誰もが憩いを得られて、余暇を充実させるために置かれているのが公園です。法律で公園は、目安となる基準を満たして整備されるように定められています。決してちょっと空き地があるから、とりあえず公園にしよう! といった安易な考えのものではないのです。
皆がそれぞれ、楽しく使えるように、いろいろなことが決められています。ただし、そうした結果の現在形はさまざま。ましてやこの頃は、それぞれが特徴を持つように、国土交通省からも方針が打ち出されています。
ママ・フェンテのおすすめの公園情報では、子どもと遊ぶのに大注目の公園を詳しく特集したり、公園まとめで公園探しがうまくいくようガイドしたり、中でも公園総まとめでは、法律的な背景まで、すべてを理解できるように徹底解説したりしています。
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公園ガイドその1 公園とは?どんなものになるの
公園とは何かといえば、世の中の人が一般的に公園だと思っているものは、たいていが都市公園のことだといえるでしょう。そうであれば、公園とはオープンスペースのことだといってよいです。
基本的には、やたら建築物を立てられない、参考と(参酌)する基準となる建蔽率は2%以下とされる場所のことになります。都市公園法という法律に定められたもので、そして都市公園と呼んでいても、市街地にあるという意味はまったくありません。
都市公園は都市計画によるものという意味で、逆に都市公園は、地方公共団体もしくは国が設置する都市計画施設である公園もしくは緑地だと定められています。こうして都市公園を設置するのは、公共の組織以外は想定されていないことになります。
他に法律で定められた公園というものには、自然公園があります。国立公園に端を発し、都道府県によるものも含めて、自然公園法により優れた自然の風景地を保護するために指定されています。
法律でしっかり定義された公園は、このどちらかになります。それぞれ簡潔に特徴をいえば、自然公園とは風致を維持するために利用に制限を加える地域を指定するもの、都市公園とは公共の福祉の増進に資するために、公に設置・管理するものです。
地域を定めてあるものと、公営で設置されているものがあるといえ、それぞれ同じ公園と呼ばれても、ありかたも、実際の利用の仕方も違ってくることになります。そして都市公園には、そこにあっていいものが、公園施設として法律で定められています。
都市公園は、そういった公園施設などをお目当てに、お出かけ先として具体的に意識できるもの。自然公園にはときには都市公園をも内包して、優れた風景地などのいろいろなスポットがあることになります。
自然公園については、お出かけの際には「そっちのほう」とでもいったらよさそうな、ある方面全体を指すものになります。例えば今では伊豆半島も含めて富士箱根伊豆国立公園になっているエリアがあります。
富士山に行く! といっても山頂まで登山をするのか、自動車で行ける範囲(各5合目)までいってみるのか、あまたある行楽地や麓の都市公園を訪れるのか、さらに箱根が加わり、伊豆半島までが対象になっています。
この地域に都市公園ならば、数え切れないほどが設置されています。なにしろ自然公園の面積は、国土の15 %も占めているのです。都市公園のほうは、一定の基準で設置することが、法律で求められているものです。
こうした視点から、公園をまず大きく分ける時の言葉もあります。
法律に定義される公園をまず2つに分類
- 地域制公園(国立公園、国定公園、都道府県立自然公園)
- 営造物公園(都市公園、国民公園、その他)
営造物公園は、(公)営(で)造(った)物(である)公園という解釈でよいでしょう。都市公園の他に国民公園として挙げてあるのは、皇居外苑、新宿御苑、京都御苑のことで、旧皇室苑地を公開した、環境省の所管する国有財産です。
公開の目的が都市公園と同じもので、国民公園としていることから、営造物公園の一種として考えます。同じく環境省所管で千鳥ヶ淵戦没者墓苑は、都市公園の墓園のような性格を有するとして墓地公園とされています。
ちなみに都市公園の種類を分けていくと、最初の分類としては、ふたつに分かれます。
都市公園の大きな分類 | |
国が設置するもの | 管理は政令の基準による 面積はおおむね300 ha以上とする |
地方公共団体が設置するもの | 管理は政令を参酌して定める条例による |
この国か地方公共団体かというのは、法律や、政令など内閣の通達で規定されるか、条例により独自の色をだせるかの違いともいえます。公営であることも公園の大きな要件にはなりそうながら、私有のものを公園と名乗っていけない訳ではありません。
誰かが大きな志で、皆が自由に使って楽しめる場所を開放していたとします。それならば、限りなく公園のようなものといっていいでしょう。それどころかそうである限り、それは本質的に公園だ! といってもいいくらいです。
(公園という言葉を考察するならば、1873(明治6)年の太政官布告第16号まで、さかのぼってみる必要があります。)
ただし、都市公園法には公共の福祉に資するために、決まり事があります。さらに政令となる都市公園法施行令でも、もっと細かく諸々が定められています。その上で地方公共団体のものならば、それぞれが必要なことを条例で定めるように求められています。
そうして都市公園となれば、国からの補助も受けられます。都市公園は日本国が成立した頃、法律に定められて、一定数の基準を満すべく設置が進んできました。すでに身近なものでもあり、現実に公園と認知されるものは、イメージは固まっています。
私有のものが遠慮がちに、~パークと名乗っても、これって営利目的の遊園地なのでは? とか何らかの営利を得る目的で環境を整えた庭園なのでは? と思われるような状況だとしたら、誰もそれを公園とは認めないでしょう。
公園であるためには、ましてやそれを充実させるためには、公営でなければ難しい状況となることでしょう。少し悩ましい例として、農業公園というものも見受けられるようになっています。
公共団体が設置するものがあり、基本的にそう名乗る以上は、農業をテーマにした何かがあるはずです。都市公園で農業にスポットを当てたものであれば、話は単純でまごうことなき公園。
ところが中には、都市公園ではない農業公園もあり、どちらかといえばテーマパークのようなところもあります。都市公園についての決まり事をいろいろみれば、テーマパークとして充実していくならば、問題が起こりかねません。
農業公園については、都市公園ならばいわゆる公園としての使い勝手が期待でき、そうでなければ、ちょっと別のものになる可能性があるという認識でよいかと思います。もちろんテーマパークならそれなりの、公園とは違う魅力を演出できることになるでしょう。
公園ガイドその2 公園の種類は?公園にあるものとは?
ガイドするのに相応しい公園を選び出そうと、焦点を絞れば公園を地域制公園(自然公園)、営造物公園に分けたならば営造物公園のほう。中でも公園とは呼ばない3つの御苑をのぞく、都市公園になるでしょう。そうさせるのは公園施設のお陰。
都市公園の種類はどうなっている?
都市公園では公園施設というものが定められて、その公園施設の充実ぶりが目を見張る公園があります。都市公園である大前提が、オープンスペースでした。都市公園では建蔽率が大きく制限されて、あまり建築物は作れなくなっています。
それでも公園施設の種類によっては、特例が認められるものがあります。
公園の建築物の建蔽率
通常 | 100分の2(敷地全体の2%) | |
特例 | 休養施設 運動施設 教養施設 (これらは公募対象公園施設を含む) 備蓄倉庫や自然公園のための施設など |
合せて100分10を加える (敷地全体の12%) |
遺跡など文化財 学術的意義の高いもの 景観重要物 歴史的風致形成建造物 高い開放性を有する屋根付き広場等 |
さらに100分の10を加えられる (敷地全体の22%) |
特殊な意義のあるものを含めても2割強まで、運動施設というのは競技場や体育館など、教養施設ならば図書館などを建てる場合にも建蔽率は、1割強ほどを参酌基準としています。
保育園を代表例に社会福祉施設(通所の施設に限る)も、他に適地がない場合、公園の土地を利用(占用)することを認められています。その場合には施設が利用する面積は、全体の100分の30を越えないように定められています。
つまり公園にいろいろな建築物となる施設を設ける場合には、とにかく広い面積が必要だということです。こうして公園の種類を国のもの、地方公共団体のものに分けたのち、さらに分類するならば、どれくらいの面積が確保されているのか? が注目すべき点になります。
法律による考え方では、徒歩圏までの住民を対象にするのか、広範囲の利用者を想定するのかで必要とする面積は変わってきます。かつての都市公園法施行令では、いわゆる近隣住民のための住区基幹公園というものを想定して、それぞれに標準面積を定めていました。
さらに市町村を超える広い範囲からの利用を想定する、もっと大きなものまで面積には基準がありました。その基準は徒歩圏(4 ha)、近隣居住者(2 ha)、街区内(0.25 ha)というふうに参酌基準で今も残っています。
対して市町村以上の範囲については、充分機能を果たせるだけの面積を確保すると定めるだけに変わっています。これらを踏まえて都市公園法施行令による、地方自治体が設置する都市公園の種類は次の表のようになります。
地方公共団体が設置する都市公園の種類 | ||
主として街区内に居住する者の利用のための公園 | 面積0.25 haを参酌 | |
主として近隣に居住する者の利用のための公園 | 面積2 haを参酌 | |
主として徒歩圏域内に居住する者のため公園 | 面積4 haを参酌 | |
主としてひとつの市町村の区域内に居住する者のため公園 | 総合的な利用 | 充分機能を果たせる面積を確保 |
主として運動のために利用 | ||
ひとつの市町村の区域を超える広域に居住する者のための総合的な目的で利用する公園 | 充分機能を果たせる面積を確保 | |
主として特定の目的 | 公害や災害からの緩衝地、風致の享受のため、動植物の生息地、生育地としての樹林地等の保護のため、主として市街地の中心での休息又は鑑賞のため などは配置、面積を条例で定める |
徒歩圏以内の利用者か、市町村を超える範囲以上の利用者のためか、また市町村単位の場合、運動施設を目的とするものがあり、加えてその他特定の目的のものもあるとされています。必要な広さは、各自治体で考えるように! といった趣旨の政令になっています。
国が設置する公園は広域的な災害救助の拠点となる公園以外は、いくつかの都道府県をもまたぐ利用を想定して、面積も300 ha以上とされています。該当するのは国営公園ということになります。
もっとも大きな国営公園となる、木曽三川公園を取りまとめた記事の中に、国営公園の一覧があります。
都市公園にある施設はどんなものになるの?
都市公園法では、公園に設けてもよい施設のことをしっかり決めています。さらにそれに基づいて、都市公園法施行令でさらに細かく具体例に踏み込んでいます。
まずは法律を抜粋します。
都市公園法による公園施設一覧
1 園路及び広場
2 植栽、花壇、噴水その他の修景施設で政令で定めるもの
3 休憩所、ベンチその他の休養施設で政令で定めるもの
4 ぶらんこ、滑り台、砂場その他の遊戯施設で政令で定めるもの
5 野球場、陸上競技場、水泳プールその他の運動施設で政令で定めるもの
6 植物園、動物園、野外劇場その他の教養施設で政令で定めるもの
7 売店、駐車場、便所その他の便益施設で政令で定めるもの
8 門、さく、管理事務所その他の管理施設で政令で定めるもの
9 前各号に掲げるもののほか、都市公園の効用を全うする施設で政令で定めるもの
最後に例外規定があります。結局なんでもいいのかといえば、そうでもないようで都市公園法施行令で法律で挙げる公園施設の9番目、その他に該当するものとしては、
展望台及び集会所並びに食糧、医薬品等災害応急対策に必要な物資の備蓄倉庫その他災害応急対策に必要な施設で国土交通省令で定めるもの
と定められています。8番目までに羅列されているものは、なんとなくこうしたものかとイメージはできるかと思います。その他政令で定めるものとされているものは、都市公園法施行令では、もっと具体例を挙げています。それぞれをもう少し見てみましょう。
修景施設のその他
(植栽、)芝生、(花壇、)いけがき、日陰たな、(噴水、)水流、池、滝、つき山、彫像、灯籠ろう、石組、飛石その他これらに類するもの
休養施設のその他
(休憩所、ベンチ、)野外卓、ピクニック場、キャンプ場その他これらに類するもの
遊戯施設のその他
(ぶらんこ、滑り台、)シーソー、ジャングルジム、ラダー、(砂場、)徒渉池、舟遊場、魚釣場、メリーゴーラウンド、遊戯用電車、野外ダンス場その他これらに類するもの
運動施設のその他
(野球場、陸上競技場、)サッカー場、ラグビー場、テニスコート、バスケットボール場、バレーボール場、ゴルフ場、ゲートボール場、(水泳プール、)温水利用型健康運動施設、ボート場、スケート場、スキー場、相撲場、弓場、乗馬場、鉄棒、つり輪、リハビリテーション用運動施設その他これらに類するもの及びこれらに附属する観覧席、更衣所、控室、運動用具倉庫、シャワーその他これらに類する工作物
教養施設のその他
(植物園、)温室、分区園、(動物園、)動物舎、水族館、自然生態園、野鳥観察所、動植物の保護繁殖施設、(野外劇場、)野外音楽堂、図書館、陳列館、天体又は気象観測施設、体験学習施設、記念碑その他これらに類するもの
古墳、城跡、旧宅その他の遺跡及びこれらを復原したもので歴史上又は学術上価値の高いもの
便益施設のその他
飲食店、(売店、)宿泊施設、(駐車場、)園内移動用施設及び(便所)並びに荷物預り所、時計台、水飲場、手洗場その他これらに類するもの
管理施設のその他
(門、柵、管理事務所、)詰所、倉庫、車庫、材料置場、苗畑、掲示板、標識、照明施設、ごみ処理場=廃棄物の再生利用のための施設を含む、くず箱、水道、井戸、暗渠きよ、水門、雨水貯留施設、水質浄化施設、護岸、擁壁、発電施設、その他これらに類するもの
以上の政令の抜粋のうち法律にも書かれている具体例を( )で閉じ、政令で( )で付記がされている部分は割愛してあります。休養施設、遊戯施設、運動施設、教養施設については、記したもののほかにもうひとつのことが書かれています。
地方公共団体の設置に係る都市公園にあつては当該地方公共団体が条例で定める(**)施設、国の設置に係る都市公園にあつては国土交通大臣が定める(**)施設
が加わることになります。
例えば交通公園などは、この「ほかのもの」にあたる教養施設として、条例(国営公園の場合は省令)に定められたものになります。このように都市公園にどんなものがあり、なにができるのかという話の中では、敷地に恵まれているかが大きな分かれ目です。
昨今の都市公園法の改正での大きな動きは、公園ビジネスの導入が目立つものです。人工地盤に公園を設置する立体公園制度では、東京都渋谷区立の宮下公園(MIYASHITA PARK=宮下公園×商業施設)なども出現しています。
同じ東京で近くにある、首都高速道路の螺旋路を収めた建物の屋上を利用した、目黒天空庭園など、基本的には大都市ならではのこうしたものに、典型例ができたことになります。今後も中心市街地での導入こそが、主眼になるでしょう。
その他のもっと具体的な動きでも、公園の本来の機能を増進させることが前提です。皆が自由に楽しめるオープンスペースというのが、都市公園本来の機能です。おすすめの公園情報をお届けしているフェンテの特集。
お届けする情報では、忘れずにチェックを入れるべき点だと心してゆきます。この点では間違いなく、ご期待に添えるようにしていきます! 公園施設のそれぞれも、公園ビジネスの詳細も、公園総まとめでは詳しく触れています。個別の詳細はそちらもご参照下さい。
公園ガイドその3 建築物は公園にあまりないもの、あれば時には目玉に!
オープンスペースとしての役割が本来の都市公園においても、公園をもっと楽しむために、本来の役割の部分を削ってでも用意されるものがあります。ならば問題になるのは建築を伴うもの。
老若男女を問わず、皆のためにある代表例が運動施設で、いわゆるスパとなるような温水利用型健康運動施設など、かなり娯楽寄りのものから、本格的な競技施設まで、建築も伴うケースが多く、建蔽率との兼ね合いが問題になりそうな施設の一例です。
特に運動施設が主な目的になる公園は、以前は運動公園と定義されてそう名乗る公園もたくさんありました。関連する興味深い例としては、今では同じ熊谷市にある埼玉県のふたつ。熊谷ラグビー場のある熊谷スポーツ文化公園と妻沼運動公園。
女子サッカーの聖地である妻沼運動公園は、元妻沼町の施設で熊谷市ではなかったところ。こちらは建築物は体育館のみです。運動公園を名乗らないスポーツ文化公園のほうは、広大な敷地を生かして、超弩級のスタジアムなどが立ち並んでいます。
どちらも遊具にもみどころはありつつ、運動施設のための公園なことも明白ではあります。特に熊谷スポーツ文化公園は運動施設が中心でありながら、利用対象は熊谷市だけとは考えられないような規模です。
各運動施設の利用料金も県内の方と県外の方で違っていて、市町村での利用が基本として想定される運動公園のようなものではなく、ネーミングには、かといってただの総合公園でもないといった思いが込められているようです。
教養施設もまた、こうした特例が設けられる、やはり建築物が前提なことがありそうなものです。政令の具体例をみると、本格的に水族館、図書館などを作る時には、問題がありえそうです。だからこそなのか、あまり例もないことのように思います。
岐阜県各務原市の河川環境楽園にある、アクア・トトぎふのような例は、あまりみることはありません。藤沢市の神奈川県立湘南海岸公園の新江ノ島水族館は、同じ会社の管理運営とのこと。またアクア・トトぎふは、公園でのPFI事業の代表例です。
本来の目的そのものとはいえないけれども、あれば公園の目玉になるような建築物。公園の充実のために必要な予算を、民活の利用で賄おうというPFI関連事業は、より公園を楽しめるようにというのが、公式なアナウンスです。
公園の理想を追求するというそうした試みも、思惑通りには進んでいません。だからこそあれば、そしてうまく運営されて充実していれば、稀にみる成功例。ならば魅力は大きいというのが現状です。
公園ガイドその4 子どもと楽しむ遊び場には公園のようなものも
ちなみに、子どもと楽しむ遊び場にある多くの遊具は、建築物ではありません。巨大なものであっても、あくまで工作物なことがほとんどです。逆に遊具であっても建築物となるのは、長野県松本市の信州スカイパーク(松本平広域公園)にあるもののようなケース。
大型木製遊具と呼んでいるものは、どこからどうみても建築物以外のものではないです。ただし、屋根や壁がなければ建築物にはなりません。だから兵庫県三木市のみきっこランド(三木山総合公園の遊び場)のものでも工作物。
三重県東員町の中部公園にあるのも工作物(ただし、これは一番微妙なタイプ)。
群馬県太田市のぐんまこどもの国(金山総合公園)の冒険とりでも工作物。こういったものは、大型コンビネーション遊具と呼ばれるもので、公園施設としては、遊戯施設に当たるものです。
子どもと楽しむ公園シリーズが最も注目するのが遊具、分類は?
「子どもと楽しむ公園」シリーズで特集している中で、いつも主役になっているのは遊具。つまり遊戯施設になります。そんな遊具については、独自の分類で詳しい考察をしています。
「子どもと楽しむ公園」シリーズでの遊具の分類
- 発展形の新御三家遊具
- すごい滑り台
- ターザンロープ
- すごいネット遊具
- 砂場に出現した発展形の遊び
- ふわふわドーム
都市公園の遊戯施設の具体例の中には鉄棒が入っていません。鉄棒と書かれているのは運動施設。公園でよく見るアレは運動施設だったのか! といえばそうではないというのが見解。(詳細は公園総まとめをご参照ください)
御三家遊具として挙げている鉄棒は、実はラダーとされているものの一種、そう思えば鉄棒 → 各種ラダー → ジャングルジム → すごいネット遊具 という発展の流れが納得できるのかと!
これも公園総まとめを参照できる、アスレチック遊具というものが、多くの公園であるけれどもあれは何? についても考察しています。なぜ法律に書いてないのかは、ただの園路に置いてあるものか、いわゆるコンビネーション遊具のどちらかだからという主旨です。
そもそもの言葉の意味からすれば、運動遊具と訳せるのでしょうけれども、アスレチック遊具と呼ぶものは、フィールドアスレチックと関連したイメージと思われます。そんなようなものが公園にある場合、注目したいのはどれだけ「遊び」であるかのほう。
制覇する目的や、どこまでもうまくやろうと追求するならば、運動施設になるのでしょうし、似たものとして健康遊具といった、そう言いながら遊びというよりも、全世代的な健康管理が目的の場合もあります。
子どもの遊びのための意図が強ければ、遊戯施設。体調管理が目的のようならば、別の呼び方であるトリム遊具とでもしたほうが、しっくりくる運動施設になるもの。もし厳密な得点を数えたり評価をするものがあったとしたら、競技的な運動施設でしょう。
コンビネーション遊具というものも、具体的に法律には書かれていません。コンビネーション遊具は複合遊具ともいう、いろいろな遊具が組み合わされたものだからでしょう。それはみれば一目瞭然のことです。そしてあれば公園の花形、遊具の究極形です。
遊具の花形といえば、王様を大型コンビネーション遊具だとして、見かけは単純でなおかつ優美、種類はあれど基本となる仕組みは同じなふわふわドームも同じです。ふわふわドームは、遊具の女王様とでもしておきましょう。
遊具の中でメリーゴーラウンド、遊戯用電車は特殊な面があるものです。原動機によって回転したり、走行したりするものだからで、操作や運転も職員がやることになるでしょう。一般的には、有料で対応されていると思われる施設でもあります。
都市公園であっても、入園料があっていけないものではなく、有料の遊戯施設も設置されてはいけない訳でもないです。原動機によるもので高架となるジェットコースターがある公園だってあります。
そうはいっても、公園とは? の大前提を踏まえれば、あったとしても格安なことが、国からも求められています。いまのところは、国も無料で広く利用できることが望ましいとしているように思います。
指針としているほか、原動機の付くようなものは、設置の補助金対象外で、かつ有料で運営するならば、公園全体の敷地に関して、5 ha以上あることが条件になっています。公園は誰もが自由に使えるオープンスペースで、公共の福祉の増進に資するもの。
そして、公園施設はどんなものでも、利用者が便利に公園を使えるようになったり、より活発に利用してもらえる魅力を備えるためであったり、防災上役に立つものだったりの意義を求められます。
有料となることが許されるのは、そうした観点のどれかで有用である場合に限られます。例えば広域からの来客を見込んで、近所でなくお出かけするだけの魅力を備えるために、公園の一部の片隅で格安で誰でも利用できる料金設定とする! といった理屈が必要です。
都市公園の遊戯施設のある場所ではない遊び場とは?
原動機が載っている乗り物として、ゴーカートが置かれている公園もあります。ゴーカートとしているものは「自分で運転する」もので、また違った面があります。あくまで小さな子どもであっても、自らが運転するのを意図しているものです。
どれだけ速く走るかが目的のレーシングカートのようなものではない代わりに、歩くのと変わらないスピードしか出ない、バッテリーカーのようなものでもありません。そうであれば、子どもにとっては刺激たっぷり。
大人の運転免許保持者でも、操作に習熟が必要なレーシングカートでなくとも、なかなか得られない体験となるでしょう。ただし、こういったものについて、類似のものを含めて、公園施設の遊戯施設どころか、関連の法律、政令等全体に一切の記述は見当たりません。
実は、レーシング(レンタル)カート場のある公園というものは、存在します。埼玉県秩父市の秩父ミューズパークには、F1リゾート秩父という、レンタルカートコースがあります。
身長125 cm以上ならば、シートベルト付きの子供用カートを運転できます。秩父ミューズパークは民活の考え方で始まった、第3セクターが運営している公園です。P-PFIも整備された今、もはや今後の公園ビジネスでは、第3セクターが主導することはなさそう。
そういった意味では、今後とも例をみることがなくても、なんら不思議はなさそうな存在です。F1リゾート秩父は、公園の運動施設の一部です。こうしたパイプフレームが基本のカートが走るコースならば、山梨県山梨市のAZ山梨サーキットも思い当たります。
AZ山梨サーキットは、笛吹川フルーツ公園と一体で開発されて運営されている民活地域にある、民営のレンタルカート場です。F1リゾート秩父とは少し事情が違います。当地にあるホテルや日帰り入浴施設同様、法令による公園施設ではないところが異なる点です。
レーシングカートのような車体ではなく、もっとしっかりした遊覧寄りのゴーカートがある例は、愛知県刈谷市の岩ケ池公園です。専用コースを走り、ここには他にも原動機のついた遊戯施設があり、全部でちょっとした遊園地になっています。
岩ケ池公園というのは、刈谷ハイウェイオアシスといったほうが通りがよい場所です。高速道路の開通に合わせて、地元の商工会議所が音頭をとって、刈谷市と力を合せて作ったものです。充実ぶりは、ハイウェイオアシスだからこそという面もあります。
こうした例は、国土交通省が推奨する前から、公園の独自性を追求した意欲の表れであり、条例によれば可能な公園のありかたとしては、よいサンプルといえます。公園施設には公園とは? という大前提を満たす制限もある一方、自由な試みが可能な面もあるのです。
ただし、民活とするからには、民間資金をどう回収するかという問題があります。ハイウェイオアシスはよい条件であれ、すべてがうまくいっている訳でもないのが実情です。ここまで刺激的でなくとも、ゴーカートはあれば楽しいもの。
特に地方自治体が管理・運営しているものは、どのように実現されているのでしょうか? そのひとつが交通公園としてであり、もうひとつは児童厚生施設としてになります。そして児童厚生施設であるならば、それは都市公園とは関係ない可能性が出てきます。
交通公園としてゴーカートに乗れるのは、栃木県宇都宮市のアドベンチャーU(八幡山公園の遊び場)です。まさしく交通公園の様式の1周800 mのコースを走ります。交通公園によくあるのは、4輪であっても、仕組みはあくまで自転車の足漕ぎカート。
アドベンチャーUのゴーカートは、八幡山公園の交通公園として宇都宮市公園条例に定めのある施設で、乗れるのはエンジンのついたもののみです。有料のものながら、毎週無料日があるのは公園らしい試みです。
コースの方に(信号機はあるとはいえ)、歩行者が立ち入れることなどと合せて、とてもユニークな特徴を持っています。収支報告を見ても宇都宮タワーの入場料含めて、指定管理料という業者に支払われる額には、収入はとうてい追いついていません。
同じ北関東で、隣の群馬県にも、エンジン付きのゴーカートがあります。前橋こども公園のところでは、あくまで自転車と同じ仕組みになる足漕ぎカートは、遊具間を縫うように、交通公園の様式のところを走ります。
エンジン付きのものは、電動のものと一緒に、専用コースのほうで遊べる形になっています。専用コースのほうの利用は有料で、休業日があります。この休業日は同じ敷地にある児童文化センターの休館日と同じです。
つまりエンジン付きのほうのゴーカートを管理しているのは、児童文化センターのほうなのです。この設置は前橋こども公園についての条例によってではなく、交通安全の指導のために設置すると、前橋市児童センター条例に定めがあります。
そして児童センターは、児童館のひとつの種類になっています。では児童館とは何かといえば、子どものためにある屋内の遊び場です。児童福祉法では、児童(この法律では18未満)が、家庭と学校以外で過ごす時間のために児童厚生施設を定めています。
健全な遊びを与え、健康増進、情操を豊かにするなどの目的であるのが、児童厚生施設。そのうち屋内のものが児童館、屋外のものが児童遊園となります。児童遊園は児童のための屋外の遊び場ですから、公園の遊戯施設のある場所と極めて類似するもの。
一般には見分けがつかない場所! ということになるでしょう。整理すれば前橋市の児童文化センターは、児童厚生施設で、エンジン付きゴーカートは、児童遊園となる児童福祉法による遊び場。
前橋こども公園のあるところには、児童文化センターの児童館となる建物もあります。それは要するに公園施設ではないということになります。ただし、事情を複雑にするのは、都市公園の敷地を、ある種の社会福祉施設が占用することが認められているのです。
だから、児童館や児童遊園が都市公園の敷地にあるケースもありえます。また、公園のようにしかみえない、児童福祉法による遊び場(児童遊園・児童館)が、都市公園とはまったく関わりなく存在して、(本来は子ども対象ながら)自由に利用されている事例もあります。
こうした児童厚生施設の大きなものが、こどもの国を名乗るケースがたくさんあります。こどもの国に、大きな屋内施設があるのは、都市公園の規制を受けていないからなのです。都市公園の敷地を占用していたとしても、建蔽率には特例が適用されることになります。
都市公園の遊戯施設のある場所でない遊び場も、事情はいろいろ。もっとも利用に際して特に意識することはなさそうです。こうした遊び場が公園の敷地を占用しているかどうかに関わらず、子どもにとっては限りなく公園に近いことに、違いはありません。
厚生労働省による児童館の種別
(数は平成30年の厚生労働省の調査から)
- 小型児童館 2627ヶ所
- 児童センター 1717ヶ所
- 大型児童館 19ヶ所
- その他の児童館 114ヶ所
足踏み式ゴーカートであっても、簡易な専用コースのあるとだがわこどもランドは、戸田川緑地という都市公園の敷地にある、児童厚生施設。大型児童センターになる建物が本館で、児童遊園になる屋外の遊び場も充実して、プレイハウス(屋内)や無料展望塔ありです。
まとめ:公園ガイドのさらなる詳細は公園総まとめで!
公園を利用するための基礎知識を、分かりやすく理解できるように、細かな説明は避けて、体系的にざっと把握できるようにしています。もっと詳しく! というならば公園総まとめをご参照ください。