幡2‐1
静岡駅の南口に出ると、目の前の高層ビルに向かう、ペデストリアンデッキが掛けられています。高いほうのビルはホテルセンチュリー静岡も並ぶ、サウスポット静岡のビル。
静岡ホビースクエアも入っているビルです。森下公園はこのビルの裏側のほう。ただしペデストリアンデッキは、森下公園に向かうためには、あまり意味はありません。
【森下公園、公共交通機関を利用する場合】
最寄駅:JR東海道線、新幹線静岡駅南口徒歩5分
道路を安全に渡るためにペデストリアンデッキを利用する意味はあるものの、目印にしたいのはホテルセンチュリー静岡です。まず駅からホテルの前を過ぎた先の交差点を南に向かいます。
次の交差点を過ぎた街区ひとつ先に、森下公園があります。静岡市立森下小学校の横を抜ける形になります。
ペデストリアンデッキを進んだとすると、サウスポット静岡の駅とは反対側で地上に下りることになります。地上からそのまま進めば、森下小学校の横を抜ける交差点です。
【森下公園、自動車を利用する場合】
駐車場:ありません
公園の周囲に、一般道を隔てて民間駐車場があります。ただし、市街地にあるため空いているとは限らず、駐車台数も多くはないです。それでも駅側にも、駅前のビルにも大きな有料駐車場はあります。
最寄インターチェンジ:東名高速道路静岡約3.6 km
池田東静岡公園と東静岡スマイル公園は東静岡駅の近く
JR静岡駅の東京方面の一つ手前、東静岡駅のすぐ近くにあるのが池田東静岡公園、東静岡スマイル公園です。線路の南側が池田東静岡公園、北側が東静岡スマイル公園になります。
ふたつの公園の連絡は、東静岡駅の駅ビルを貫く連絡通路を使うのが最短です。
池田東静岡公園の立地とアクセス
住所:静岡県静岡市駿河区東静岡2-4-1
東静岡駅南口から、県立文化会館グランシップを跨いで隣接するのが、池田東静岡公園です。南口ターミナルに面しているグランシップ前には、大きな芝生広場があります。土地の管理者云々は別として、機能的には駅前南口広場の一番端に大きな遊具があるかのようです。
【池田東静岡公園、公共交通機関を利用する場合】
最寄駅:JR東海道本線東静岡駅南口徒歩5分
南口ターミナルから東に向かい、線路際の歩道やグランシップ敷地内を抜けると見えてきます。
【池田東静岡公園、自動車を利用する場合】
駐車場:ありません
自動車で利用する場合にはグランシップ駐車場を利用するのが簡単です。ただし、公園真横のグランシップ敷地内に見える駐車場(主催者用)は、一般利用できませんので注意してください。
グランシップ駐車場(普通車約400台):1時間200円(グランシップ利用者は100円)
入庫後24時間まで最大料金は1,400円となります。
最寄インターチェンジ:東名高速道路静岡約7 km
東静岡スマイル公園の立地とアクセス
住所:静岡県静岡市葵区長沼663-1
東静岡駅北口から、広場や大きな駐車場を跨いで隣接するのが、東静岡スマイル公園です。こちら側にも駅前ターミナルに隣接する芝生の広場があり、その先に大きな送信設備が目につく、NTTドコモのビルがあります。駅から見ると東静岡スマイル公園は、ドコモのビルの向う側になります。
【東静岡公園スマイル公園、公共交通機関を利用する場合】
最寄駅:JR東海道本線東静岡駅北口徒歩5分
北口ターミナルから線路に沿って東に向かうとドコモ静岡ビルの先に大きな遊具が目に入ります。
【東静岡スマイル公園、自動車を利用する場合】
駐車場:ありません
市街地の駅前公園らしく自前の駐車場は用意されていません。ドコモのビルの手前の芝生広場(東静岡駅北口公園)の奥、国道1号線に沿って大きな民間駐車場があります。こちらの利用が便利でしょう。
最寄インターチェンジ:東名高速道路静岡約7 km
まとめ:遊ぶ遊具はピンポイント、周辺の便利さが気楽
1日遊び抜く気合いを込めて、大型公園を訪れる楽しさは格別のもの。ただし、それには時間が必要です。準備を重ねて手間暇はそれなりにかかります。もちろん、それはそれで楽しみながら、もっと手軽に遊べる場所もあると便利です。そんな存在なのが駅前公園。
公共交通機関の利用が便利で、遊ぶ前、遊んだ後に街での楽しみがあるのもいいところです。駅前公園と大型遊具の組合せは、そんなお気楽な公園ライフでも充分な満足を得られる、もってこいのものになるでしょう。
お隣の藤枝市にも同様の駅前公園があります。ビックターミナルの駅前公園という意味では、東京の新宿中央公園も、地下鉄都営大江戸線の開業により、都庁前駅の出入り口が公園内にも設けられました。けれども遊具があるのは、すぐ目の前ではなく、新宿駅からはやや離れています。